未解決事件

大型シリーズ
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File.08 JFK暗殺

取材ノート

取材ノート
(ドキュメンタリー ディレクター 高比良 健吾)

なぜいまJFKなのか? 多くの人に聞かれた質問です。
明確な答えを持って始めたわけではないですが、2年半、このテーマと向き合い感じるのは、JFK暗殺が、現代にも通じる様々なテーマが内包された、まだ終わっていない事件だからだと思います。

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取材のきっかけは、トランプ大統領がケネディファイルを全公開するとしながら直前で撤回したことでした。「公文書」については、ちょうど日本でも話題になっていた時期で、JFK暗殺の真相を追い求める戦いが、アメリカ国民にとって「知る権利」を勝ち取ってきた歴史でもある事に気付かされました。
さらに研究者の話を聞くうちに、いまだに一部の組織が「嘘」や「隠ぺい」を続けていること、世界の研究者たちが、1人1人の「民主主義」を本気で守ろうと、その強大な力に挑み続けている事にも気付かされます。

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そして、国家と個人とは何か-。なぜ「世界の真の平和」という理想を語った若きカリスマが暗殺されなければならなかったのか-。ケネディは国家の上層部と決して折り合いが良かったとは言えません。しかし当時の時代を考えると、そうした人々も、決して卑劣な人たちではなかった事が良く分かります。皆、その時代を必死に生き、彼らなりの「愛国心」を持って国家を守ろうとした。その自国を守ろうと必死になるが故に、道筋が異なり争いが泥沼化していくことも、時代は変われど、今も変わらないことなのだろうと、感じます。

「魑魅魍魎」「蟻地獄」「羅生門」、、、
どこに進んでも底なし沼が広がっているような、
同じ事象も見方によって見解が異なり、
何が事実で何が嘘かも徐々に分からなくなる、
そんな感覚がJFKワールドにはあります。
その奥深さの一端を、少しでも追体験頂き、今を考えるきっかけになれば嬉しいです。

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ドキュメンタリー ディレクター 高比良 健吾

(ドキュメンタリー ディレクター 石井 貴之)

いま世界各地で強い主導力を持つリーダーが多く誕生し、「国家の安全」という大義のもとで、公文書の隠蔽や改ざん、法律の解釈変更が行われるなど民主主議の危機が叫ばれています。
「なぜ地位や名誉を汚すリスクを負い権力に立ち向かうのか?」今回取材した専門家たちに聞くと口を揃えて「民主主議を守るためだ、沈黙すれば民主主議は終わる」と答えました。ケネディ大統領が就任演説で語った「国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを考えよう」という言葉は、まさに民主主議の担い手、主役はあなたたち一人一人だというメッセージでした。この番組がそのことを再考するきっかけに少しでもなれると幸いです。

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ドキュメンタリー ディレクター 石井 貴之