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どう広げる?地域ぐるみの予防医療・健康づくり

視聴者や当事者から寄せられた地域のお悩みの解決を目指す「1ミリ革命 みんなでローカルグッド」。2024年2月放送回のテーマは、「地域の健康をどう守るか」でした。

番組に参加したのは、各地域で予防医療・健康づくりに力を入れている当事者たちです。宮城県仙台市からは、健康と要介護の間の虚弱な状態である「フレイル」の予防に取り組むボランディア「フレイルサポーター」のみなさん。千葉市からは、ダンスで健康づくりに励むダンスサークルのリーダー。島根県雲南市からは、地域住民の健康づくりに取り組んでいる「コミュニティナース」。さらに、関根勤さん関根麻里さん親子、フレイル予防の専門家も参加しました。

自分の健康はまずは自分で守る。その意識や行動が地域で広げていくためには何が必要か、アイデアを出し合いました。

【関連番組】

医師に頼りっきりになるのではなく、自分たちでも健康づくりを!

「1ミリ革命 みんなでローカルグッド」は毎回、視聴者から寄せられた声や悩みをいかしています。今回参考にしたのは、「クローズアップ現代 医師の働き方改革」(2023年11月放送 シリーズ#働き方を考える 医師の働き方改革 医療サービスはどうなる)に寄せられた声でした。38時間以上連続で働き続ける医師の姿など番組で伝えた過酷な労働環境に対し、放送後に以下の意見が届きました。

何でもかんでも病院に行く、患者側の意識改革も必要だと思います。

一般人の私たちがまずできることは、まずは健康的に過ごせるように努力をすることだと思いました。

※声が寄せられた「クローズアップ現代 医師の働き方改革」の関連記事はこちら↓
「医師の働き方改革」わかりやすく解説 患者に影響は? 医師からは不安な声も

医療に頼りっきりになるのではなくて、自分たちで病気になりにくい体づくりをしていく努力も必要ではないか。こうした声を受け、2024年2月放送「1ミリ革命」では、どうすれば医療に頼りすぎない地域・社会を作れるのか。
当事者、専門家、全国各地のNHK取材者などが参加し、アイデアを出し合いました。

参加してくれたのは、東京、宮城、千葉、島根から地域で健康づくりに取り組んでいる当事者のみなさんと、全国各地でフレイル対策を呼びかけている東京大学高齢社会総合研究機構機構長の飯島勝矢さん。

“フレイル”とは、病気ではないけれど、年齢とともに、筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態をいいます。加齢によって心身は衰えてしまいますが、この“フレイル”の過ごし方によって健康にも戻れるし、要介護にもなってしまう大切な時期です。フレイルは、高齢者だけではなく、働き盛りの40代、50代でも問題視され、若いときからの対策も重要になっています。

※フレイル対策に関する詳細はこちらから↓

介護や寝たきりにならないために 簡単!フレイルチェックリスト

仙台市でフレイル対策を広げるために活動しているボランディア「フレイルサポーター」のみなさん。

フレイルサポーターとは、飯島さんの呼びかけで集まったボランティア。全国各地でおよそ7000人が活動し、希望者の滑舌や筋力を測定する「フレイルチェック」を実施しています。

NHK首都圏局の小村弥生リポーターが取材したのが、千葉市で体調に合わせたダンスで健康づくりに励むダンスサークル「ダンス☆イブニング娘」。リーダーを務める國安里美さんに参加してもらいました。

國安さんたちは活動を始めて11年に。長く続いている秘訣は、 みんなで一緒に楽しくできているからだそうです。

※「ダンス☆イブニング娘」の活動はこちらから↓
TRF SAMさん×シニアダンサー 第3弾

NHK松江放送局の鈴木貴大ディレクターが取材したのは、島根県雲南市で地域住民の健康づくりに取り組んでいる「コミュニティナース」。そのひとりである宮本裕司さんに番組に参加してもらいました。

「コミュニティナース」は、医療資格を持っている必要はなく、「ご近所さんの役に立ちたい!」、「あの人の健康が気になる!」などの“心がけ”が活動として重視されています。

※「コミュニティナース」の詳細はこちらから↓

地域医療を実現するコミュニティーナース NHK地域づくりアーカイブス

さらにゲストとして、冠動脈狭窄で手術した経験から日々の健康に気を遣っている関根勤さんと、そんな父親の体調をいつも心配しているという関根麻里さん親子も出演しました。

フレイルサポーターのお悩み「男性が参加してくれない・・・」

今回、番組に悩みを打ち明けてくれたのは、仙台市内でフレイルサポーターとして活動している齊藤久美子さんです。

仙台市では去年フレイルサポーターが誕生し、現在70人以上が活動しています。齊藤さんたちは地域の高齢者を対象に、体のどの部分がフレイルの状態になっているか、またはなりそうか気付いてもらうために、市民センターや集会所などで滑舌や筋力の測定会をしています。

フレイル対策には、3つのポイントがあります。①栄養(食・口腔)、②運動、③社会参加。フレイル対策として特に重要なのが③です。加齢とともに社会とのつながりが失われてしまうことがフレイルの入り口だと言われています。フレイルサポーターになれば、地域で新しい人間関係を築くきっかけにもなります。仙台市では、東日本大震災の経験から日ごろのつながりが災害時にも大いに役立つため、フレイル対策を通した地域づくりに力を入れていきたいと考えています。

齊藤さんも地域の人たちに日々、フレイル測定会に参加してもらいたいと呼びかけていますが、こんなお悩みがあるそうです。

仙台市フレイルサポーター 齊藤さん

「女性よりも男性の参加率が低いんです・・・」

この悩みに対して、「ダンス☆イブニング娘」の國安さんも共感。國安さんたちのダンスサークルもかつて男性が2人いましたが、1人は高齢で、もう1人は妻の具合が悪くなったことで来られてなくなってしまったといいます。国安さんも「やっぱり男性も来てくれるほうがいい。男性の参加は、私たちの課題でもあります」と話します。

男性の参加を増やすためには?①メリットを示す

どうしたら男性の参加を増やすことができるか。関根勤さんが提案したあるアイデアをきっかけに議論が盛り上がりました。

関根勤さん

「男性はメリットがあるかないかをすぐ考えちゃう。だから、『参加すると血圧や血糖値が下がる』とか、具体的な効果を示すと来やすくなると思う。実際に来てみたら楽しいので、そのまま続く可能性もある。まずは来るきっかけとして、メリットを少しでもプラスしてあげることが大事なのでは!」

小村リポーター

「取材したダンスの講習会で、実際に『医者に勧められたから来ました』と言う男性がいました!」

コミュニティナース 宮本さん

「男性がよく集まっている居酒屋やパチンコ店などで、お店の人と協力し、『毎週水曜日のこの時間帯に体操しましょう』とか、『スクワット10回やったらパチンコ玉をちょっと多めに渡しますよ』とか、参加するメリットをわかりやすく示すのも大事ですよね」

仙台市フレイルサポーター 齊藤さん

「すごくいいヒントを頂きました。私もちょっと考えたんですけれども、測定会の出席カードにスタンプを押して、全部に押されたら缶ビール1本サービスあげるよとかもいいかなって」

関根勤さん

「たとえば出席カードに、10回行くと初段。20回行くと2段、3段とか。『俺、3段だよ』とか。男性のプライドをくすぐるのもいい」

男性の参加を増やすためには?②社会全体で意識改革を!

さらに議論は、日本の医療が抱える根本的な課題へと。

鈴木ディレクター

「日本の医療は、『対症療法型』と呼ばれています。一方で予防医療はあまり診療報酬の点数が付きにくい。言いかえればビジネスになりにくいので、これまで予防医療が広がらない現状があったと思う」

東京大学高齢社会総合研究機構機構長・医師 飯島さん

「予防医療や健康づくりの基本的な部分、すなわち『自分のことは自分で』という意識改革をどう骨太に国民に伝えていくかが今、問われていると思います」

関根勤さん

「若い女性には、『やせてればいい』っていう感覚がある。筋肉があることで幸せになれるんだっていう意識をシニアからではなく若いうちから持ってほしい。若いうちから土台があれば、シニアになってもっと楽にスーッと年をとれるわけですよ」

ダンス☆イブニング娘 國安さん

「若いころにやっていたことを、年齢を理由にやめてしまう方って多くないですか。年齢を重ねても楽しんでいい。その土台を若いときから作ってもらえれば、シニアになって予防医療や健康づくりに入り込みやすいのでは」

小村リポーター

「実際に私の母親世代がキラキラ輝いている姿を見ると、私たち世代も『ああなりたい』、『頑張りたい』、『健康でいつまでも暮らしたい』って思うので、そういう姿をいろんなところで見られる社会になっていったら、地域全体で健康づくりに取り組むコミュニティもできていくのかなって感じています」

男性の参加を増やすためには?③楽しい雰囲気づくり

今回の議論では、関根勤さんが次から次へとアイデアを出してくれました。

関根勤さん

「フレイル対策の活動をする場所に、小さいときに憧れたものがあると盛り上がるのでは。男性なら『鉄腕アトム』や『鉄人28号』とか。女性なら『リボンの騎士』とか。そのポスターを貼っておくだけでも、『わあ、来てよかった。懐かしいなあ』って少年時代に戻れて楽しくなるのでは」

関根麻里さん

「健康には心、体、社会がある。心と体はイメージがありましたが、社会もとても大切なんですね。社会とのつながりを持つためには、楽しい雰囲気作りは必要ですよね」

仙台市フレイルサポーター 齊藤さん

「楽しい雰囲気作りのために、私たちも勉強して、芝居みたいな感じで、役割を決めてプチ劇団みたいなものを作って、それをもとにしたコミュニケーションづくりに励みたいと思いました」

関根勤さん

「『おかあさんといっしょ』」のお兄さんとかお姉さんをちょっと見習ってみてください。ちょっと恥ずかしいって気持ちがあるけども、すごく明るい人を真似れば、それよりもちょっと下でもずいぶん明るくなりますから」

共感が共感を生んでアイデアが生み出される

番組に参加してくれたみなさんは、当事者、専門家、タレント、取材者とそれぞれ立場は違います。しかし、同じ問題意識を共有し、フラットな関係性で議論することで共感が生まれ、みなさんとてもユニークなアイデアが浮かんでいました。収録後にフレイルサポーターの齊藤さんは、「とても刺激になった」と興奮気味に話していました。番組で生まれたアイデアは、具現化するのか。「1ミリ革命」では、引き続き取材していきます。

この記事の執筆者

第2制作センター ディレクター(「1ミリ革命」プロジェクト・クローズアップ現代)
阿部 公信

福島県いわき市出身。福井局や大分局での勤務経験などをいかし、地域課題の解決を目指すコンテンツを制作。みなさんからの情報提供をいかした“エンゲージドジャーナリズム”に力を入れている。

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