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将来の仕事のためには“学歴”さえあれば大丈夫?いま、親が知っておくべきこと

子どもの受験となると、子どもよりも親の方が熱くなってしまう。子どもの将来を案ずるあまり、つい、「もっと勉強しなさい」「そんなんじゃ受からないよ!」と言ってしまう。でもそのせいで、子どもとコミュニケーションがうまくとれなくなった・・・。そんな親の悩みについて話し合う番組を放送しました。

取材を進める中で、多くの親が「一流企業に就職するには“学歴”が絶対に必要」と断言し、そのために、少しでも偏差値の高い中学や高校にいってほしいと願っていました。たしかに、最近は「学歴フィルター」という言葉もよく耳にします。仕事に就いたり、社会で活躍したりするためには、やはり「学歴」が一番大事なのでしょうか?

(「おとなりさんはなやんでる。」班ディレクター 上野 陽子)

やっぱり学歴は必要なのでは?

Mさんとお子さん

高校受験を控えるひとり娘を育てているMさん。

「できるだけ偏差値が高く、大学受験を見据えて受験対策がしっかりできる学校」に行ってほしいと願っていますが、親からみると長女は勉強に身が入っていないように感じるといいます。

Mさん

「志望校もまだ決まっていない。塾の先生からは「親御さんからも勉強するように声をかけてください」と言われて焦っています・・・」

Mさんが、娘に「偏差値の高い学校に行ってほしい」と願うのは、自分自身が「学歴」に助けられたと感じる人生経験があるからです。

必死に勉強し、地元の県立高校から国立大学に進学したMさん。理系の学部を卒業し、メーカーに就職しました。その後、別の業界に転職しましたが、その時に役立ったのか受験で身に着けた幅広い知識と、国立大学の肩書だったと感じています。仕事で必要な資格を取得するときにも、受験で磨いた基礎的な学力がとても役立ったという実感もあるそうです。

こうした成功体験があることから、長女が将来苦労しないためにも、学力と学歴を身につけさせたいと考えています。

Mさん

「子どもには幸せになってほしい。将来安定した生活が送れるようにしてあげたい」

Mさんとお子さん

番組では、長女にインタビューをしました。すると、親には伝えていないけれど、志望校はあることがわかりました。

長女
長女

「声優になりたい。そのために、ボイスアクター部がある高校がいいなって思っている」


「なまはんかな気持ちではやっていない」

Mさん
Mさん

「行きたい高校があるなんて知らなかった。もちろん娘の夢は、尊重してあげたいんだけど、ちょっと本当に大丈夫?って思っちゃう。自分の通ってない道だから、そこを娘が歩むことへの不安がある」

学歴を第一に考える母親と、夢を第一に考える娘。
親世代は、子どもの将来のことを見据えてどのように考えていけばいいのでしょうか。

転職人材のヘッドハンターに聞く 「仕事で本当に必要なチカラ」とは

仕事に就き、社会人として苦労しないために、学歴はどれほど重要なのか?

そのことを知るために、年々希望者が増え続ける「転職」の世界ではどのような人材が求められているのか専門家にお話を伺いました。

2023年2月に発表された総務省の労働意欲調査で、転職希望者は最多を更新しました。

総務省統計局 2022年 労働力調査より

年代別では、25歳から34歳までの希望者は248万人と最も多い結果に。

キャリアアップ、給与アップはもとより、「より幸せに働きたい」と願う人が増える中で、「転職」はもはや珍しい時代ではなくなりました。その中でも、希望者が近年増えているスタートアップ企業への転職を支援する企業に勤める清水美保さんにお話を伺いました。

清水美保さん
フォースタートアップス株式会社 ヒューマンキャピタリスト 
転職希望者とスタートアップ企業のマッチングする業務を担当。
これまでIT・コンサルティング業界を中心に、約1,500人の転職希望者と面談してきた。
上野ディレクター

清水さんの会社では、「スタートアップ企業」の転職を扱っていますが、希望者は増えているのでしょうか。

清水さん

新型コロナ前と比べてかなり増えています。環境の変化に対して、自分も変わりたいと考える方が増えてきている傾向があると考えています。必ずしも不満があるから転職をする方だけでなく、現職に不満はないけれど「もっと成長したい」という成長意欲を持って、他の企業を見てみたいとおっしゃる方もいます。今年から、政府も本格的にスタートアップ育成の支援を始めるなど社会が変化し、情報感度が高い方ほど、スタートアップなどの成長企業に関心を持っていらっしゃいます。

上野ディレクター

転職をするときに、「学歴」は重視されるのでしょうか。

清水さん

学歴を気にする会社があるかないかで申し上げると、一部ございます。一方で、学歴を気にしない会社も結構あります。学歴よりも、その方の持っていらっしゃる他のスキルや人柄なども含めて、総合的に判断されるというのが一般的になってきたとは思います。特に、スタートアップ企業は、会社の目指すビジョンに共感するかどうかを重視しているところが多いので、「考え方」や「価値観」が合うかを重視すると思います。

上野ディレクター

学歴ではない、他のスキルとはどんなものを指すのでしょうか。

清水さん

これから社会を担っていく若手の方であれば、ソフトスキルにも注力するのが良いと思います。


特に、以下の3つは大事だと感じています。


※「ソフトスキル」とは、仕事をする上での目に見えない個人の特性や人間性など、基準を設けて評価しにくい能力のこと。「ハードスキル」は学歴や資格など客観的に評価されている能力のこと。


意思決定できる力
今新しい市場で新しい事業を作っているような会社が求めているのは、自分で自分のWill(ウィル)、つまり意志をしっかり持って、ゴールに向けて何をするかを「自分で選べる、意思決定できる力」です。そういう方は、自分がなぜここでこの仕事をしているのか、納得して取り組み、ゴールを見ています。自発的に工夫をして、いい物を作り上げようとする意志が働くため、高いパフォーマンスを見せることができます。

“Why”を語れる力
何の仕事をするのかという“What”だけではなくて、自分がなぜその仕事をするのか”という“Why”を自分の言葉にできる方が、今求められています。それは、自分でなぜこの仕事をやるのかっていうことを理解できているという表れだからです。たとえば「お客様に喜んでいただくために仕事する」という“Why”があれば、能動的にあらゆる工夫と努力をして、できるだけいい物をお客様に届けようとすると思います。一方で、目の前にある業務をただこなすことがゴールになると、工夫はしにくいですよね。「正確にこなす」ことがゴールの人と、「なぜその仕事をするのか」という“Why”がある人の差は明白です。自分でなぜこの仕事をやるかを理解し、言語化できることで、周囲を巻き込めるようになります。結果として、より大きな仕事に繋がりやすくなります。

素直さ
素直さは自分のためにも大事な要素です。いまや、スマホで物を探して買って決済することが当たり前の時代になりましたね。私たちが子どもの頃には想像もできなかった生活が現実になってきました。こうした大きな変化が仕事の中にもどんどん浸透してくると思っています。そういう激動の時代ですから、新しい市場・新しいビジネスモデル・新しい技術がこれからもどんどん出てきます。これまでの当たり前が、この先もずっと当たり前とは限らないということです。新しいこと、新しい仕事が出てきた時に「素直」にそれを受け入れ、これまでやり方の中で捨てるべきを捨てて、新しい物を学ぶ。その根幹にあるものが素直さだと思います。

上野ディレクター

仕事をしていく上で、こうした力が必要とされるのは、なぜなのでしょうか?

清水さん

日本は優秀な方々が有名企業に集まりやすいと言われてきましたが、それは高度経済成長期の頃に成功キャリアだと認識されていたイメージが残っているためだと思います。


成功キャリアと言われてきたのは、いい大学を出て、大企業に就職し、その一社で勤め上げて退職まで頑張って、退職金と年金で悠々自適に暮らす、というものだったと思いますが、これから先の未来に同じキャリアが実現できるかは分かりません。それはもう時代が違うからしょうがないことではあります。もちろん一部の会社では叶うかもしれませんが、多くの会社では叶いにくくなっている現状があります。大企業に入り、その会社が示す道を受け身に歩んでいくだけでは難しい時代になっています。


次はどんな事業、ビジネスモデル、テクノロジーが出てくるか分からない。急速に変わりゆく世の中で、新しい価値観を素直に受け入れ、個々人が自分で自分の人生を決めてキャリアを歩んでいくことは重要なことです。周囲のものさしではなく、自分のものさしで自分の幸せを測れるようになると思います。

上野ディレクター

“Why”を語れる力、意思決定力を養うために、できることはどんなことだとお考えでしょうか。

清水さん

まずは学歴という人生の4分の1地点をゴールにしないことが大事だと思っています。


そして、「どの大学のどの学部で学びたい、なぜならば・・」を自分の言葉で語れることが大切だと思います。「将来〇〇を目指したいから」でも、「興味があるから」でも、良いと思います。関心ごとを見つけるためには、広い世界を見てみることをお勧めします。


そのために親ができることは、そんなにだいそれたことではなくていいのですが、たとえば、自分がやっている仕事とはどんなものなのか伝えるのもいいと思いますし、様々な情報を知るきっかけを作ってあげるといいのではないかと思います。


私が自分自身であの時こうしておけば良かったなって思うことは、たとえば学生時代に自分が普段過ごしているコミュニティー以外のコミュニティーに複数参加しておけば良かったなということです。そうすると、自分が見たことも聞いたこともないような活動や仕事をしている方にも出会うことができます。


同級生の親御さんの仕事を通して、視野を広げることもできます。私たちは、”知っている”ことにしか関心を持てません。視野を広げるためにコミュニティーを複数またいでみるというのは、やっておけば良かったなって思ったことです。

清水美保さん

これまで1500人の転職希望者に面談をしてきたという清水さん。優秀な人材なのに・・・と、もったいなく感じていることがあるといいます。

清水さん

私はこれまで1500人の方々にお会いして感じていることですが、「やりたいことに挑戦したいけれど、自分にやれるとは思っていない」という方が結構いらっしゃるんです。


やりたいことがあるんだけれども、そこを選べない。その勇気がないとか、できると思わないというケースも多くて。私からすると、あなたならできます!って思うような素敵な方、優秀な方だったりするんですけれども、ご自身の自己肯定感がそこに追いついてない。もったいないと思います。


自己肯定感を高めることで、日本はもっと元気になれる、成長できると思います。そのために、私自身もひとりの親として、子どもに「自分には無限大の可能性があるんだ」と信じさせてあげることは、親の役目かなと感じています。

清水さんは、仕事に就くだけではなく、やりがいを感じながら働き、さらに自分の「市場価値」を上げ、選ばれる人材になるために、「学歴」だけをゴールにしないことが大事だとお話しくださいました。

清水さん

やっぱり、なぜ自分がその仕事を選ぶのかを大事にしていただきたいと思っています。


そう思う背景には、これから少子高齢化によって生産年齢人口が減っていく中で、「人」の価値自体が見直されていることがあります。内閣府は今年から上場企業など約4000社に対して「人的資本の情報開示」を義務付けました。各企業が従業員の成長のために、どのような取り組みを行っているのかを公表する制度です。この制度の根幹をなす考え方は、リーダーシップ、経験やスキルなどの「人の能力」を「資本」として認めていることです。


「人」にしかできない業務があること、持続可能な経営を実現するためには「人」の能力が必要であるということが社会的に認められ、人の価値が見直されたのです。ですので、将来を担う子どもたちが、自分の能力を認識し、どう活かすかを決めることがより必要となってきます。


将来を担う子どもたちが、学歴をゴールにして育ってしまって、実際に仕事についた時に思ったように活躍できない、となってしまうと本当にもったいないことです。私たち大人は、子どもが自分の興味や関心が何か、将来自分が何をやりたいかを考えるきっかけを作っていってあげたいですね。


自分のビジョンや夢を持って社会に出た方は、パフォーマンスが高いので、経験値が早期に積めると思いますし、個人の価値も高まります。自分にとっても社会にとってもプラスの関係になることが理想だと思います。

取材後記

「子どもに『自分には無限大の可能性がある』と信じさせてあげるのは親の役目」。

今回の取材の中で、印象に残った清水さんの言葉です。

「学歴は必要ない」とも言い切れないけれど、「学歴があれば将来の選択肢が広がると思う」とか「学歴がないと就職に困るのでは」など、親が「学歴」をゴールにしていると、子どもの可能性を奪ってしまうかもしれない・・・と、ハッとさせられました。

番組には、親から偏差値の高い学校へ行くよう言われて育ち、「自分にはもっと可能性があったんじゃないか」「自分の夢を親に言い出せなかった」など、自身の過去を悔やむと話す保護者からの声も寄せられました。そうしたみなさんは、口をそろえて「子どもがやりたいことを、子どもが決めることが大事」とおっしゃっていました。

「子どもがやりたいことを、子どもが決めることが大事」とは、日ごろ子育てをしているとよく耳にする言葉です。簡単なことのようにも感じますが、自分が実際親になり、子どもの将来を考え始めると、その決断をすることはとてつもなく難しく感じられます。

しかし、今回の取材を通して、実は親自身が「子どもには無限大の可能性がある」と信じることが何よりも大事なのではないかと、自らの子育てを振り返り、感じています。

みんなのコメント(6件)

感想
ぶも
30代 女性
2023年9月13日
いつも番組を楽しみに見ています。
我が家の話ですが、夫婦別々に自営業をしていて、小学生の子供がいます。主人も、私もスタッフさんを雇う機会がありました。その際、長く頑張って働いてくれ、素敵だなと思った方は大学の学歴より、高校が進学校や、部活を頑張っていた方でした。頑張った事がある人は、限界までやった辛さ、達成感を持っているのかなと感じます。
自分の子供はのんびり屋さんです。何か打ち込める好きな事を見つけてほしいなと思っています。
感想
J
50代 女性
2023年9月6日
学歴信仰が色濃かった昭和の時代と比較すると確かに今は学歴信仰は薄れて来たと思う。逆に言えば学歴はあって当たり前でそれ以上のスキルが求められる厳しい時代とも言える。学歴はすべてではないが基礎学力をつけた延長線上に学歴がある。子供達に無責任に学歴なんて必要ないと早い段階で伝えてしまうのは子供達に勉強しない言い訳を与えてしまうだけだと思う。大人達は無責任に学歴なんて必要ないと言うのではなく、まずは基礎学力と学ぶ習慣をつけるのが大切と伝える事が重要だと思う。
感想
ひつじ
40代 女性
2023年8月30日
学歴は必要か、、ですが、私は今の時代はそこまで必要ではないのかなと思います。世間で言う有名大学出身だからといってみんながみんな大企業や有名企業に就職できるわけではありません。
社会で役立つ知識や資格、スキルなど最高学府もしくはそれまでにどれだけ身につけられるかが重要なのだと思います。特に女性ですと、ライフスタイルの変化が何度も何度も訪れます。その度にフレキシブルに生きられるスキルが大事だと考えます。どこでもどんな環境でも自分らしく生きることができるためには、経済面も豊かでないとなりません。そのためには働かないといけませんが、ただお金を稼ぐだけだと息切れしてきます。その職業に必要なスキルや資格など事前に取得しているとそれは武器になると思います。より、自分が働きやすくなるはずです。将来に必要なのは、必ずしも学歴だけではないと思います。
感想
きのこ
50代
2023年8月26日
私自身高卒で、20才(大学生)と18才(受験生)の子どもがいます。学歴がなくても何とかなることもありますが、これまでに学歴の壁を感じ続けています。何か始めたいと思ったとき、資格を取りたいとき、まず四大卒が基本だったりします。頑張って行っておけばよかったと思い、これから通信制に入ることも考えています。正直四大卒じゃなくても大丈夫というのは綺麗事だと感じます。子どもが行かない選択をしてももちろんそれを応援しますが、私が昔の経験としてではなく今現在高卒で壁を感じているのでなるべくなら行ったほうが選択肢が広がると言っています。とはいえこのような記事があることも大事で。本当に学歴重視でない社会になったらいいですね。
感想
ハリネズミ
40代 女性
2023年8月26日
中3の娘がいます。
将来やりたい仕事に就き、発展させて行くためには、学生時代に勉強を通して、考え理解していく事がとても大事だと伝えています。
また言うだけではなく、親側も資格試験などあれば真剣に取り組み満点とる姿などを見せています。
娘は部活の強豪校を目指していますが、実は成績も重視される事がわかり、勉強しておいて良かったと言ってます。
感想
ぽぽ
60代 女性
2023年8月25日
先日の「あさイチ」で、「スマホを触り続ける子どもとの付き合い方」を特集していましたが、あれに通じると思いました。
子どもは「スマホを使いすぎ」の部分があることを自分でわかってる。宿題をしなければならないこともわかってる。そのなかで折り合いをつけて自分なりに考えてスマホを使ってる。
そういう子どもの気持ちを信じることができずに「宿題しないとダメでしょ!」「なんで自分で決めたことを守らないの!」と責め立てると、子どもは意欲をなくす。
もし宿題ができなくても自分のせい。ゲームしすぎて朝起きられなくて遅刻しても自分のせい。それが積み重なって自分の人生に悪影響が出ても自分のせい。そんなことは子どもはわかってる。親が責め立てなければ、子どもはいつか必ず自分で動き出す。
それを信じてじっと見守る。助けを求めてきたら、子ども自身の考えをしっかり聞いて一緒に考える。そういう親が増えることを願う。