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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第65回】
今回、スポットを当てるのは、
坂本サク

プロフィール

2000年 多摩美術大学グラフィックデザイン専攻卒業
卒業制作「摩訶不思議」(’00)、「フィッシャーマン」(‘02)が「広島国際アニメーションフェスティバル」に入選、様々なコンテストで多数受賞。ロッテルダム国際映画祭など海外の十以上のフェスティバルで紹介される。2002年よりフリーランスのアニメーション作家として、ショートムービー、TVのタイトル映像や、CM、PV、映画のVFXの制作、アートディレクション、演出の仕事に携わる。
2018年全国公開劇場用アニメーション「アラーニェの虫籠」(製作・著作:ゼリコ・フィルム)で原作・監督・脚本・アニメーション・音楽を担当し、アヌシー国際アニメーション映画祭やザグレブ国際アニメーション映画祭など11ヵ国の映画祭で正式上映された。

坂本サクさんに「純粋理性批判」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

歴史的背景を追うというより、毎回登場する理論をいかにわかりやすく紹介するかということに注力して制作しました。難関な哲学書を扱う内容であるため、番組講師の西研さんによる監修や番組スタッフのさまざまな助言をいただきながら内容を検討するのですが、その中にはアニメーション表現ならではの解釈の仕方をこちらから提案させていただく部分もありました。
2つの哲学の流派、「イギリス経験論」と「大陸合理論」を比較する内容では、テレビゲームに例えて、自分のジェネレーションも含めた多くの方が、より体感的に理解できるよう工夫しました。
「AはBである」と「AはBでない」ということが同時に証明できてしまう、という説明では、エッシャーのだまし絵や、私が子供の頃にみた福田茂雄(グラフィックデザイナー)のトリックアート作品などがヒントになりました。
見る角度によって違う形に見えるという視覚的なアプローチで表現して、最終的には3番目の形が現れる、立体化不可能な映像表現の特性を活かせた場面にすることができました。この場面は3DCGでも制作することができたのですが、あえて2Dの作画で、手描きアニメーションの創造性を再確認したいという、まったくの個人的な思惑がありました。
自分自身、絵を描く上で、「人は物をどう認識しているか」というテーマはとても興味あるので、この番組の一視聴者として学びながら参加させていただいていたように感じます。

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