みんなでプラス メニューへ移動 メインコンテンツへ移動

みんなでプラス

「更年期にはまだ若い」医師の言葉に悩む女性たち 医療現場の理解不足も

更年期のさまざまな症状によって、仕事やキャリアを失う人が推計100万人にのぼるという「更年期ロス」。その実態を先月、放送や記事でお伝えしたところ、150人以上の方から切実な声が寄せられました。見えてきたのは、更年期について十分な理解が広がっていないことで適切な医療を受けられず、苦悩を深める当事者の姿です。

(報道局社会番組部 ディレクター 市野 凜、報道局ネットワーク報道部 記者 金澤志江 )

「更年期ロス」を解消するために何が必要か。私たちは取材を通してみなさんとともに考えていきます。記事に対する感想やご意見、あなたの体験談、取材してほしい内容などをページ最後の「コメントする」か、ご意見募集ページからお寄せください。

「更年期にはまだ若い」年齢の壁

「自分も更年期ロスを経験した」と声を寄せてくれたヨシコさん(仮名・43歳)は去年、更年期症状が原因で20年続けた仕事をやめました。不調が出始めたのは2年前、41歳のときでした。

ヨシコさん(仮名・43歳)

「めまいがして動悸(どうき)が急にして動けなくなったり、とにかく体が思うように動かなくて、家事もできないし、仕事にも行くのが精いっぱいでした。」

生理の周期が不安定になり、月に2回きたり 経血の量が減ったりしていたため、ヨシコさんは病院を受診し、更年期による不調ではないかと伝えました。

しかし医師から言われたのは「更年期にはまだ若い」「めまいは誰にでもある」という言葉。婦人科、内科、耳鼻科など次々と病院を回りましたが原因はわからず、治療してもらえませんでした。

ヨシコさん(仮名・43歳)

「『更年期にはまだ早い早い』という感じで笑い話みたいな、『それくらい大丈夫だよ』と。自分が大げさになっているだけなのかなと思いました。」

心配をかけたくないと家族にもつらさを隠していましたが、症状は徐々に悪化。仕事をやめざるを得なくなったのです。

ヨシコさん(仮名・43歳)

「誰か助けてほしいというのと、『休めて楽』とかでなくて『動きたい、動きたい、でも動けない』という葛藤と、『こんなに休んでだめな人間だ』という思いでずっと過ごしています。」

ヨシコさんを更年期ロスに追い込んだものは“年齢の壁”でした。

更年期は女性ホルモンが減少し生理がなくなる閉経の前後10年間を指し、45歳から55歳ころとされています。

ヨシコさんはその後 別の病院で更年期症状と診断されたものの、症状が出始めたのは40代前半だったため治療を受けることもできなかったのです。

「更年期症状ではないのでは…」 症状の壁

さらにもうひとつ見えてきたのが“症状”の壁です。

更年期の症状として よく知られているのは「ほてり」や「イライラ」ですが 実は「めまい」や「関節痛」「不眠」など 症状は多岐にわたります。このことへの理解が医療現場でも進んでいないため、休職に追い込まれたという人もいます。

大手メーカーで正社員として27年間働き続けてきたマサエさん(仮名・51歳)は「ほてり」や「イライラ」などはありませんが、50代に入ったころから「不眠」や「だるさ」「集中力の低下」を感じるようになりました。

マサエさん(仮名・51歳)

「前はできていたことができなくなったというのが、すごく実感としてあって、その理由がわからなくて。」

職場でチームを束ねる立場にありましたが、会議など意見をまとめなくてはならない場面で判断力が落ち、結論を出すことができなくなりました。

責任を果たせないと感じたマサエさん。ことし6月、休職することを選びました。

マサエさん(仮名・51歳)

「ミスが多くなったり、仕事を段取りよく組めなくなったり、頭が働かなくなってきたり、すごく自己肯定感が下がる。私はここにいるのがふさわしくないなとだんだん思うようになっていきました。」

「年齢的にも、自分は更年期ではないか」と思い、婦人科を受診しましたが、医師は検査も行わないまま「更年期の症状ではない」と告げたと言います。

マサエさん(仮名・51歳)

「『あなたはのぼせやほてりなどの更年期の主症状がないので 更年期じゃないかもしれません』ということを言われました。この先生はもう面倒をみてくれないんだなと思って、どうやったらしんどいのから抜けられるのか方法が分からないまま時間が過ぎていって、もっともっとしんどくなっていったので残念でした。」

不調を感じてから1年半、マサエさんは先月 別の病院で女性ホルモンの値を調べる検査を受け、ようやく更年期症状と診断されました。

今月復職し、これから治療と仕事を両立していきたいと考えています。

マサエさん(仮名・51歳)

「ほっとしました。更年期の時期を過ぎれば解決するんだという希望を持ちました。『本当に更年期抜けたな』と実感するまでペースを落として仕事はしていこうと思います。」

“更年期ロス”防ぐために 医療現場に必要なことは

なぜ2人は最初に行った病院で、更年期症状と診断されなかったのでしょうか?

更年期専門家は医療の現場でも更年期症状についての理解が十分ではないことが一因だと指摘します。

昭和大学医学部講師 有馬牧子さん
昭和大学医学部 講師 有馬牧子さん

「医師においても、知識と経験にまだ差があったり 専門分野が違ったりというのもあるので問題です。医師が適切な診断を下し、問診と検査もして治療を行うというのが一番ベストなんですよね。(更年期は)先が見えにくい時期でもあるので見通しを立ててあげる、そういう働きかけが医師からもできるといいんじゃないかなと思います。」

適切な診断と治療を行える医師を増やすことの必要性はNHKと専門機関が共同で行った調査の結果にも表れています。

「更年期症状を経験した」と答えた女性およそ1万人のうち、「婦人科を受診していない」と回答した人は6割以上に上りました。さらに受診しても更年期障害と診断された人は19%にとどまっています。

更年期症状は適切な治療を行えば改善し、仕事を辞めなくてもすむことがほとんどです。日本女性医学学会は更年期症状に詳しい医師を認定して学会のHPで公開しており、いち早く適切な治療につなげてほしいとしています。

更年期症状に詳しい専門医・専門資格者は
▼日本女性医学学会( https://www.jmwh.jp/
※ホームページ左側の日本地図から近隣の専門医を探すことができます。

更年期症状・治療に関する相談は
▼一般社団法人 女性の健康とメノポーズ協会( https://www.meno-sg.net/
電話番号 03-3351-8001(火曜・木曜 11~16時 無料相談実施 8月は休止)

更年期症状による仕事や生活への影響に関する相談は
▼NPO法人POSSE( https://www.npoposse.jp/
電話番号 03-6699-9359(労働相談)
電話番号 03-6693-6313(生活相談)

専門家による調査の詳細分析
https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/collab/nhk-jilpt/index.html
※NHKサイトを離れます。

みんなのコメント(4件)

体験談
すみれ
50代 女性
2023年3月29日
事前にインターネットで受診予定のクリニックの先生の意見や治療内容を確認するといいかもしれません。人気があったり、夜遅くまで診療しているクリニックは混むので、次回予約をその場でする等、工夫が必要です。生理は骨粗しょう症や他の病気にも関係してくるので、後悔のない様にしたいですね。
体験談
さと
50代 女性
2022年4月16日
40に月経が突然止まり産婦人科に行きました。90代の先生が注射と薬の処方をして出血しなければ閉経だろうと言われました。多少出血したけどすぐ止まって翌月月経始まるかと思って待っていても月経が起こらず。同じ産婦人科に行こうと思っていたら先生が亡くなって仕方なく他の産婦人科で見てもらうと「閉経じゃない、無月経」とホルモン検査もしないで言われました。薬の処方もなかったので違う産婦人科に行きましたがやはりホルモンの検査もしないで薬も処方しないし無月経という診断で気にし過ぎと言われる始末。みんな高齢の先生で40で閉経はないと思っているようでした。更年期症状もしっかり出ていたのでその事を話しても特に何もしない。私もこれ以上病院へ行っても無駄と思いその後は放置しました。高齢の先生に今と昔と違う事をもっと勉強してほしいです。
なやみん
40代 女性
2022年2月16日
1年前、それまでずっと低血圧だったのが突然高血圧になった。同じ頃生理周期の変化なども始まり、更年期かなと思いました。生活習慣の改善、減塩、思い付くまま対策はとったものの1年全然下がらず落ち込む日々。
まだ42才。更年期が原因の高血圧はどうしたらいいのでしょうか?
マミ
50代 女性
2021年12月21日
58歳、更年期とは無縁の年齢? ですが、家事仕事は普通にできます。が……やりたい事(草むしり、片づけ、他)いろいろあるのに身体が動かず横になったまま時間が過ぎます。ひどい時は一日中横になっております。どうしたものでしょう?