
「ブラック校則をなくそう!」寄せられた6万人の署名
2017年、大阪府立高校の女子生徒が「生まれつきの髪が茶色いのに黒く染めるよう強要され不登校になった」として損害賠償を求めた裁判がありました。その裁判がきっかけになって立ち上がったのが「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト。髪の毛を強制的に黒く染めさせるなど、一般社会から見て“理不尽”と思える校則を「ブラック校則」と呼んで、その問題に取り組む活動です。
活動を行っている団体には1000件を超える体験談が寄せられていて、大きな動きになっています。
生徒や親からの悲痛な声

団体に寄せられた体験談です。
団体のメンバーで、評論家の荻上チキさんは、「多くの人達がこれは理不尽だと思っていて、なんとかしてほしいと思っていることが読み取れる」と言います。
生徒だけではありません。子どもの様子を心配する保護者からの声もありました。


荻上チキさん
「多くの人たちが安心して学校に通えるための校則であったはずが、その校則が多くの人たちにとってストレスフルなもので、そのストレスに耐えられない人たちは、むしろ学校からドロップアウトしていくというような、構図になってしまっていると思うんです。」
厳しい指導が不登校の原因になった人も
校則をめぐる厳しい指導が原因で不登校になったという、山本龍仁郎さん(19歳)。 怒られた時のつらさは、今も忘れられないと言います。
山本さんが不登校になったきっかけは、中学1年生の時。身だしなみについて指導されたことでした。通っていた学校では、毎月、全校集会の場で、髪型や靴紐の色などのチェックが行われていました。山本さんは、わずかに髪の毛が耳にかかっているだけで、教師から何度も叱責されました。
山本龍仁郎さん
「耳に髪の毛が1mmでもかかっていたとしたら、その場に立たされて結構怒鳴られますね。怒られると言うより怒鳴られる。」
時には、壇上に立たされ、他の生徒の前で謝るよう強要されることもあったそうです。 次第に学校に行くのが怖くなり、家に引きこもるようになっていきました。
山本龍仁郎さん
「つらいというか、耐えきれなくて。これが3年間続くんだと思ったら無理やなって。そこで一気に挫折というか。折れちゃいました自分の中の何かが。行く気はあるのに、学校のせいで学校に行けないっていう。なんか複雑な気持ちと葛藤と。なんですかね。悔しかったですね。」
山本さんの通っていた中学校はNHKの取材に対し、「身だしなみの乱れは生活の乱れにも繋がる。生徒を追い込むような指導はなかったはずだ」と答えています。
教育現場の改善を求める署名は6万人あまりに
去年8月、理不尽な校則の問題に取り組む「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトが、記者会見を開きました。プロジェクトに賛同する6万人余りの署名を文部科学省に提出。教育現場の改革を訴えました。

要望書では、精神的・身体的な被害を訴えるほどの指導の把握と早急な対応、黒染め指導の廃止、セクハラにつながる下着などのチェックの廃止、校則違反者に対する過重な指導の廃止などを求めています。