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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第56回】
今回、スポットを当てるのは、
川口恵里(ブリュッケ)/山中澪/鈴木沙織(ブリュッケ)

プロフィール

写真左-イラスト:川口恵里(ブリュッケ)
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。2016年より株式会社ブリュッケに所属。アニメーション作家/イラストレーターとして、TV番組、企業CM、音楽PV、ワークショップ等、幅広く手掛ける。線画台を用いた、空間と光を活かした画づくりが得意。

写真中央-演出:山中澪
 愛媛県生まれ。神戸大学発達科学部人間表現学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。アニメーション関係で活動中。

写真右-イラスト:鈴木沙織(ブリュッケ)
女子美術大学芸術学部絵画学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。アニメーション作家・イラストレーター。マルチプレーンを用いたコマ撮りアニメーションが強み。

山中澪さんに「戦争論」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

今まで関わらせていただいた『大衆の反逆』も『自省録』も、自分にも当てはまる話だと思いながら読みました。今回の『戦争論』も同じように自分に当てはめながら読むことになりましたが、行き着くところが「戦争」となると、怖すぎる。違うと言いたいけれど、そうだとしか思えない。作っている間にも色々なニュースが流れ、怖い怖いと思いながら制作を進めていました。
今回はイラスト担当が川口さんと鈴木さんのお二人ということで、お二人の絵の違いをどのように生かすか考えたのが新鮮でした。最初は単純に、労力が同じだけになるようにはということを考えていただけでした。しかし、最終的には「歴史的な説明など、客観的に見つめたい場面では、写実に近い川口さんの絵」、「産業革命や軍需といった産業経済がかかわる場面では、黒いシルエットで記号化した川口さんの絵」、「説明を自らに重ね、親しみを持ちつつ不気味さも感じて欲しい場面では、デフォルメの効いた鈴木さんの絵」という分担になったと感じています。
過去の事実であると同時に、私たちが現在抱えている可能性である戦争について、お二人の絵を通して色々な角度から考えていただくことができるものが作れていたらいいなと思います。

川口恵里さんに「戦争論」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

部族の闘争から国民戦争、全体戦争の完成まで戦争の歴史を、今回描きました。
時代ごとに人間を描き分ける意図は無かったのですが、完成してみて、現代に近づく程、表情だったり、人間の描き方が、リアリティを帯びたものになって行くのが不思議でした。
戦争の規模が大きくなるにつれて、戦争にかり出される人々に戦う意義が見い出しにくくなる気がして、この兵士の表情には、個人的に感じたその虚しさが現れたのかもしれません。

鈴木沙織さんに「戦争論」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

良い・悪いで分類するのではなく、惹きつけられてしまうものとして「聖なるもの」と呼んでいることが面白いと感じました。
自分が「祭り」の中にいるという判断は自身では難しそうではありますが、良い行いのように見える事でも、「祭り」の中にいる時には、当事者の一人として自分を見張る事が必要なのかなと思いました。
未来から見たら自分は今何の中にいるのだろう?

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