
生徒や教師、保護者…「三者協議」で校則を考える
「児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない」
実はこれ、文部科学省が、“本来の校則のあり方”について記したものです。
具体的にどうやって見直していくのか。模索を始めた学校を取材しました。
生徒、学校、保護者で話し合い
和歌山県立粉河高校では、年に2回、生徒や教師、保護者が集まる「三者協議会」を開いてきました。それぞれの立場で、校則などへの意見を出し合い、全員が納得できるルール作りを目指しています。

私たちが取材をしたこの日、生徒から、体育祭で写真を撮るために携帯電話の使用を許可して欲しいという声があがりました。
これまで携帯電話の校内での使用は、授業の妨げにならないよう原則禁止されており、体育祭でも競技や応援に支障が出る懸念があると使用は認められていませんでした。
教師:「カメラを使いたい理由を教えてもらってもいい?」
生徒:「携帯に(写真を)入れられないから嫌です。先生が撮っても自分たちの携帯に入れられないから、意味がない。」
体育祭の思い出を残すために、使用時間を限定した上で撮影したいと、新たなルールを提案した生徒たち。
しかし、教師や保護者からは、懸念の声があがりました。
保護者:「30分って結構あっという間だし、そこでバシッとみんな回収できるかって、結構難しい面も出てくると思う。」
教師:「そこのルールが守れるかどうか。ここにいる子は ほとんどはウンウンってわかってくれてる子が多いと思うけど、中に『まぁええやん』っていう子がいたら怖い。」
みんなが納得できるルールを生徒が考える
どうすればルールを徹底できるのか。生徒たちにその仕組み作りが委ねられました。体育祭までの1か月。生徒会のメンバーは、連日、話し合いを続けました。

生徒会が考えたのは、体育祭当日、携帯電話を一度預かるというアイデア。撮影する時だけ生徒たちに返却することで、決められた時間以外は使えないようにするというものです。このアイデアは教師たちに認められ、生徒会は全校集会で、ルールを守るよう周知しました。
体育祭当日。撮影できる時間は30分。ルールを破る生徒はいませんでした。
生徒会長: 「何か月もかけてルールを考えて良かったなと思います。頑張ることにはちゃんと意味があって、みんなのことを信用するのも大事だなと思いました。」
生徒会の顧問教師は、学校の押しつけでないルール作りが、生徒の成長にも繋がっていると感じています。
生徒会顧問: 「生徒の要望はある意味リアルなものですし、教員の意見や違う角度からの保護者の意見がいろいろ重なることによって例えば生徒も気づかなかったものの考え方に気づくというのは自分が物事を判断する経験をしていく上で大事なんじゃないかなと思っています。」