
未利用魚・低利用魚 季節ごとのおすすめ&レシピ
カナガシラ、コバンザメ…。
加工しにくい、腐りやすいなどの理由で廃棄されていた“未利用魚”やあまり利用されていない“低利用魚”。
その中から、一般的に手に入りやすく、おいしい魚について、魚をおいしく食べる伝道師“ウエカツ”こと上田勝彦さんおすすめの季節ごとのお魚を紹介します。
また、比較的簡単に、おいしくいただくことができる、おすすめの調理法もご紹介します。
「未利用魚」の取り寄せなど様々なサービス 詳しくは☟
https://www.nhk.or.jp/minplus/0019/topic077.html
ウエカツさん推薦 季節ごとのおすすめ未利用魚

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“ウエカツ”こと上田勝彦さん
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元漁師・元水産庁職員
魚をおいしく食べる伝道師として活動
イラ(春~夏)

春から夏にかけてのウエカツさんおすすめの魚がイラです。
イラは、ベラの仲間に共通な派手な色や、内臓の臭みが原因で、釣り人や料理人など、味が良いことが分かっている人にしか利用されていないと言います。
しかし、皮が厚くゼラチン質に富み、身には爽やかな甘みがあり、透き通るような白身の刺身はもちもち、加熱すればふんわりした食感。
皮付きの湯引き、天ぷら、塩焼き、ムニエル、蒸し物にするととてもおいしい魚です。
シイラ(夏~秋)

シイラは、表皮の粘液にヒスタミン中毒の元となる細菌が多くついていて、大型の魚の割には身が薄くて、鮮度落ちが早いため、宮崎、熊本、佐賀、長崎、福岡、日本海西部、四国の太平洋側以外ではあまり食べられていません。
しかし、肉の旨味が強く、ハワイや沖縄などでは高級魚。
総菜にもしやすく、和洋中各種料理に対応できる肉質だといいます。
注意点として、皮を最初に剥いでしまうことが食品安全上は好ましいということです。
ウエカツさんおすすめの料理は、刺身、フライ、味噌汁、ムニエル、ミンチにして餃子やハンバーグ、セビーチェなどです。
ニザダイ(秋~冬)

ニザダイは、表皮が固く、尾の付け根に鋭い刃上の突起があり、内臓に臭みが強いことから敬遠されがちです。
しかし、秋から冬にかけては脂乗りがよく、バターのような風味となる白身のお魚です。
皮を剥いで刺身(特にぶつ切り)、煮つけ、ソテー。
ウエカツさんによると、注意点は、さばく時に内臓に刃を入れないよう背側からおろすことが肝要だといいます。
アイゴ(冬~春)

アイゴは、各ヒレの鋭い棘に毒があり扱いにくく、餌の関係から磯臭さが強いうえ、魚体の割に身が薄いため、沖縄、九州、四国の今治、和歌山などを除いてあまり食べられていません。
しかし、内臓や皮に磯の香りがあり、旨味の強いきれいな白身のお魚です。
ウエカツさんおすすめの食べ方は、皮をひいた刺身、皮を焼いたたたき、そして、干物や塩煮(沖縄のマース煮)などだということです。
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“未利用魚”をお手軽においしく おすすめレシピ
【ウエカツさん一押し!湯煮】

魚をおいしく食べる伝道師“ウエカツ”こと上田勝彦さん一押しの調理法。
とにかく簡単、魚の種類を選ばない、魚本来の味を楽しめるなどの利点がたくさんある調理法だといいます。
レシピはこちらから?
ウエカツ流 湯煮
「石巻さかな女子部」おすすめ カナガシラのレシピ
未利用魚のひとつ「カナガシラ」。
長崎県では「ガッツ」と呼ばれ、節分の日に食べる風習があるそうです。
大きくてかたい頭やするどいヒレがあり、「おろすのが大変そう」という意見も多い魚です。
「石巻さかな女子部」のみなさんによる、おろさず丸ごと使えるレシピを紹介します。
このレシピは様々な未利用魚に応用することも可能だといいます。
【塩焼き】

材料
●カナガシラ・・・人数分
●塩・・・適量
つくり方
1 下処理はウロコをとるだけ(内臓が気になる人は内臓もとる)
2 塩をふる(ヒレや尻尾にしっかりと塩をつけると焦げにくい)
3 魚焼き器で焼く
【煮つけ】

材料(2人前)
●カナガシラ・・・2尾
●酒・・・180cc
●醤油・・・大さじ2
●みりん・・・少々
●砂糖・・・大さじ1
つくり方
1 ふた付きのフライパンに酒を入れ、沸騰させる
2 酒が沸騰したら金頭を入れ、ふたをする。中火で3~5分ほど煮る
3 火が通ったら弱火にし、醤油、みりん、砂糖を入れる
4 身にこまめに汁をかけながら、2~3分煮つめる
【ブイヤベース】

材料(3人前)
●カナガシラ・・・2尾
●あさり・・・180g
●えび(無頭)・・・4尾 ※スクモガニなど旬の甲殻類があれば代用可
●白ワイン・・・1/2カップ
●じゃがいも(大)・・・1個
●サフラン(乾燥)・・・あれば適量
●ホールトマト缶・・・1缶
●オリーブオイル・・・大さじ1と1/2
●塩コショウ・・・少々
●パセリ(みじん切り)・・・適宜
●洋風スープの素(顆粒)・・・小さじ1/2
●水・・・1と1/2カップ
つくり方
1 あさりは薄い塩水(分量外)に浸して砂出しをし、流水の下でこすり洗いをする。
2 えびは殻をむき、背わたを取る。カナガシラは食べやすい大きさに切る。
3 白ワインにあればサフランをつけておく。
4 じゃがいもは皮をむき、食べやすい大きさに切って、水にさらす。
5 鍋にオリーブオイルを熱し、ホールトマトを加えて水分を飛ばしながら
ペースト状になるまで炒める。
6 鍋に水と洋風スープの素、上記すべての食材を入れて、
途中アクを取りながら約10分煮込む。
7 塩、こしょうで味を調え、あればパセリをふる。
調理の難しさなどの原因で食卓から遠ざかってきた「未利用魚」。
調理法を工夫することで、おいしくいただくことができます。
「未利用魚」を積極的に食べて、食卓を彩る魚の種類を増やしてみてはいかがでしょうか。
クローズアップ現代 2022年7月4日
“もったいない魚”未利用魚で食卓を豊かに!安くてうまい簡単レシピも!
※7月11日まで見逃し配信