
Vol.18 らじらー!× u&i 「男らしさ 女らしさのモヤモヤ みなさんの声」
5月8日(土)、Hey!Say!Jumpの八乙女光(やおとめひかる)さんと伊野尾慧(いのおけい)さんがMCを務める『らじらー!サタデー』(ラジオ第1)に、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんがゲスト出演!きゃりーさんは多様性について考える子ども番組『u&i』(Eテレ)で、伊野尾さんと一緒にサルの妖精の声を担当しています。5月12日、19日の『u&i 男らしく、女らしくがいいの?』の放送を前に、八乙女さん、伊野尾さん、きゃりーさんが、「男らしさ、女らしさのモヤモヤ」について語り合いながら、リスナーのみなさんから寄せられたご意見を紹介しました。

服装や“見た目”の決めつけ
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伊野尾
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「男なんだからめそめそするな」、「女の子はおしとやかに」とか言われた経験、みなさんあると思います。そんなときに、「男らしさ、女らしさ、なんだろう」ってモヤモヤしたエピソードを投稿してもらいました。
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八乙女
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キャリーさんは「女の子らしくしなさい」とか言われたことはありますか?
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きゃりー
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私はファッションでけっこう言われたことがあって。もちろんワンピースなども好きなんですけど、メンズ服のダボダボのデニムとかをはいたりとか、髪もいま金髪なんですけど。「女の子なんだから、黒髪とかスカートはきなよ」と言われたことがある。まあ、そう言われることも分かる。でも、自分の個性として、「私はこれが好きだからこう着ている」と思ったりします。
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伊野尾
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そうですよね。最近、制服なんか女性はスカートだけでなくてパンツも増えてきたりして。逆に男性でもスカートをはきたい人もいると思うから、男性のスカートも用意してほしいと思う。女性のパンツスタイルはけっこう多く取り上げられているけど、その逆もあるんじゃないかなと思いますけどね。
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八乙女
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自由度は広げてほしいですよね。
リスナーのみなさんからも、服装や“見た目”について、いろいろなモヤモヤが寄せられました。
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なぜ男子のスカートはだめ? (かえる丸・15歳・女性・石川)
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私が住む県では今年から高校の制服は女子でもズボンをはいていいことになりました。確かにこれはいいことですが、なんで男子がスカートをはくのは許可されていないのかと思います。制服も自由になってほしい。
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女性の就活はパンツスーツよりスカート? (ぜんでん・23歳・女性)
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就活中のことです。面接の練習にパンツスーツで参加したら講師の方に「女の子は肌が見えているほうが柔らかい印象に見えるから、スカートのほうがいいよ」と言われました。「じゃあパンツスーツしか選べない男の子は不利なんですか?」と思ったけれど、聞くことはできませんでした。
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容姿で男女を判断されてしまう (いちごのかき氷・16歳・女性・大阪)
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中学生の妹が髪をばっさり切ってから、服装もあってか「僕ちゃん」と呼ばれたり、女子トイレに並んでいると「間違ってない?」と声をかけられることが増えたそうです。それを初めて聞いたときはすごく不快な気分になりました。やっぱり容姿で判断してしまうのかな? 「男と女の区別をつけない呼び方」も必要と思います。
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無意識の固定観念 (ともろう・40代・女性・奈良)
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3人の子どもを育てている母です。なるべく「男の子だから」「女の子だから」という言葉を使わないようにしていたつもりですが、次女が5歳のときに「○○くんは男の子なのにピンクのズボンはいている。変じゃない?」と言ってきたことがあり、「あなただって青や水色好きでしょ?男の子がピンク好きだって変じゃないよ」と諭しました。でも、振り返ると、自分が妊娠して赤ちゃんの性別が分かった時点で、「女の子はピンク」「男の子は水色っぼい色」で準備しました。普段ジェンダーを意識してなくても、なんとなく頭に固定観念はあるんだなあと感じた出来事でした。
昔はランドセルも赤と黒の2色だったことを考えると選択の幅は広がっているし、こうしてアイドルがジェンダーを語ってくれることを考えると、確実に時代は前に進んでいると思っています。
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なぜ女性だけ 脱毛? (茶碗・女性・千葉)
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男性は毛が生えていても良しとされているのに女性にはあまりそれが許されていないような空気が気になります。男性にそる・そらないの選択肢があるなら、女性にも同じように選択の自由があっていいはずです。しかし現状はそれが許されていないように感じるのは、「女性は美しくあるべき」という女性に対する差別的な思想が根底にあるからなのかなと思います。動画サイトによく流れる「ムダ毛の処理を怠っていると彼氏に嫌われちゃう」という広告にも、規定された美への圧力を感じモヤモヤします。
日本も見た目に関してとやかくいう人がいなくなり、一人ひとりがもっと自分らしくいられるような生きやすい国になってほしいと切実に思います。
できること・やりたいことは性別と関係ない
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八乙女
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「こうだから女の子」って決まっているわけではないし。「自分らしさ」って無限大にあるので、一つにカテゴリーされると、「あれ?」ってなりますよね。
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伊野尾
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ピアノは女性のほうが多く弾いているイメージがあるよね。小学生の頃にピアノをやっている男の子って、僕が小学生の頃だったからかもしれないけど、「え、なんで男の子なのにピアノ?」ってところがちょっとあった。でも、それが意外と子どもの頃だけだったり。逆に、高校生、大学生とかで男性の人がピアノ弾けると…
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きゃりー
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めっちゃかっこいいですよね。
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伊野尾
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そんなに縛られなくていいのかなと思いますよね。「男の子だから」「女の子だから」と余計なひとことがヤモヤするポイントかもね。
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“男だから…”は負担 (さっぱりコーラ・男性・北海道)
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男だからといって重いものを持たされたり、肉体的な仕事を求められることがあります。しかし力がそんなにない自分にとってはそれは負担だったりします。
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同じ人間です (ひかもも・22歳・女性・静岡)
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重い荷物を運ぶときに、「女の子だから男の子に任せればいいよ」と言ってくれる方がいます。でも、それが通ってしまうと、男性は女性の分まで肉体労働をしなければいけないことになり、それがすごい複雑な気持ちで、「同じ人間なんだから私にも運ばせて!!」と私は意地を張ることが多いです。男性の方、いつも気づかってくれてありがとう。
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“女子っぽい字”って? (ゆいか・17歳・女性・熊本)
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私は周りの女の子よりも少し字が下手。バランスが悪く、きれいに書けません。学校で宿題を名無しで提出する人がいるため、先生が字を確認して「この字は男っぽいな」「この字は女子っぽいな」とか言います。私はそう言われるのが小学生の頃から嫌でした。女の子=字が上手というイメージを持つことをやめてほしい!
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男の人も泣くのに… (き抹茶 18歳・女性・福岡)
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中学生のとき、バレーボール部の男の顧問の先生に怒られて泣いたら、「すぐに女子は泣く、メンタルが弱い」とさんざん言われました。「男の人も泣くのになあ」と、すごくモヤモヤしました。
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女性は昇進しない? (アネモネ・40代・女性)
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会社の昇進試験の勉強をしていたら男性の先輩に、女子は試験に受かっても昇進しないのになんでそんなに頑張るの?と言われました。
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気にせずにやり通す (眠れない一匹狼・26歳・女性・埼玉)
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学校でチアではなく応援団に立候補したり「男の子がやることをなんでやるの?」と親に言われたり、クラスの女子たらし」と呼ばれることが多かったです。気にせずやり通しました。
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「あなたらしくあること」が力になる (マッチョパフェ・24歳・男・熊本)
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僕は、昔から体育より家庭科が好きで得意でした。そのせいで「男なんだから、将来 仕事場で自慢できることをやれ!」や、「男のくせに女々しい(笑)」と言われたりしました。でも今回のコロナでマスク不足の際、ばかにされてきた服飾スキルでマスクを大量につくり、人の役に立てました。
「らしさ」で悩んでいる方、大丈夫です。あなたが「あなたらしくあること」がいつかあなたの力になります。 あなたのすてきな個性を捨てないでください。
小学校の教育現場は…

『u&i 』は、小学生のふたりの子どもが妖精のシッチャカ(声:伊野尾慧)とメッチャカ(声:きゃりーぱみゅぱみゅ)といっしょに、無意識の固定観念について本音をぶつけ合い、悩みながら、多様性について理解を深めていく番組です。アレルギーをもっていたり、一つのことに集中しやすかったり、周りとちょっと違ったように見える子どもたちについて、「あの子は変だから」と決めつけずに、その子の抱えている問題としっかり向き合い、どうしたら互いに助け合えるかを考えています。『u&i』は、小学校の授業の教材として使っていただけるように、NHK for Schoolのサイトでも見ることができます。

『男らしく、女らしくがいいの?』を実際に授業で使った札幌市幌北小学校の安井政樹先生と電話をつないで4人で話しました。
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伊野尾
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安井先生、こんばんは。私ときゃりーさんは番組の立ち上げときに少しお話もさせていただいたんですよね。今の小学校でも「男の子だから、女だから」という空気感とかはあるんですか?
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安井先生
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いや、だいぶなくなってきていると思います。出席番号も男女別じゃないんですよ、もう。朝礼などで並ぶときも、男の子、女の子はまざって並んでいるので、だいぶそういう雰囲気はなくなってきていると思います。(※安井先生の小学校の場合)
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伊野尾
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僕らが小学生の頃は、男子は組み体操をやって、女子はダンスとかあったりしたじゃないですか。そういうのもなくなっている?
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安井先生
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そうですね。(うちの学校は)先生たちも男女平等を意識しているので、男の子、女の子で分けて教育することがないように気をつけているとこですね。
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きゃりー・八乙女
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へえー。いい学校ですね。
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伊野尾
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時代とともに変わってきているんだね。
他の学校の先生からも声が届きました。子どもたちに「性別にとらわれない考え方」をもってもらいたいと、さまざまな工夫をされています。
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「男女」のくくりをしない教育を (みい・26歳・女性・千葉)
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小学校の教師をしています。新学期に教科書を運んだりするときは男の子に頼むのではなく男女関係なく「運ぶのを手伝ってくれる人いるかな?」と聞いています。6年という歳月は子どもたちの価値観を大きく変える時期なので、私たちが男女というくくりにはまらずに接することを心がけています。
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固定観念にとらわれない環境づくり (毎週のらじらー!は心のよりどころ・50代・女性・神奈川)
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小学校に勤務しています。学校では「らしさ」「男だから女だから」のような発言は先生たちはもちろん、子供たちの間でも「それはおかしい」といえる雰囲気づくりに努めています。色の決めつけはしていません。例えば、図工で絵を描いてそれを台紙に貼る場合、各々好きな色を選んでもらっています。すると、子どもたちは自分の思いで台紙を選ぶことができ、選ぶ色には男女差がないことにも気づきます。
運動会の徒競走も男女で分けません。保護者の方から「男の子と走るのはかわいそう」と言われることがありますが、小学生の時期は(体力に)性差はなく、女の子でも速いので、男女を分ける必要はないのです。まずは、固定観念にとらわれない環境づくりからではないかと思います。親御さんのほうが、まだまだ「男だから」「女だから」にとらわれている気がします。「男らしさ」「女らしさ」という言葉が「自分らしさ」に置き換わるといいですね。
悩み続けるなかで “自分らしさ” を見つける
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きゃりー
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もったいないですよね。自分の可能性を封じ込めてしまったら。
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伊野尾
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男だから、女だからというので自分の可能性に蓋をしちゃうのはもったいない。やりたいこと、したいことをやるべきだよね
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八乙女
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(男らしさ、女らしさの問題は)大人でもものすごい悩むから、子どもが悩むことは当たり前だよね。でも、いっぱい悩んで悩んで、そこから「自分らしさ」というものを見つけていくんだと思いますね。
自分自身がモヤモヤした理由を突き詰める中で、モヤモヤ解消のヒントや、「自分らしさ」を互いに認め合うための手がかりを見つけ出している人も少なくないようです。
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「家事を手伝う」という表現がなくなれば (ほいっぷ・女性・鳥取)
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最近 大学で、「父親の子育て」について いろんな本を読んで勉強しています。「父親が家事を手伝う」という表現はまだまだ残っていて、母親は家事や育児をするのは当たり前みたいな雰囲気があります。この「手伝う」という表現をする風潮がなくなればいいのに…といつも思います。
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男性も女性も 仕事と家庭の両立しやすい社会に (抹茶大好き・女性)
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女性の社会進出は増えていますが、仕事をしていたとしても子どもが生まれたときに休職して世話をするのは母親です。私は2年後に医師になりますが、幸せな家庭を築きたいという思いと共に、医師としてのスキルを身につけ、沢山の命を救いたいという思いもあり、仕事と家庭の両立をどうすればいいか悩んでいます。
こうした悩みは男性よりも女性がもつことが多く、男性で育休を取る人もほとんどいません。男女平等というなら、女性の負担をもう少し減らせる制度が導入され認知され、男性も女性も仕事と家庭の両立をしやすい社会になってくれればと思います。
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違和感を持つことは大事な一歩 (めいか・20代・女性・宮城)
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私がモヤモヤを感じたのは職業体験で児童館へ行った時でした。全日を通して、男子は子どもたちと鬼ごっこなどの運動、女子は裏で掲示物の作成を指示されました。見かねた男子が担当者に話してくれて、結局 私たちも運動の方にまわることができました。ですが、個人の得意不得意は関係なく、「男子は運動」「女子は細かい作業」と決められていたことへのモヤモヤは残ったままでした。
この出来事から6年、私は今大学で共生に関する勉強をしています。ジェンダーについても勉強する中で、あのとき感じていたモヤモヤは間違っていなかったと分かりました。子どもの頃から無意識のうちに「男らしさ女らしさ」がすりこまれているのであたりまえのことと済ませてしまいがちですが、違和感を持つことは大事な一歩だったのかもしれないです。
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一人一人の意識や自覚が大切 (いのふく・40代・女性・熊本)
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長男が通っていた中学校では、4年前にスカートをはくのに抵抗がある女子生徒のためにブレザータイプも用意されました。長男の学年では2名の女子がブレザーを着用しました。2年後に娘が入学した時、一部の生徒の間でブレザーを着用する女子生徒に偏見の目を持つ生徒がいるみたい…と言っていました。学校が性別に縛られずに制服の選択肢を与えていても、一部とはいえ、偏見の目を向けてしまう生徒がいることは残念でなりません。
みんな違ってみんな良い、個人が尊重された世の中になっていくには一人一人の意識や自覚が大事なんだなということを痛感しております。またu&iの新作も楽しみにしています。
『らじらー!』と『u & i』では、「男らしさ、女らしさのモヤモヤ」について、考えていきます。