
“生理について、もっと教えてほしかった” みなさんの声
みなさんは「生理」について、いつ、誰から、どんなシチュエーションで教わりましたか?
NHKシチズンラボでは「生理リサーチ」に寄せられたみなさんからの声をもとに、生理や性教育の実態について、東海大学の小貫大輔教授と一緒に探っています。
集まった450件を超える回答からは、『生理について具体的に教わった経験のある人は少ない』という現実が見えてきました。
(#シチズンラボ「生理リサーチ」チーム 柿沼緑ディレクター)
「生理」について、何を、誰といっしょに教わった?
「生理リサーチ」では、『初めての生理が来たときに何を知っていたか』選択肢を提示して尋ねました。
「生理では血が出てくること」を知っていた人は8割を超えた一方、「生理用品の使い方」を知っていた人は6割近くにとどまりました。また「生理の血はオシッコともウンチとも違う出口から出てくること」を知っていた人は半数以下、「生理と妊娠の関係」を知っていた人も4割にとどまりました。

また、小学校のときに生理について「男女別に授業を受けた」という人は7割近くに上りました。
一方で「男女一緒に授業を受けた」人や、「覚えていない」という人はおよそ1割。
「生理の授業を受けたことはない」は1割未満でした。
“生理教育”について みなさんの声
自由記述欄には、性別や年齢を問わず、生理について『もっと早くから具体的なことを学びたかった』という声が少なくありませんでした。
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生理用品について教えてほしい (18歳・女性)
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(生理を)タブー視する“文化”は小学生~中学生あたりに形成された気がする。もっと早くから、恥ずかしいことじゃないし、つらさを軽減する方法はたくさんあるということを知りたかった。生理や性教育についてもっとテレビ番組で扱ってほしい。特に生理用品についてもっと教えてほしい。
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男性にも生理について教えてほしい (21歳・男性)
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私が学校で初めて性教育を受けたときは、男女別々であったり、腫れ物にさわるような教え方であったりして、非常に不十分でした。昨今話題となっている生理用品の無償化に反対する声があるのは、やはりそれについて知らない、理解していない人たちがいるのが一番の原因であると思います。学校などでの性教育の場では、生理用品の使い方や知識に関して、女性だけに教えるのではなく、男性にもしっかりと教える必要があると思います。
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男女一緒に生理の授業を受けたかった (22歳・女性)
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学校で、男女一緒に生理の授業を受けたかった。生理や性について異性に話すのが恥ずかしいと思うような授業を受けて大学生になったのが悔しいです。また、PMS(月経前症候群)を我慢しなくていいことや生理をコントロールできること、婦人科に相談に行っていいことなど生活に役立つことも知りたかった。
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正しい知識がないまま女性と接している (31歳・男性)
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小学校の高学年くらいで女子には生理について説明があったが、男子にはなかった。その結果、男側は個々が知るタイミングやその中身にも偏りが大きかったと思う。その後も正しい知識を学ぶ機会はなかったと思う。結果、30代となった今も正しい知識がないまま女性と接している。
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話そう、語ろう。悪いことでも怖いことでもないから (32歳・女性)
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わたしは大学になってから性教育に関連した知識を色々学んだし、あけっぴろげに話すようにしていたから「この子は生理のこととか性的なことについての知識があるから相談できるかも」と、男女問わず色々相談されることが増えた。みんな本当は人に聞きたいし、話したいし、理解したい、されたいと思ってることなので、その気持ちを親や教育現場が分断するようなことがあってはいけないと思う。話そう、語ろう。悪いことでも怖いことでもないから、と思います。
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幼い娘に生理のことを話しています (34歳・女性)
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幼稚園に通う娘がいます。娘には3歳の時から生理のことは隠さずに話しています。生理中は一緒にお風呂に入れないので、幼児でもわかるように簡単に説明しています。5歳の今、一緒にお風呂に入らない日は「女の子の日?今月も赤ちゃんのベッドに赤ちゃん来なかったねぇ」なんて言ってます。まだまだ幼児ですし理解してるとは思っていませんが、年齢が上がるごとに少しずつ知識を増やしていければいいなぁと思ってます。
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早くから男子に正しい性教育を (47歳・男性)
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我が家では私が性に目覚める前に隣人の妊娠・出産をきっかけに母親が産道のことを教えてくれたので正しい知識を得られたと思う。男子に正しい性教育を出来るだけ早く受けさせることが大事だと思う。
“生理教育” どうすればいい? 性教育の専門家は
寄せられた声について、性教育やジェンダーを研究している東海大学の小貫大輔教授に話を聞きました。

Q1:寄せられた声から、どんなことが見えてくるでしょうか?

初めての生理のとき「生理というものがある」ことは知っていたとしても、実は表面的なことしか知らなかった人がたくさんいるようですね。「盛大にウンコ漏らしたのかと焦った」とか「尿が赤くなると誤解していた(からわからなかった)」といったコメントが印象的でした。大学の授業でも、しばしば学生から似たような思い出話を耳にします。今となっては笑い話かもしれませんが、その当時は「病気になった」「死ぬかもしれない」と強い不安に落ちたようです。
Q2:「生理では血が出てくること」は8割の人が教わっていても、本当に役に立つ知識になっていなかったということですね。どうして表面的なことしか伝わっていないのでしょうか?

過半数の回答者は、「ウンチの出口」や「オシッコの出口」とは違う「経血の通り道」があることも知らずに初めての生理を迎えたようです。「性」や「性器」が想起される具体的な説明がタブー視されるのかもしれません。「女性には赤ちゃんの出てくる通り道があること」ですら、小学校を出る前に教わった人は56%しかいませんでした。ほぼ6割の人は「家庭で使う女性器の名前はなかった」とこたえていて、女性の体の当たり前の構造についてすら触れづらい様子がうかがえます。
Q3:どんな教育が求められていると思いますか?

多くの人が「性教育」の充実を訴えるコメントをしていました。また、女の子だけで生理のことをコソコソ教わるのがいけない、という声も多かったですね。小学校で男女一緒に生理の授業を受けたという人は1割ほどしかいませんでした。
Q4:男の子にも生理の教育を、ということでしょうか。

女性のほぼ半数(48%)が、生理のことを異性と話すことに「やや抵抗を感じる」ないし「たいへん抵抗を感じる」と答えていました。その理由は、どうやら男性の側の理解(と前提となる知識)が期待できないということなのかもしれません。
多くの女性が「自分には抵抗がないが、相手には抵抗があるのでは?」といったコメントをしていました。本当にそうなのかどうかは、男性からの回答が少ない(7%弱)のでまだはっきり言えません。
2022年8月までのアンケート公開期間中に、ぜひ男性視聴者からもたくさんの回答がいただけたらと思います。
あなたは「生理」について、いつ、どのように教わりましたか?ご自身の体験の中で、思い出す出来事はありますか?「シチズンラボ 生理リサーチ」では引き続き、意見を募集しています。性別、年齢、生理の有無に関わらず、ぜひ声をお寄せください。
ハートネットTV「生理・更年期を語ろう #自分のカラダだから」
2022年3月8日(火)[Eテレ] 夜8:00
https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/calendar/202203/