
ヨーロッパで広がる"飛び恥”
温暖化対策に関する国際会議、COP25に参加するため、アメリカのバージニア州からスペインに向け、大西洋を渡ったグレタ・トゥーンベリさん。グレタさんは、飛行機を使わず、鉄道や、船で移動しています。グレタさんがきっかけで、ヨーロッパでは、「Flygskam(スウェーデン語)=”飛び恥“」、飛ぶのは恥だという言葉まで生まれ、若者を中心に鉄道で旅行しようという動きが広がっています。
パリのリヨン駅。7月に取材すると、バカンスの時期を迎えて、南方面に向かう人たちで賑わっていました。飛行機ではなく、あえて鉄道を選んだ人たちの姿も多いようでした。

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旅行者の男性
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「環境への影響を抑えることはとても大事だと思います」
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旅行者の女性
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「国内では飛行機には乗りません。この夏はそれでも行けるとこにしたんです」
EUの試算では航空機が排出する温室効果ガスは鉄道の20倍、航空機は環境への負担が大きいとされているのです。
この「飛び恥」運動が盛んな国の一つがグレタさんの母国でもある北欧のスウェーデンです。
都市環境プランナーのエルフォーシュさんは、5年前、休暇には鉄道を使おうと呼びかけるため、フェイスブック上で、情報交換のためのページを立ち上げました。

ヨーロッパでは、国ごとに、鉄道を運営する会社が違い、チケットの予約や購入の手続きが煩雑です。サイトでは、そうした問題を解決するための、具体的なノウハウが活発にやりとりされていて、次々と投稿される旅行の体験もページの大きな魅力となっています。

鉄道を使おうと呼びかけるフェイスブック上のメンバーは、去年の3000人ほどから一気に急増、いまや10万人を超えるほどになりました。こうした動きに触発され、フランスでは、鉄道で2週間あまりかけて、日本を目指そうという若者も出てきています。

「飛行機では見られないものが見られるはずです。とてもおもしろい出会いもあると思います」
「飛行機では見られないものが見られるはずです。とてもおもしろい出会いもあると思います」
ヨーロッパ全土に広がる運動は、鉄道会社にとって追い風となっています。 スウェーデン国鉄では、ことし初めの3か月間の利用者が、去年に比べて、8%以上増えました。
航空機の国内線の利用者が5%減ったのとは対照的です。

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スウェーデン国鉄 トッベ・ルンデル広報部長
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「利用者が増えるのはありがたいです。需要に応えるのは我々にとっても挑戦です」
この運動は、環境問題に積極的に取り組むスウェーデン政府も後押ししています。
鉄道による移動が、より便利になるようにヨーロッパ各国に働きかけていく考えです。

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スウェーデン イザベラ・ロビン環境相
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「国民が気候に配慮した生活を容易にできるようにすることが政府の優先事項です。
例えば、ストックホルムとベルリン、もしくはストックホルムとパリを結ぶ夜行列車を増やすのもその1つです。
ほかのヨーロッパの国々との間でどう解決できるか模索しています」
(ヨーロッパ総局 記者 藤井俊宏)
フランスでは国内を出発する航空機の運賃を来年から課税する方針が発表されたり、
オランダの航空会社が短距離路線を鉄道に置き換えることを検討していて、“飛び恥”運動の広がりは、国や企業を動かすものになっています。
移動にかかる時間のことを考えると国内の移動でも飛行機を使ってしまいますが、日本でもできるだけ飛行機に乗らないとことを実践している方いらっしゃったら教えてください。
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