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身の回りのエコグッズ 本当にエコな使い方をまとめました【インスタ画像でわかりやすく解説】

レジ袋のかわりに使う「エコバッグ」。
コーヒーチェーンやコンビニなどで普及が進む「リユースカップ」。

最近では日本マクドナルドが全店でプラスチック製のストロー・スプーン等を「紙製」や「木製」に切り替えたことも話題になりました。

“でも、実際はどのくらいエコに効果があるの?”

二酸化炭素(CO2)は具体的にどのくらい排出削減できているか。

そもそも代替品を作るにも二酸化炭素は出ているし、本当にエコなのか……もやもやしたことがある人もいるのではないでしょうか。

今回、東京大学講師で環境工学が専門の中谷隼さんとデータ分析を行いました。

その結果から、エコグッズの本当に効果のある使い方が見えてきました。

(NHK「クローズアップ現代」より)

※サムネイルの画像を矢印に沿ってスワイプすると、インスタグラム「地球のミライ」で投稿した画像の続きを見ることができます。

取材協力 東京大学大学院工学系研究科・中谷隼講師
製品の製造から廃棄までに生じる環境負荷を測定・数値化し、環境効果の実証実験を監修

エコバッグ 実は○○回以上使って、ようやく効果がある?

今や買い物に欠かせない存在となったエコバッグ。

でも、このエコバッグも私たちが手にするまでの間にCO2を排出しています。

プラスチックのレジ袋の代わりに何回エコバッグを使えば、ようやく“エコ”と言えるのか?

中谷さんの答えは「50~150回」。(出典:UNEP (2020))

取材班は「思ったより多く使わないとエコとは言えないんだな」と感じましたが、いかがでしょうか。また、数字にも幅があります。

なぜか。

一般的なエコバッグは“綿”や“ポリエステル”といった素材でできていることが多く、そうした素材を作る段階でCO2を排出しています。そこから糸を紡いで布を織るなどの「製造」や、店頭に並ぶまでの「輸送」など、様々な段階で出るCO2排出量を積み上げると、結果的にレジ袋の50~150倍の数字になったのです。数字に開きがあるのは、CO2の排出量が素材によっても変わりますが、「重さ」によって大きく変わるのも理由。より重い製品のほうが、製造時も輸送時も多くのエネルギーが使われ、CO2の排出量も増える、ということ。

ちょっと説明が細かくなりましたが、上記を図式化したのがこちら。

これは「ライフサイクルCO2」という考え方です。モノが生まれてから廃棄されるまで一連の流れのなかで排出されるCO2をすべて含めて考えよう、という概念。

これを頭の片隅に入れておくと、どうすればより効果的なエコを実践できるかの“ものさし”になりそうですね。

紙ストローとプラスチックストロー、どっちがエコ?

次に、近年普及が進む紙製のストロー。

ドリンクの味がこれまでと違うように感じる、形が崩れてしまうなどの声も聞かれますが、実際どれくらいCO2の削減に効果があるのか。

中谷さんの答えは「約2分の1」。(出典:Tetra Pak (2019))

紙製のストローはプラスチックストローに比べてCO2の排出量が半分ほどになるというデータがあるといいます。

中谷隼さん

「紙は植物からできています。植物は大気中のCO2を吸収するため、その分だけ環境影響が低いと考えられています。一方で、その紙を作る段階や、ストローに加工にする段階などでCO2を排出するため、それらを積み上げるとプラスチック製ストローの半分というのがひとつの目安になると思います」

プラスチック容器のリサイクル どう処理するのが正解?

最後は少し毛色が異なりますが、取材班がSNSで「エコについての悩み」を質問したときに多くの人から回答があったこの問題。

「弁当容器を水で洗って捨てているけど、そもそも水を使うのがもったいないのでは?」

「洗ってまでリサイクルするほど、効果があるのか?」



中谷さんの答えは、

そのまま捨てて燃やした場合のCO2排出量を「1」とすると

①水で洗うことによるCO2排出量は「40分の1」

②お湯で洗うことによるCO2排出量は「8分の3」

中谷隼さん

「確かに、水で洗うことは環境負荷がゼロなわけではありません。水を使うときに浄水施設でエネルギーを使ったり、下水処理施設でエネルギーを使ったりしています。ただ、それでも可燃ごみに捨てて燃やしてしまった場合の環境影響のほうが重いというのが我々の計算です。多少の環境負荷があっても、リサイクルのために水で洗うのは問題ないかと思います。一方でお湯を使うことは、環境影響が結構大きいんです。より多くのエネルギーを使うので、私たちの試算だと水で洗うときと比べて影響が約15倍とでています」

中谷さんによると、油汚れなどがひどいとき、小さい容器であればリサイクルの効果もそれほど大きくないため、洗わず捨てるほうがエコなときもあるということでした。

(※リサイクルの方法についてはお住まいの自治体のルールをご確認ください)

いかがでしたでしょうか。

この記事では二酸化炭素(CO2)削減という観点でどうすればより効果的なエコを実現できるか見てきましたが、環境問題は“海洋プラスチック”や“水資源”についてなど、さまざまな視点で考えていく必要もあります。

エコについて考えるとき、ひとつの参考になれば幸いです。

本当はどっちがエコ!? 徹底検証“実際の効果”

全国に展開する大手コーヒーチェーン。
2021年から一部の店舗で二酸化炭素削減のために使われているのが、客が持ち帰り返却することの出来る「リユースカップ」。
みなさんも環境にいいと思って使っている人も多いのでは?
実際、どれほど二酸化炭素削減に効果があるのか。実証実験をしてみると…

実験では、それぞれのカップを使う際に排出される二酸化炭素の量を比べます。リユースカップを100回使ったとしても、使い捨てのプラスチックカップに比べて二酸化炭素の排出量が多く、環境への負荷が大きい場合があることが分かったのです。

実証実験を行っている会社 吉村 祐一さん

「かなり衝撃的な数値。正直なところ、こんなに繰り返し使わないと逆転しないのだというのが率直に思ったところです」

衝撃的な数値になった理由は?
▼リユースカップを洗う際、お湯をわかすため電気が必要です。この発電の際に二酸化炭素を排出。
▼カップを製造する際にもプラスチックより二酸化炭素を排出。
▼実験の結果に大きな影響を与えたのが輸送の際、車から出る“排気ガス”でした。

このサービスではコンビニやカフェなど約40店舗を回り、カップを回収。洗浄する工場までは1時間ほどかかり、その結果、使い捨てのプラスチックカップに比べて二酸化炭素の排出量が増える場合があるのです。

この会社では洗浄する場所などについて検討を重ねています。

担当者

「ちょっと大きめのホテルだったら絶対宴会会場があって、(洗浄に)利用とかができたらいいなと個人的には思いました」

さらに、実証実験を今後も続け、データを公開。利用客に、カップを使えば使うほど効果が上がることを実感してもらおうとしています。

実証実験を行っている会社 吉村 祐一さん

「どれか1つだけやっていくといっても、実はあまり効果が見えにくいというところがあるので、しっかりデータを集めて最適なところがどこかをサービスとして検討していきたいと思います」

インスタグラムでも画像を公開中

インスタグラム「地球のミライ」では、環境問題や気候変動のほかSDGsの達成に向け、いま課題になっていることを写真やグラフィックで紹介しています。こちらも合わせてご覧ください。
インスタグラム「地球のミライ」※NHKサイトを離れます

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