COP26の舞台裏 "議長の涙" そのワケは?【インスタ画像でわかりやすく解説】
2021年、開催された国連の気候変動対策の会議「COP26」。
現地取材班は、その舞台裏を取材していました。
今回お伝えするのは、COP26の最終日にシャルマ議長が流した”涙”のワケについてです。
いままでは努力目標にすぎなかった「1.5度」が事実上の共通目標になった「COP26」。
“歴史的な合意”とも評価された一方で、課題も残りました。議長が流した理由もそこに…。
チコちゃんと一緒に考えます。
※サムネイルの画像を矢印に沿ってスワイプすると、インスタグラム「地球のミライ」で投稿した画像の続きを見ることができます。
COP26 舞台裏を取材 議長の涙 そのワケは?
ねぇねぇ、田村記者、会議をまとめていた人が涙を流したって聞いたんだけど 何があったの?
イギリスのシャルマさんのことだね。そんなことまで知っているなんて、さすがチコちゃん!
シャルマ議長は悲しいっていうより、悔しかったから涙をみせたんじゃないかなと僕は感じたよ。
こないだ今回のCOPでは、「世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求することを決意する」ことが決まったって話したと思うけど、実は、決まるまでには本当にいろんなことがあったんだ。
シャルマ議長はCOP26の開催前から数十か国を訪れて下地作りを進めていたんだよ。そして、「COP26の責任はすべての国にある」と強い決意も示していたんだ。
開催期間の中盤にシャルマ議長が示した案では、「石炭の段階的な廃止の加速を呼びかける」と記されていたんだ。
これには日本政府の関係者も「想定よりはるかに高い要求」と驚きを隠せなかったり、サウジアラビアからは「特定のエネルギー源に対する偏見を持つべきではない」と反発も出たんだ。
最後のとりまとめのとき、インドが「廃止」という文言に反発してこの案でもまとまらなかったんだ。
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インド ヤーダブ環境相
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「途上国には化石燃料の使用を続ける権利がある」
南アフリカなどインドの主張に同調する国も出て、会議は混乱して、2時間以上に及んだんだよ。
COPは全会一致を原則としているんだけど、このままでは最大の使命としていた「1.5℃」の合意も危ぶまれる事態になったんだ。
みんな、それぞれいろいろな思いがあるのね。
ここで動いたのがアメリカと中国だったんだよ。
シャルマ議長とアメリカ、中国、インド、EUの代表が別室で話し合いを持ったんだ。
その後、再開された会議でインドが「段階的な廃止」を「段階的な削減」と変更することを提案して、最終的に容認されたんだよ。
「石炭」にこだわってきたシャルマ議長は「このような展開になってしまったことをおわびします」って、目に涙を浮かべながら話していたんだ。
「石炭」にこだわって「1.5℃」の努力目標まで合意できないことは避けたいと考えたんだ。
今回のCOPは『歴史的』とも言われるけど、裏ではギリギリの交渉があったんだよ。
チコ、大人の世界は分からないけど...シャルマさんの涙が報われる日がくることをいのってるわ。田村記者、ありがとう。
世界との“差” 刺激を受けた若者たち
続いて、ご紹介するのはCOP26に参加し、現地で13回もスピーチを行った日本人の大学生、田中迅さん。現地で世界の若者たちと交流することで何を感じたのでしょうか?
ねえねえ、岡本記者。
COP26には若いお兄さん、お姉さんたちもたくさん参加していたのよね。どんな経験だったんだろう。チコ、気になるわ。
そう、COPに参加した若い人たちにたくさん話を聞いたんだけど、きょうは、その中の1人を紹介するね。
大学4年生の田中迅さんは、気候変動問題は環境問題の中でも最もスケールが大きいから若い世代として議論に加わらなければと活動を始め、COPにも参加したんだ。
これまで熱心に活動していた田中さんは、COPのイベントにも招かれて13回もスピーチする機会があったんだ。
スピーチでは、島国の日本が気候変動で海面上昇が起こることに備えて、沿岸地域のインフラ整備の考え方を変える必要があるなどと訴えたんだ。
すっごーい。田中さんにとって、おおきな経験ね。
そうだね。でもそれだけじゃないんだ。
田中さんは今回参加してみて、若者を取り巻く環境に日本と世界で差があることを感じたんだ。
海外の若者には専門的・技術的な知識のある人たちがたくさんいたんだけど、応援してくれる企業や政府などがいることも多くて驚いたんだって。
じゃあ、日本も頑張らないとね!
そうだね、資源がなくても高い技術力で経済大国になった日本に世界が注目していることも田中さんは感じたんだ。
COPでの経験をいかして、日本の若い人たちが世界で活躍できるきっかけづくりにも取り組むって言っていたよ。
今回の取材で若者たちの声を聞いて、日本でも若者たちが気候変動について自由に議論して、そこでの声を政策に反映するような仕組みを作ることが大事だなと感じたよ。
COP26についていろいろと教えてもらったことで、難しいことも多かったけど、チコ、明るい気持ちになったわ。岡本記者、そして田村記者、ありがとう!
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