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認知症“本人の声”を大切に 全国に広がる“認知症バリフリタウン”ー前編ー

認知症になってからも心豊かに暮らすためにどうすればいいか?

いま全国各地で、認知症当事者や家族・支援者・行政や専門職の人たちが一緒になって、認知症に関する障壁(バリア)を取り除こうというまちづくりが進められています。

そんな“認知症のバリアフリーなまち”を、NHKでは「認知症バリフリタウン」と命名しました。

取材班が見つけたユニークなアイデアや実践事例をご紹介します。

(NHKスペシャル『認知症バリアフリーサミット~本人の声が まちを変える~』取材班)

NHKスペシャル「認知症バリアフリーサミット~本人の声が まちを変える~」

2023年4月1日(土)夜10:00~【総合】
※放送から1週間、NHKプラスで見逃し配信をご覧いただけます

【鳥取県鳥取市】認知症の人たちの発信が、暮らしやすい仕組みをつくる

鳥取市で2か月に1度開催されているのは、認知症の人たちによる「本人ミーティング」。

毎回10人ほどの当事者が集まり、医療や介護、行政担当者等が同席する中、認知症の人がやっている暮らしの工夫を共有したり、まちづくりの課題などについての活発な議論が行われています。その様子と成果について、鳥取市認知症本人大使・藤田和子さんと、鳥取市中央包括支援センター認知症地域支援推進員・金谷佳寿子さんにお話を伺いました。

左:藤田和子さん 右:金谷佳寿子さん

認知症の本人の“声”から変える行政の取り組み

2007年に45歳で若年性アルツハイマー病と診断された、藤田和子さん。それまで、看護師として働いていた藤田さんでしたが、自分自身が認知症本人の立場になった時、世間では認知症のことが介護の問題と捉えられていて、メディアで発信されている情報も『認知症になると、本人は何もできなくなり、家族も大変…』というようなネガティブな内容が多く、違和感を覚えます。

そして「この社会は認知症になった人が希望と尊厳を持って暮らすことが難しい状況なのではないか。認知症の人たちの人権の問題を考えてほしい」ということを周囲の人々に伝えていくと、その思いに共感する人たちが集まり始めました。

藤田さんは、スコットランドでは認知症の人が認知症ワーキンググループを作り、国の施策に「自分たちの声を生かしてほしい」と提案していることを知ります。そして2014年、同じ思いを持つ仲間と共に日本でも、『日本認知症ワーキンググループ』を作り、活動を始めました。

2017年には、『一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ』として法人化し、代表理事になりました。認知症の人が希望と尊厳を持って暮らし続け、社会の一員として様々な社会領域に参画・活動することを通じて、より良い社会を作り出していくことを目的に、認知症の本人が主体的に活動するための団体です。

地元鳥取県でも、認知症の人の声を地域の取り組みに活かすための『本人ミーティング』を開催したいと認知症支援推進委員の金谷さんなどに呼びかけ、2018年から始まりました。

本人ミーティングの様子

本人ミーティングではそれぞれの顔が見やすいように輪になって話し合います。発言をするのは認知症の本人ですが、その後ろでは行政や医療、介護など様々な分野の人々がその内容を聞き、実際に施策が改善されてきました。

例えば、外出に関する話し合いの中で話題になったことのひとつ、「靴シール」。認知症の人が迷子になっているところを警察が保護した際、靴に貼られたシールの番号によって、本人の名前や連絡先がわかるというもの。靴シールを得るには、地域包括支援センターへの申請が必要で、その際、本人の写真や名前、住所、緊急連絡先などの個人情報を登録します。その情報は警察が管理するという仕組みです。

しかし、本人ミーティングで、認知症の本人たちから「そんなかっこ悪いものは嫌だ。その靴を履いて出たくない」という声があがりました。

そこでどんな仕組みがあれば良いかを話し合い、『おかえりQRコード』というシールが採用されることになりました。QRコードには、事前に家族が緊急連絡先を登録。本人が迷子になってしまった際に、近くにいる助けを求めることができそうな人に「携帯でこのQRコードを読み取ってください」とお願いすると、家族に連絡がいき、家族は本人が迷子になってしまっていることに気付くことができます。

左:靴シール 右:おかえりQRコード

そして、助けてくれた人が「交番へ連れていく」「保護・待機する」「発見場所のみ通知する」という選択肢の中から、その後の行動を選び、本人が無事家族と会えるように手助けできる仕組みです。

発見者が家族と連絡を取る際には、直接電話で話すこと以外に、個人情報を通知せず、家族にメールを送ることもできます。

一度、迷子になってしまい警察に保護された経験がある女性は、その後、家族に心配をかけてはいけないと外出をすることにためらいを感じていました。しかし、「このQRコードがあれば、家族も安心してくれるし、自分自身も持っておくことで不安がなくなった」と話していて、認知症の人たちが杖やシルバーカーに貼るなどして、持ち歩くようになりました。

認知症本人どうしが早期に出会える場をつくりたい

本人ミーティングに参加している認知症の人から、「もっと早くに当事者どうしが出会いたかった」という声がありました。最初は恐る恐る参加していた人も、当事者どうしの場であれば「自分の考えを話すことができ、自信がついた」「生き生きとした気持ちになることができた」と前向きになることができたといいます。

藤田さん自身も、認知症初期の落ち込みやすい時期に、自分らしく生きている当事者と出会える場を作りたいという思いがありました。そこで、2019年に始めたのが『おれんじドア』という取り組みです。認知症になった人が、藤田さんたち認知症の“先輩”と出会い、生活についての悩みなど、なんでも話していく中で認知症になってからの暮らしを考える場になっています。

おれんじドアの様子

おれんじドアは、疾患医療センターの1階にある、認知症の人が訪れる診察室の隣で開催されているので、診察後に医師から案内があり、参加する人もいます。開催は、毎月第4木曜日で、参加は無料。1人につき1時間、藤田さんと認知症の人、本人どうしがじっくり話をすることを大切にしています。時には藤田さんも、「認知症のある自分も認めながら、色々なことを諦めないでほしい」という思いで、自分自身の経験を話しています。できるだけ、本人が話をしやすいように、場合によっては、疾患医療センターの相談員と、認知症支援推進委員が別の部屋で家族の話を聞くこともあります。

参加した認知症の人の中には、「認知症になってから、もう何もできない、諦めなきゃいけないと思っていたけれど、認知症になってからも挑戦していいんだ、チャレンジしていいんだと、背中を押してもらった」と言って、これまでの自分の人生をまとめた自分史の制作を始める人もいました。

藤田さん

認知症になると、その症状を中心に今が『良い状態か』『悪い状態か』を考えてしまうけれど、『良い状態』は今の自分がやりたいと思うことや、行きたいと思った時に、「やってみよう」、「行ってみよう」と前に進むことができる環境だと思います。暮らしの中で、そういう状態になれるように本人なりにできていることが大事だと思います。

金谷さん

最初は、うつむき加減で、家族に連れられて不安そうにおれんじドアに来られていた男性が、その後、服装や格好がおしゃれになり、考え方も前向きになられていると感じました。まだ出会えていない方にも、来ていただきたいと思っています。

本人ミーティングに参加するには
開催日:2か月に1回・偶数月(日時や場所の詳細はその都度決めています)
場所:新型コロナウイルスの感染対策のため、現在はオンラインも活用して開催されています。
問い合わせ先:市役所本庁舎 鳥取市中央包括支援センター
電話番号:0857-20-3457

おれんじドアに参加するには
開催日:毎月第4木曜日 午前10時~正午
場所:渡辺病院南館1階(鳥取市東町三丁目307番地)
問い合わせ先:市役所本庁舎 鳥取市中央包括支援センター
電話番号:0857-20-3457

【広島県広島市】若年性認知症の人の居場所

2011年から認知症地域支援推進員として若年性認知症の人の自宅を訪問していた岡田眞理さんは、認知症の人の居場所はあっても“若年性認知症の人が集まれる場所が少ない”ことに気が付きました。

当時の広島市には、550人ほどの若年性認知症の人がいましたが、突然仕事を続けることができなくなり、金銭的にも家族に負担をかけていることで、自分を責める人が多い状況がありました。また、50代60代と年齢が若い場合は、高齢者と同じデイサービスに通うことに抵抗がある人もいて、家に引きこもりがちでした。

そこで、岡田さんが2017年から若年性認知症の人の居場所として始めたのが「きつね倶楽部」。

名前の由来は、地域に伝わる「おさん狐」という民話から。「きつねのように楽しい自分に変身しよう」という願いを込め、初回に参加した2人の若年性認知症の人と共に名付けたそうです。そんな倶楽部の運営について、広島市西部認知症疾患医療センター看護師 若年認知症専門員 ・岡田眞理さん、広島市認知症地域支援推進員・木元鮎美さんに、お話を伺いました。

岡田眞理さん
木元鮎美さん

若年性認知症の人の力を生かしたボランティア活動

活動場所は地域の特別養護老人ホームに併設する市営住宅の集会所です。毎週月曜日、10時からお昼を挟んで14時まで開催されています。お昼ご飯は、施設から無償で提供してもらう代わりに、施設長から「施設や地域の困ったことを手伝ってもらえたら助かる。みなさんの力を地域のために活かしてもらいたい」と提案されました。

そこで、岡田さんは2人の参加者にボランティアをするなら何をやりたいかを尋ねてみました。

元板前だった石井さん(仮名)は、お客さんの注文の数を間違えてしまうことがきっかけで、受診したところ若年性認知症とわかりました。石井さんがショックだったのは「認知症の人が刃物を持って仕事をするのは危険じゃろ?」と言われたこと。板前にとって大切な包丁を使うことを許されなくなってしまったことに落ち込み、仕事を辞めてしまいました。そんな石井さんの発案で、施設の職員に包丁を持ってきてもらい、包丁研ぎをやってみることに。すると、みなさん大喜び!石井さんも自分の経験が役に立ったと、喜んでいました。

そして「認知症というレッテルを貼られていると何も分からなくなる。ここにきて、気持ちを話せて楽になった。出会えてよかった」と語りました。

包丁研ぎをする石井さん

もうひとりの参加者、大野さん(仮名)は音楽が好きでギターを弾くことが趣味でした。しかし、認知症になり「妻が今まで以上に頑張って働いている中で、家で一人ギターを弾く気になれない」と、ギターを弾くことを躊躇(ちゅうちょ)していました。大野さんは、ボランティアと一緒に入居者のところへ行き、その人の好きな歌をリクエストに応じて弾き語りをするという活動を始めました。

大野さんは「ベッドサイドにいって、弾き語りをすると、寝たきりの方も目が開いて口ずさんでいるように見えた。俺にもこんな役割ができてうれしい」と言って活動を続けました。

弾き語りをする大野さん

きつね倶楽部には現在、4人~5人が定期的に参加しています。

岡田さんは、できるだけ、本人たちに気持ちを話してもらえるように、毎回さまざまなトークテーマを準備しています。例えば、「今年やりたいこと」「感謝を伝えたい人」など。最近では「車の思い出」という話で、初デートに行った時に乗っていた車の話や、パンクして大変だった話などで盛り上がりました。

ひとつのキーワードでもその人その人で思い出が違い、話が広がっていくのがおもしろいということです。

岡田さん

きつね倶楽部に参加者してくださる方の中には、家族に対する負い目や申し訳ない気持ちを吐露してくださることもあります。ある人は、「きつね倶楽部に来たら、仲間がいるので認知症の鎧を脱ぐことができる」とお話をされました。それくらい、本当の自分の気持ちをひそめて日々を生活されているのだと思いました。

木元さん

課題としては、送迎のサービスがないので、家族が働かれていて日中はおひとりで過ごされている場合、活動場所まで来ることが難しい方もいらっしゃるという現状があります。交通手段についてはどういうふうに解決できるのか、現在も模索中です。

きつね倶楽部の活動について
活動日:毎週月曜日
活動場所:悠悠タウン江波
活動時間:10時~14時(昼食あり)
料金:無料
送迎:ありません(参加者は送迎サービスを利用したり、家族が送迎をしています)
家族の会:若年性認知症の人の家族の会も3か月に1度ほど開催されています。
詳しくは下記までお問合せください。
問い合わせ先:悠悠タウン江波地域貢献部
電話番号:082-296-4880

【岩手県・矢巾町(やはばちょう)】まずは“知る”こと、そして“できる範囲”で

人口26,550人の矢巾町、高齢化率は28%を超え(2023年3月)、介護や見守りを必要とする人たちが増え続けています。そうした中、ある認知症当事者の声をきっかけに市民ボランティアが立ち上がり、“暮らしを豊かにするためのお手伝い”の輪が広がっています。ポイントは、まずは住民ひとりひとりが認知症について“知る”こと、その上で、無理せず“できる範囲”で取り組みに参加することだといいます。矢巾町地域包括支援センター 鱒沢陽香(ますざわ・はるか)さんにお話を伺いました。

鱒沢陽香さん

「お墓参りに一緒に行ってほしい」~“制度の限界”を越えたお手伝い~

「現行の介護保険制度の中では、認知症の人たちからの細かな要望には応えきれない」。10年ほど前、鱒沢さんのもとに、ひとりのケアマネジャーからこんな相談が寄せられました。当時、このケアマネジャーが担当していたのは、比較的症状が軽いひとり暮らしの80代の女性。何とか日常生活を送ることはできていたので、要介護認定は最も低い「要支援1」。この女性が介護保険を使って受けられる調理や掃除などのサービスは基本的に1週間に1回程度です。要支援1とはいえ、女性は足腰が悪く、買い物も難しい状態で、より多くの支えを必要としていました。

介護保険を使った訪問介護では、本人以外の物や嗜好(しこう)品の買い物をヘルパーに依頼することはできません。また、普段本人が生活しているスペース以外の場所は掃除してもらえないといった制限があります。

こうした“制度の限界”を越えて、認知症のお年寄りたちの暮らしを豊かにするためにはどうすればよいのか。他のケアマネジャーや現場のヘルパーたちも、同じような壁に直面していました。

そんな中で、鱒沢さんが協力を呼びかけたのが、『認知症サポーター養成講座』を受講したボランティアでした。

ボランティアで「生活支援サービス」をするメンバー

「夫のお墓参りに一緒に行ってほしい」、「ビールを買ってきてほしい」、「猫のご飯を用意してほしい」、「週末に息子家族が遊びに来るのでいつも使っていない2階の部屋を片付けてほしい」・・・。ボランティアたちは、介護保険制度だけではカバーしきれない様々な声に耳を傾け、お手伝いの輪を広げていきました。

現在は50人ほどが活動中。利用料は1回1時間で500円です。
取り組みを始めて5年、利用者の多くが「手伝ってもらえることも嬉しいけれど、何より同じ地域に暮らしている人が来てくれて、お話できることが楽しい」と、ボランティアの訪問を楽しみに待っているそうです。

お掃除の様子

活躍!「わんパト隊」~散歩の“ついで”に地域の見回り~

住民たちの認知症への理解が深まっていく中で生まれた取り組みが、もうひとつあります。その名も、わんわんパトロール隊、通称「わんパト隊」です。犬を飼っている人に『認知症サポーター養成講座』を受けてもらい、散歩の“ついで”に地域の見回りをしてもらおうというのです。

わんパト隊は、道で困っていそうな人はいないか、何日もポストに郵便物がたまっていないか、夜なのに窓が開けっぱなしになっていないかなど、散歩をしながら異変をキャッチ。直接声をかけたり、地域包括支援センターに連絡を入れたりします。現在、45人と42匹が活躍中です(2023年1月)。

わんわんパトロール隊

わんパト隊結成から10年近く。実際に、帰り道が分からなくなっていた認知症のお年寄りを保護したこともあります。今では、「ワクチンの申し込みはどこで?」といった“ちょっとしたお困りごと”を相談されるなど、道行く人から逆に声をかけられることも。日常生活の延長線上で無理せず取り組んできたことで、わんパト隊は息の長い活動となり、町の人たちからも親しまれているようです。

鱒沢さん

認知症というと、どうしても家族や介護経験のある人たちによるサポートに寄ってしまいがちですが、町全体として、無理なく認知症と共に生きるための仕組みをいろいろ考えたいと思っています。

矢巾町の取り組みについて
問い合わせ先:矢巾町地域包括支援センター 
電話番号:019-697-5570
住所:岩手県紫波郡矢巾町大字南矢幅13-123 えんじょいセンター

【鹿児島県・姶良市(あいらし)】施設を利用しても、地域の人々とつながり続ける 

要支援1~要介護5まで、24名の方が利用している共生ホーム よかあんべ。デイサービスとして自宅から通っている人や、家族と相談して一定期間宿泊をする人もいます。施設を利用している人のほとんどが認知機能には何かしらの障害があります。施設が大切にしているのは、『利用者が地域とのつながりを持ち続ける』こと。そのために、認知症の人が郵便配達の仕事をしたり、地域の人々と一緒にごみ拾い大会を開催したりしてきました。

認知症の人と地域の人がつながりを作りながら、暮らしを支える活動について、共生ホームよかあんべ管理者の苙口淳(おろぐち・じゅん)さんにお話を伺いました。

苙口淳さん

地域を歩き、地域の人とつながり続ける

よかあんべで2019年1月から2年ほど活動していたのが、配達の仕事を請け負うということでした。(現在は終了しています)。要介護1の人たちが中心となり、7人~8人の利用者が通いの時間帯の間に、配達員の制服を着用し、メール便を配達して回ります。デイサービスを利用すると、どうしても施設と自宅の往復という生活になり、中にこもってしまいがちですが、地域を歩き、あいさつを交わしたりすることで、関係性を作ることも大きな目的です。

地域の人たちからも、配達員の制服を着ていることで「ご苦労様です」と声をかけてもらったりすることがありました。

ひとり10件~15件ほどの配達を受け持ち、職員が見守りに付き添います。1件25円の委託費用は、全額利用者に支払われるので、月におよそ3000円ほどの収入を得ることができていました。岩城厚弘さんは、もらった給料で「孫にプレゼントを買ったり、散髪に行ったりしたい」と言って、仕事を楽しみにしていました。

配達を楽しみにしていた岩城厚弘さん(写真右)

また、8年前から毎年地域と共同で、老若男女が参加するごみ拾い大会も企画しています。よかあんべの利用者と地域の人が一緒に4、5人でチームをつくり、たくさんゴミを拾ったチームが賞をもらうというもの。

認知症になってから外出の機会が減ってしまっている人も、ゴミ拾い大会で、知り合いに久しぶりに出会って、「あら!元気だったの?」と声をかけられることなどもあり、地域の人と交流できるよい機会となっています。

ごみ拾い大会の様子
苙口さん

認知症の人は、機会がないと地域の人とのつながりがなくなってしまうと感じています。だから、地域の人と触れ合える時間をどう作るか、諦めずに考えることが大事だと思います。私たちも一緒に地域を歩きながら、この方は何を思いながらここで暮らしてきたんだろうと想像して、少しでもその方の人生を知ることができればと思っています。

問い合わせ先:共生ホームよかあんべ
住所:鹿児島県姶良市加治木町反土2378
電話番号:0995-62-5820

【沖縄県・北谷町(ちゃたんちょう)栄口区(えぐちく)】“買い物”をきっかけに、地域の人と交流ができる機会を

人口2,815人の栄口区。350人ほどの75歳以上の人が暮らしています(2023年1月時点)。車のない高齢者にとっての悩みは「買い物」。地区には商店がなく、買い物は1キロほどの坂道を上った先にあります。舗装も十分ではないため、手押し車を押して買い物に行くのは難しい中、栄口区自治会長の島袋艶子(しまぶくろ・つやこ)さんは10年前からある取り組みを始めました。

島袋艶子さん

買い物問題を解決!「えぐち商店」 認知症の人も見守れる場に

毎週金曜日の朝になると、軽トラにのった島袋さんが地区を回ります。

「毎週金曜日10時~12時は、買い物支援えぐち商店となっております。どうぞ買い物にお困りの皆様、えぐち商店へお越しください。」

始まるのは、公民館の前に15店舗ほどの事業所が集まった「えぐち商店」。ひとりで来るのが難しい人には、無料で送迎もしています。毎週200人ほどが集まり、大盛況。

野菜などの食料品だけでなく、高齢者向けの小さいサイズのお弁当や、花の苗やたい肥も販売しています。買い物を通じて、独居の高齢者にも出てきてもらい、顔なじみを増やしてもらおうというのがねらいです。

えぐち商店の様子

現在、栄口区自治会では地区に3人ほどの認知症の人がいることを把握していますが、その人たちも隣近所の人が声をかけて、参加しています。えぐち商店では、買い物をしやすいように、ボランティアのサポーターが買い物をサポート。商品の違いを説明して選びやすくしたり、お会計もお手伝い。いくつかの店舗を買いまわるので、買った商品を運ぶ手伝いもしています。

利用者からは「スーパーよりは品数が少ないけれど、お弁当のサイズが小さめでありがたい」という声も。高齢者に合わせた商品が出品されているので、選びやすいというメリットもあるのです。

そして、買い物の後の「ゆんたく」コーナーも欠かせません。コーヒーやお茶菓子をだして地域の人たちの交流の場所となっています。認知症の人も「家にいるよりはみんなに会えるのが嬉しい」と言い、楽しんでいるということでした。

自治会では、こうした日常の見守りができる場所をつくり、認知症かな?と思われる人を把握して、地域で支えていくことが大切だと考えています。

買い物のあとのゆんたく
島袋さん

自治会の役割は、予防と見守りだと思っています。本格的な病気になると自治会では治せないので、予防の面でがんばって、みなさんが集まれる場所をつくっていきたいと考えています。

問い合わせ先:沖縄県北谷町栄口区自治会・公民館
場所:沖縄県中頭郡北谷町字吉原708-4
電話番号・FAX 098-936-5992
施設利用時間:【開館時間】9:00~17:00【休館日】土日、祝祭日、慰霊の日

全国に広がる“認知症バリフリタウン”-後編-

認知症バリフリタウンー後編-では、認知症の人の家族も支えるための取り組みや、暮らしやすい町づくりをご紹介します。

NHK厚生文化事業団「認知症とともに生きるまち大賞」

「認知症バリフリタウン」についてのさまざまな取り組みは、こちらのページでもご紹介しています。(NHKサイトを離れます)

NHK福祉情報サイト ハートネット

「認知症」についての記事はこちらのページでもご紹介しています。

NHKスペシャル「認知症バリアフリーサミット~本人の声が まちを変える~」

2023年4月1日(土)夜10:00~【総合】
※放送から1週間、NHKプラスで見逃し配信をご覧いただけます

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