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同性の先輩に恋をした♪でも先輩は異性が好きだからきっとムリ…

「ずっと女性の先輩が好きで、その先輩に告白したいなと思っているんですけど、相手は異性のことがたぶん好きで、同性のことは恋愛的には全く興味がないって感じで…」

17歳のユウさん(仮名)から『虹クロ』(Eテレ 毎月第1火曜 午後8時~)に寄せられた声です。

同性のことを好きなユウさんが、さまざまな恋愛を経験してきた人生の先輩であるLGBTQ+のメンターたちと、本音で“恋”について語り合いました。

(『虹クロ』ディレクター 杉山舞)

【関連番組】虹クロ『同性の先輩に恋をした♪ でも先輩は異性が好きだからきっとムリ…』
2023年11月7日(火) <Eテレ>午後8:00~8:29
(再)2023年11月18日(土) <Eテレ>午前0:45~1:14 [※17日(金)深夜]

同性の先輩に恋をしたけど、告白できない…というユウさん

左上/井手上漠さん(モデル)、左下/みたらし加奈さん(臨床心理士)、中央/ユウさん(高校生)、右上/ロバートキャンベルさん(日本文学者)、右下/かずえちゃん(YouTuber)

『虹クロ』は自分の“性のあり方”に悩む10代が胸の内を打ち明け、さまざまな分野で活躍するLGBTQ+当事者がメンター(助言者)となり、解決の手がかりについて考える番組です。

今回のメンターはモデルの井手上漠(いでがみ ばく)さん、日本文学者のロバートキャンベルさん、臨床心理士のみたらし加奈(かな)さん、YouTuberのかずえちゃん。

中2のときに、男女両方を好きになることに気がついたというユウさん

番組に声を寄せてくれたのは17歳の高校生・ユウさん(仮名)。生まれたときに割り当てられた性は女性で、男女両方を好きになるバイセクシュアルを自認しています。現在、ユウさんは同じ高校に通う学年が1つ上の女性の先輩に片思い中。先輩を好きになったのは、入学直後の1年半前。一緒に受ける授業があり、自己紹介をする際に緊張で頭が真っ白になったユウさんにその先輩が優しく声をかけてくれて、好きになったといいます。

入学直後の自己紹介のとき、優しい声をかけてくれた先輩に恋をしたユウさん

その後、ユウさんと先輩は、ほかの先輩も交えて放課後に一緒に下校したり軽食を食べに行ったりするようになりました。ユウさんが中学時代の話をしたり、先輩から高校生活について教えてもらったりしました。しかしある日、いつものように先輩を食事に誘うと、「きょうは行かない」と突然断られてしまいました。それ以来、先輩とは授業で会ったときに勉強に関することしか話さなくなってしまったといいます。

「アクションを起こすことが怖い…」

好きな先輩と少し距離ができてしまったため、具体的な行動に踏み出せなくなってしまったというユウさんに、ロバートキャンベルさんが尋ねました。

ロバートキャンベルさん(日本文学者) 好きになる性は「男性」
ロバートキャンベルさん(日本文学者)

「一刻千金の(とても貴重な)高校時代ですから、1年半も同じ人を好きで、でも思いを伝えずにいるということが、嫌な言い方に聞こえるかもしれないけど、もったいない気が僕はするんですね。『ユウちゃん、何しているんだ。もう、先輩に“好き”って言っちゃえよ』って、僕がユウさんの友達だったら言うと思うんですね」

ユウさん(仮名・17歳)

「その話(一歩踏み出せないこと)を別の仲のいい先輩にしたら、『めっちゃもったいない。一歩近づきなよ』みたいな感じで言われたことがあります」

ロバートキャンベルさん(日本文学者)

「想像はできますか。そのアクションを起こす(告白する)ことは?」

ユウさん(仮名・17歳)

「想像はできるんですけど、1回(食事に誘って)断られた過去があるから、自分の中で怖いなって感じている部分があって…」

好きな同性に告白したときのリスク “アウティング”

ユウさんには、ほかにも不安があるといいます。告白をしたときに周りにアウティング(暴露)をされるのではないかということです。

ユウさん(仮名・17歳)

「もし告白したとして、その話が『おもしろトーク』みたいな感じになってしまったら怖いなって思います」

好きな同性に告白をしてアウティングされるのではないかといったリスクを感じている10代は、ユウさんだけではありません。番組には次のような声も届きました。

同じクラスの女子に恋をしたサクラさん(仮名・17歳)

「考えたくはないですけど、(告白して)好きな子が(周りに)アウティングしちゃうとするじゃないですか。それがどんどん広がっていって。(LGBTQ+に)理解がない子だったら嫌われるだろうし、もし自分の家族に知られたら、もう居場所がなくなるなって(不安です)」

アウティングをされたら周囲から偏見や差別の目が向けられるのではないか、というユウさんたちの不安に かずえちゃんは強く共感しました。

かずえちゃん(YouTuber) 好きになる性は「男性」
かずえちゃん(YouTuber)

「聞いていて、(胸が)ぎゅーってなるよね。告白したときに断られるっていう、その断られるところのしんどさがあると思うのだけれど、告白する相手が同性となると、それ以上にまた恐怖というか。『(アウティングされたら)どうしよう』とか、いろんなことを考えないとダメっていう。つらいなと思う」

好きな先輩に対して自らアクションを起こすことに勇気をもてず、アウティングの不安も抱えるユウさんに、キャンベルさんが自らの考えを伝えました。

ロバートキャンベルさん(日本文学者)

「(アウティングの)恐れはあるわけですよね。先輩は“こうすればこう反応する”ということが測れるほど、(二人は)まだ緊密な関係ではないので。自分のセクシュアリティーのこともそうだし、先輩に対する思いをおもしろおかしく言われたり、2つ3つぐらいの層ですごくリスキーなことではあるわけですよね。


(そうしたことに対して)リスクヘッジングをするのならば、まず先輩のことをもっと知る、(自分のことも)知ってもらう、ということがやっぱりすごく大事だなって思うんですよね。


(そのためには)日常のいつものルーティーンをちょっと揺らしてみないと(ダメだと思います)。だって One of the many(大勢のうちの一人)ですよね、ユウさんは先輩にとって。


だから、そこをちょっと揺らして。小さいことでもいい。散歩でもいいし、宿題をちょっと手伝ってもらうとか。そういうことにもっていけるかどうかということは、結構大事な試金石だと思うんですね」

異性を好きな人が同性を好きになることってあるの?

同性の先輩に恋をしたユウさんは「異性を好きな人が同性を好きになる可能性はない」と諦めていました。そんなユウさんのために、ある同性カップルがスタジオに来て話を聞かせてくれました。

左:ぽっちさん(元部下) 右:みち子さん(元上司)

交際を始めて8年になる、ぽっちさんとみち子さんです。もともと職場の上司と部下として出会った二人。男女両方を好きになるみち子さんは、ぽっちさんに惹(ひ)かれて告白。ぽっちさんは、それまで恋愛関係になったのは男性だけでしたが、みち子さんの思いを受け入れ、交際が始まりました。

二人の関係が急接近したのは一緒に働き始めて3か月後。ぽっちさんが「仕事の相談にのってほしい」とみち子さんに言って、食事に出かけたときでした。

みち子さん

「それまで本当に事務的な会話しかしてなかったんですけど、そこからどちらかというと友達みたいな感覚になって。すごくフランクな(感じに)」

ぽっちさん

「ため口を使ったりとか、ずっと笑っていたりするみたいな。フィーリングがすごく合うなって、話が合うなっていう感じがすごくして」

みち子さん

「(そうやって何度か)一緒に過ごしていく中で、やっぱり好き、おつきあいしたいな、恋人になりたいなって思ったんですよね。で、思いを伝えました」

みち子さんは、ぽっちさんは異性が好きということ知っていましたが、告白をする際に戸惑いはなかったといいます。

みち子さん

「(ぽっちの)新人歓迎会をしたときに、(ぽっちに)『彼氏いるんですか?』と聞かれて、『あ、いないよ』と言ったら、『じゃあ彼女いるんですか?』と聞かれたんですよ。その時点で、“え、なんだ?”と思って。そういうことに(セクシャリティーに対して)特に偏見がないというか、垣根がないというか、そういう人なのかなと思っていたので」

みち子さんに「彼女いるんですか?」と聞いたときのぽっちさんの気持ちを尋ねると...

ぽっちさん

「『彼氏いるんですか?』って聞いたときに、ふわっとしたことを言われたので、『あ、じゃあ彼女か』って、なんとなく思って言っただけだと思う。学生時代にも女の子同士のカップルとかいましたし、そんなにすごく珍しいっていう感覚じゃなかったのかもしれないです」

ユウさんにとって同性カップルの話を聞くのはこの日が初めてだった

みち子さんとぽっちさんの話を聞いていたユウさんは...

ユウさん(仮名・17歳)

「自分が先輩との関係で、勇気がなくてできなかったところを実現されているけど、(みち子さんは)食事とかに誘うときに心の葛藤や勇気とかはあったんですか?」

みち子さん

「葛藤でいうと、もちろんあって。“断られたら怖いな”と思いながら、一緒に帰る駅の改札のぎりぎりまで行って『ご飯行かない?』と誘って、もう一回、二人で来た道を戻ってご飯を食べに行ったことも何回もあるくらい。“どうしよう、今日どうしよう…”というのはあったけど、やっぱり勇気をもって…、勇気をもってじゃないな。“ただ一緒にいたい”と思ったから、言えたのかなって思いますね」

みち子さんは悩みながらもほぼ毎日ぽっちさんを食事に誘ったという

なかなか一歩を踏み出せないというユウさんに、ぽっちさんは...

ぽっちさん

「距離を縮めるのってすごく大変で、それは同性とか異性とかたぶん関係なく、すごく大変なことだなと思っていて。もしかしたら長期戦でもいいのかな(と思います)。卒業してみたら、案外『学校で会えなくなっちゃったから会いたいです』って誘いやすくなったり、卒業してからのほうが距離が縮まりやすいのかな、なんて思ったりしました」

まずは“人として”好きになってもらえるように

それまで恋愛関係になった相手は男性だけだったぽっちさんに、みち子さんの思いを受け入れることができた理由や、実際に交際してみて感じた気持ちを聞きました。

ぽっちさん

「まず、(みち子のことが)人としてすごく大好きだったんですよ。恋愛としてというよりは、本当に人として、友達としてみたいな感じで、すごく好きだなと思っていました。(だから)告白されて、“恋愛の好き”に変えられるかもなみたいに思えました。


実際つきあってみたら、わたし的には男性よりもいいなって。今まで恋愛してきた相手が男性だけだったんですけど、その方たちとおつきあいしているときは自分自身がすごく気を遣ってしまっていて。“女性はこうあるべきだよね”や“かわいくいなきゃ”みたいな感じがすごくあって疲れちゃっていたんですけど、みち子とつきあっているときは、もう楽に、すごく楽しくっていう、一緒にいて本当に楽しいっていうのがいちばんです」

「最初の勇気が出れば、あとはそんなに悩まなかった」というぽっちさん

ぽっちさんとみち子さんから、ユウさんにメッセージをもらいました。

ぽっちさん

「ユウさんは『先輩は異性のことが好きだから』と言っていたと思うんですけど、そういうのって、私もそうなんですけど、やっぱり変わるものだと思っていて、決めつけすぎなくていいのかなって思います。同性とか異性とか関係なく、徐々に距離を縮めていけたらなって思っています。応援してます。頑張ってください」

みち子さん

「『(みち子のことが)人として大好き』とぽっちも言ってくれたように、そうなることが大事なのかなと思います。だから自分の魅力を伝えて向こうにも好きになってもらえるように、お互いのことをいっぱい知っていく、いっぱいお話しして、楽しい時間を過ごせたら、関係が進むのかなって思いました」

ユウさん(仮名・17歳)

「好きになる性が変わるということを想像したこともなかったので、そういうこともあるんだなって、すごく勉強になりました」

メンターそれぞれの“恋”の経験談

左:みたらし加奈さん(臨床心理士) 右:ロバートキャンベルさん(日本文学者)

ユウさんとメンターたちの恋バナは続きました。

同性に告白して何度もフラれたことがあるというかずえちゃんは、若い頃は“フラれると自分を責めていた”という体験談を話してくれました。

左:井手上漠さん(モデル) 右:かずえちゃん(YouTuber)
かずえちゃん(YouTuber)

「告白して『好きじゃない』みたいなことを言われると、“やっぱり自分がダメだったんだ”、“ゲイの自分が悪いんだ”って、すごく(自分を)責めた部分があって。でも今思うと絶対にそうではなくて、それ(ゲイに対する差別や偏見)がまかり通っていたというか、社会側の責任や問題なんだって言えるようになった。


もしこれから(ユウさんが自分の)セクシュアリティーを(相手に)伝えたときに、そこの部分で嫌な目にあったとしても、ユウさん自身を責めることは全くする必要はないし、(ユウさんのセクシャリティーは)それはそれですごくすてきなことだから」

これまで交際した同性は一人だけというみたらし加奈さんは、その相手に自分から告白したときの経験を話しました。

みたらし加奈さん(臨床心理士) 好きになる性は「すべて」
みたらし加奈さん(臨床心理士)

「そのときの告白の文句は『お試しでつきあってみない?ダメだったら別れりゃいいじゃん。ちょっと考えてみて』って言ったんですね、電話で。そうしたら『分かった、とりあえずいったんつきあってみる』と言ってくれて、そこからつきあいが始まって。結局その子とは6年ぐらい一緒にいて、今はもうお別れしてしまったんですけど。でも、それもそれで“ご縁”というか。


もしかしたらユウさんが好きな先輩とつきあえるかもしれないし、つきあえないかもしれないし、いろんな選択肢があると思うんだけど、もし『関係性は築けません』となったとしても、同じ学校の中にユウさんと長くつきあう子がいるかもしれないし、本当に人間関係ってすごく流動的なものだから、たまたまそのタイミングでご縁がなかったっていうのは、ちょっと頭に置いといてほしいなって(思います)」

井手上漠さんはこれまでの恋愛を振り返って、片思いについての考え方を教えてくれました。

自分の恋愛観について語る井手上漠さん(モデル)
井手上漠さん(モデル)

「これは私の意見なんだけど、“友達だと終わりがないけど、恋人だと終わりがある”とかいうじゃないですか。だから、あえてその終わりがないっていう選択肢を選んで、ずっと一緒にいたいからつきあわないっていう方法もあるし。わたしは『だったら友達のままでいいかな』と(考える)脳なのね。


片思いは確かにつらいけど、私は片思いしていたときが自分がいちばん磨かれたときだったから。今、時間がたって思うと、悪くなかった。恋しているときって、その人を見ているようで、実はいちばん自分を見つめられるきっかけをくれている時期なのかなって。そのときは気づけなかったんだけど、今思うとすごく感謝している」

今回、LGBTQ+のメンターたち、そして ぽっちさんとみち子さんから、いろいろな“恋”の体験談を聞いたユウさんは最後に笑顔でこう話してくれました。

ユウさん(仮名・17歳)

「自分の考えじゃ全然思いつかなかったこととかをすごく聞くことができて、いろいろ勉強になりました。好きな先輩に、今は授業以外で話せてないので、ちょっとでも話してみようかなと思っています」

取材を通して

私が印象的だったのは、「先輩は異性を好きだから…」と身動きが取れなくなっていたユウさんが、メンターたちとの対話を通して“今の自分にできること”を見つけたことでした。

「自分は先輩のことをどのくらい知っているのだろうか?」
「先輩に自分のことをどのくらい伝えられているのだろうか?」

そう自らに問いかけたユウさん。当初は“告白すること”を目標にしていましたが、まずは“もっと先輩のことを知り、自分のことも知ってもらうこと”が大切だと気がつきました。そんなふうに新たに自分の中に目標を見つけて一歩踏み出そうと決意したユウさんが、本当にかっこよかったです!

そして、ユウさんを含め同性を好きになる人たちは、告白した際に「アウティングされるのでは…」といった不安を抱えていることも改めて知りました。そうしたことで悩む必要がない社会になってほしいと強く願います。そのために、これからも10代そして当事者の方々の気持ちに寄り添いながら取材を続けたいと思います。

【関連番組】
虹クロ「同性の先輩に恋をした♪ でも先輩は異性が好きだからきっとムリ…」

2023年11月7日(火) <Eテレ>午後8:00~8:29
(再)2023年11月18日(土) <Eテレ>午前0:45~1:14 [※17日(金)深夜]

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