
服の原材料を生産する農家に直接支援も
綿花をつくるアフリカ・ザンビアの小規模農家。いま日本の商社と、ある取り組みを行っています。それは、洋服のサプライチェーン(=供給網)の「見える化」。農家の人たちが肥料の量など栽培の過程をスマホに入力すれば、消費者が製品を購入した際にその情報を確認できるという仕組みです。さらに、消費者が貧しい農家に直接支援することができる新たなサービスも…。ザンビアで始まった新たな動きをご紹介します。

服の原料となる綿花を作っているのはアフリカ・ザンビアの小規模農家です。化学肥料や農薬の使用を減らしたり、手摘みで収穫するなど環境にやさしい農法を目指しています。
2021年、約1000軒の農家が日本の商社と新たな取り組みを開始しました。

実証実験として取り組んでいるのが「見える化」です。
ザンビアの農家は、いつ種をまいたのか、使用した肥料の量など栽培の過程をスマホに入力していきます。
最初は半信半疑だった農家のひとたちも、“ 貧しい農村に何か新しいものがもたらされる”と興味を持つようになったといいます。

4月に行われたサステイナブルファッションの展示会では、ザンビアで生産された綿花を使ったTシャツやズボンが紹介されていました。
現在、具体的な販売に向けた準備を進めていて、サービス開始は来年春ごろの予定です。

消費者は洋服を購入すると、タグについているQRコードで農家の情報や綿花が作られた過程を確認できます。
また、タップすることで消費者が売り上げの一部を農家に直接還元することができると言うことです。

-
小林 希さん
-
製造過程が長いアパレルにおいて小さな農家の一軒まで追跡することは難しいですが、農家の情報を世界に届けて、
アフリカの価値を高めたいと思っています。
そして収益を現場に還元して、サステイナブルな社会をつくっていきたいです。

JICA(国際協力機構)の報告書によると、ザンビアの農村部においては80%近くが貧困層という状況です。日本の大手商社では農家に対し、綿花栽培の知識や技術を共有するプログラムを実施。生産性を向上させ、収入の増加にもつなげるねらいです。
農家からは“きちんした知識を得られてよかった”との声も上がっていると言うことです。