
高校生が挑む 海のプラスチックごみ問題
プラスチックごみによる海洋汚染が大きな問題となっています。とりわけ深刻なのは、魚や海鳥などがエサと間違えて食べてしまったり、マイクロプラスチックと呼ばれる細かい破片が体内に入ってしまったりといった、生態系への被害です。
国連のSDGs(持続可能な開発目標)でも「海の豊かさを守ろう」という目標が掲げれていますが、これを達成するためにも、海のプラスチックごみ問題の改善は避けて通れません。
そんな中、川崎市にある洗足学園高校の生徒たちが「魚が食べない」特殊なレジ袋を開発し、注目を集めています。
「魚が食べない」レジ袋とは
海中に漂うレジ袋を魚が食べてしまうと、体内で消化できずに死んでしまう場合もあります。新たに開発したレジ袋には、素材に魚が嫌う成分が混ぜられていて、魚が口に入れてもすぐに吐き出すようになっています。
アイデアを出したのは洗足学園高校2年の渡邉心海さん。地元の海がプラスチックごみであふれているのをみて「何とかしたい」と思ったのがきっかけでした。学校の友達と金魚やメダカなどを使って実験を重ねた結果、半年ほどかけてたどり着いたのが「デナトニウム」という成分でした。
子どもの「おもちゃ誤飲防止」と同じ成分
デナトニウムは人体に影響はありませんがなめると苦い味がする成分で、子どもの誤飲を防ぐため、おもちゃやゲーム機などに使われています。
大学や企業の協力も得てさらに実験を重ねた結果、デナトニウムを4%ほど混ぜると、ほとんどの魚が吐き出すことが確認できました。魚は種類や大きさが違っても、味や臭いの好き嫌いの傾向が同じなのだそうです。
このレジ袋には企業も注目していて、商品化を目指して動き出しています。1~2年後の販売を目指しているそうです。
次は「鹿が食べないレジ袋」にも挑戦!?
さらに渡邉さんたちは、海だけではなく地上の生物に対してプラスチックごみが与える影響についても関心を持っています。次は鹿やいのししが誤飲しないよう、すっぱい味や臭いをつけたレジ袋を開発したいと考えているそうです。
高校生が開発した「魚が食べないレジ袋」。「おはよう日本」で紹介した内容を動画にまとめました。魚が吐き出す瞬間の映像も
海洋プラスチックごみの問題を解決するためには、プラスチックごみそのものを減らすことが大前提です。しかし生態系への影響を少しでも減らすためには、こうした取り組みも同時に行っていくことが大事だと感じました。
ご紹介した取り組みへのご感想や、海のプラスチックごみ問題へのご意見など、みなさんの声をぜひコメントで欄にお書き下さい。