
【メディア研究者・平和博さん】情報発信の判断基準は?
メディア論が専門の桜美林大学教授、平和博さん。新型コロナウイルスをめぐって多くの情報が飛び交う中、その情報が「感染防止に役立つのかどうか?」を情報発信の判断基準にしては、と提案します。
新型ウイルスに関して、海外ではどんなデマが問題に?
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平 和博さん
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次世代の通信規格「5G」が新型コロナウイルスを感染させているというデマが、世界中で氾濫しています。実際にイギリスなどでは、モバイルのアンテナに放火する事件が40件以上報告されています。なかには感染者のためにつくった臨時病院のモバイルアンテナが焼き討ちにあった例もあり、感染対策への障害になっています。見過ごせない問題だと思っています。
情報発信する時に気をつけることは?
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平 和博さん
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スマホを使って情報発信することの『威力』が体感できていない人が多いかもしれません。新聞・テレビなど旧来のメディアでは『情報発信の恐ろしさ』を新入社員にまず徹底的にたたき込みます。『誤報を出したらどういう影響を社会に与えてしまうのか』について、教育・トレーニングを行います。
しかしスマホを子どもの頃から持っているいまの人たちは、情報発信の恐ろしさや威力というものについて、きちんとトレーニングや教育を受けていない気がしています。
教育現場にいる立場としては、私自身にも言い聞かせることなんですが、それをきちんとトレーニングをしていく、教えていくことが非常に大事になっていると、いまの状況を見て強く思います。
自分がデマを拡散しないためにはどうすればいい?
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平 和博さん
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いまの状況では「感染防止に役立つのかどうか」というのは、ひとつシンプルな判断基準かと思います。例えば、医療関係者や感染した人に対する差別的なツイートをして、感染防止に役に立つのか?あるいは「ウイルスは生物兵器」などの陰謀論をリツイートすることで、感染防止に役に立つのか?
もし役に立ちそうもないならば、その『リツイートの手をいったん止めてみる』というのが、1つの考え方ではないかと思います。
「情報リテラシー」って、情報を「読み解く能力」だと思われがちですけが、実は情報を「発信する能力」でもあるんですよね。受信だけ上手、発信だけ上手という人はあまりいません。情報リテラシーは受信・発信が必ずバランス良くセットになった技術であることを、ぜひみなさんに知ってほしいです。
フェイク・バスターズ「新型コロナ 情報爆発に立ち向かう」
2020年5月5日放送