
学生の5人に1人が「#生理の貧困」
経済的な理由などで生理用品を購入したり、入手したりすることができない「生理の貧困」。前回の記事では、コロナ禍でアルバイトの収入が激減し、節約のために生理用品を使えなくなった専門学校生の声を紹介しました。
こうした問題が、いま日本でどれくらい広がっているのでしょうか。今回は、インターネット上で続けられているアンケート調査の中間結果を紹介します。
学生の “生理の貧困” 日本の実態は

アンケート調査を行ったのは、20代の若者でつくるグループ「#みんなの生理」です。
「全ての人の生理に関するニーズが満たされどんな人も自分らしく暮らせる社会」をビジョンに掲げています。生理に関する啓発活動を続ける中で、「生理用品を十分に買えない」という声が届くようになり、「生理の貧困」の実態調査を行うことにしました。
調査は2月17日から、高校生以上の生徒・学生を対象にインターネット上で行われ、SNSで協力を呼びかける形で広がりました。3月2日までに671件の回答が寄せられています。
(※このオンライン調査は今も継続中です。詳しくはこの記事の末尾をご覧ください)
5人に1人の学生が「生理用品を買うのに苦労」

過去1年で、経済的な理由で
「生理用品を買うのに苦労したことがある」と答えた割合は20%
「買えなかったことがある」と答えた割合も6%でした。
「生理用品を交換する頻度を減らしたことがある」と答えた割合は37%、
「友達などにもらった」は29%、
「トイレットペーパーなどで代用したことがある」も27%に上りました。
生理によって学業や仕事に深刻な影響も

また、過去1年に生理が原因で生活にどのような支障があるか聞いたところ、
「学校を欠席・早退・遅刻したことがある」と答えた割合が49%、
「運動を含む学校活動を休んだ」が47%、
「アルバイトなどの仕事を休んだ」が31%、
「テストや受験などを休んだ」が9%、
「就職活動や面接などを諦めた」が6%、
「重要なイベントや大会などへの参加を諦めた」が20%でした。

調査では、約6割の人が「生理痛など生理による体調不良のため」に、生活に支障が出ていると答えていますが、そのうち13%の人が、経済的な理由などで「痛み止めや低用量ピルなどを買えなかった」としています。
コロナ禍で“生理の貧困”が深刻化
新型コロナウイルスの感染拡大によって、生理用品を手に入れるのがより難しくなっている実態も明らかになりました。「新型コロナの影響で生理用品を入手するのに苦労したことがある」と答えた人の割合は25%と、4人に1人に上ります。

その理由として最も多かったのは、「品薄で入手困難だったから」(81%)という回答ですが、「収入が減ったから」(23%)、「他の支出が増えたから」(13%)という経済的な理由を挙げる回答も少なくありませんでした。
「想像以上に深刻」社会に求められる変化は

「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん
オンライン調査を行った「#みんなの生理」の共同代表・谷口歩実さんは、日本の「生理をめぐる状況は想像していた以上に深刻」だと話しています
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「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん
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「健康に関わるものなのに、節約のために不衛生な状態を強いられている人がいるっていうのがすごく衝撃的でした。また、生理があるというだけで社会参画の機会が少なくなっている事実は重く受け止めなければいけないと思います。今まで“生理の貧困”は海外で起きていることという雰囲気がありましたが、より多くの人が自分事として取り組んで、社会全体として生理を支えていけるような仕組みづくりを考えたいです」
日本でも明らかになり始めた「生理の貧困」の実態。あなたはどう感じましたか?
私たちは、これからも生理をめぐる問題、解決に向けた動きを取材していきます。記事に対する感想や意見、あなたの体験談、取材してほしい内容などを、下の「コメントする」からお寄せください。
<記事で紹介したオンライン調査について>
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「#みんなの生理」による中間報告
日本にも「生理の貧困」5人に1人の若者が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」
「#みんなの生理」アンケートについて
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