私たちのファッションが途上国にしわ寄せ!?【インスタ画像でわかりやすく解説】
世界中から洋服が集まり、"ごみの山"になっているという場所があります。
日本から遠く離れた南米チリのアタカマ砂漠では、放置された服が土壌汚染を引き起こしたり、大規模な火災の原因にもなっています。
私たちの便利な生活が環境にどんな影響を与えているのか、洋服から考えます。
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途上国にしわ寄せ 私たちのファッション
砂漠に現れた大量の服の山の正体は、世界中から集まり、違法に捨てられた大量の衣服。南米・チリのアタカマ砂漠近くの自由貿易港は世界各地から年間約6万トンの売れ残りなどが集まり、南米の業者の取引拠点に。
しかし、6割以上の衣服はここでも売れ残り、一部の業者が処分の手間を省こうと違法に砂漠に運び込んでいると、地元の自治体はみています。

服には自然界で分解されない化学繊維が使われているものも少なくなく、砂に埋もれていくと土壌を汚染。去年10月には野ざらしになった服が燃え、大規模な火災が発生。大量の有毒ガスが発生する事態も。
アメリカのコンサルティング会社によると、世界で生産されている衣服は2000年からの14年間で1,000億着を超えています。 背景の一つには大量に作られ、価格も安い、「ファストファッション」の浸透も指摘されています。二酸化炭素の排出や大量の水の使用など、これまで衣服を作る過程の問題が指摘されてきました。さらに、売れ残りや古着の処理の課題も明らかに。

国内で売られたり処分されるだけでなく、他の国に輸出される古着。しかし買い手がつかず行き場を失った衣服が砂漠に積み上げられている現状も。
2016年、タンザニアやウガンダなどで作る「東アフリカ共同体」の古着の輸入禁止で合意。しかし、古着の輸出大国アメリカの業界団体が猛反発。そして、東アフリカ共同体は輸入禁止を断念しました。
日本人1人あたりの消費・ 利用状況(年間平均)は、
購入する服:約18着
手放す服:約12着
着ていない服:25 着
(環境省の調査)
私たちの消費生活もこの問題に深く関わっていることが見えてきます。
最近では「南北問題」ということばに代わり、「グローバル・サウス」ということばが使われるようになっています。
「グローバル・サウス」とは地理的なことを指すのではなく、現代の豊かな生活を支えるために“しわ寄せ” を受ける人々・場所のことです。
社会の生産や流通の仕組みが複雑になり、こうした場所や人の存在が見えづらくなっています。
私たちにできることは?
まずは自分たちにとって当たり前の便利な生活がどこにどんな影響をもたらしているのか知ろうとする。その上で、理不尽な扱いを受ける人や地域が出ないように、私たち消費者がどんな行動を取ればいいのか、考えていければと思います。
若い世代が挑む 衣類を“捨てない”挑戦

大学4年生のチャイルズ英理沙ミチさん。寄付という形で送られたはずの古着が途上国で大量に捨てられている現実を知り、それを防ぐための活動を続けています。
衣服の大量廃棄が問題になっているアフリカのガーナ。アーティストのセル・コフィガさんは、廃棄素材をデザイン性の高い服に再生し、環境汚染などを訴える活動をしています。その活動に共感したチャイルズさんたちが連絡を取ると、ガーナの“再生服”を日本で展示することになりました。これまで東京や大阪でイベントを実施。
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チャイルズ英理沙ミチさん
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「別の国のどこかで誰かがしわ寄せを受けているので、気付けるようなポジティブな連鎖を作りたい」

木の実からとれる繊維に注目した服も。「カポック」という素材を使った服は、鳥から羽毛も取らず木も伐採しない素材で服を作る取り組みです。インドネシアに自生している「カポック」は中の綿が軽く保温性が高いため、羽毛の代わりとして使われています。1本の木で年間約30着分の繊維をまかなうことが出来ると言います。
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「KAPOK KNOT」 代表 深井喜翔さん
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「服が作られた背景を知ってもらうことで、消費の考え方も変わってくるのではないか。大量生産・大量廃棄というサイクルから脱却し、これまでなかったような選択肢を作ることを目指しています」