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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第48回】
今回、スポットを当てるのは、
川口恵里(ブリュッケ)/山中澪/森下裕介

プロフィール

写真左-イラスト:川口恵里(ブリュッケ)
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。2016年より株式会社ブリュッケに所属。アニメーション作家/イラストレーターとして、TV番組、企業CM、音楽PV、ワークショップ等、幅広く手掛ける。線画台を用いた、空間と光を活かした画づくりが得意。

写真中央-演出:山中澪
愛媛県生まれ。神戸大学発達科学部人間表現学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。アニメーション関係で活動中。

写真右-コンポジット:森下裕介
1984年 山口県生まれ。フリーランスの映像・アニメーション作家として活動中。
手書き作画、コマ撮りアニメ、モーショングラフィックスなどさまざまな手法を取り入れ、アニメーション表現を軸に子供向け番組やCMなどの映像製作を行っています。
代表作としては影絵のコマ撮りアニメーション NHK プチプチ・アニメ「キリン・ザ・ヌープ」が放送中。



川口恵里(ブリュッケ)さんに「大衆の反逆」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

今回、私がこだわったのは、キャラクターの描きわけです。

近代化によって、農村から都市に人が移り住み、徐々に個性を失っていく人々・・・ アニメーションでも 農村にいる人が都市に移り住む様を描いていますが、農村で登場する人物と、都市で登場する大衆化した人物では、描き方を分けています。 農村の人は、スペインの民族画やタイル画をイメージして描いているのに対して、大衆化した人々は、工業化を経た時代のプロパガンダポスターのデザインを参考にしました。 また、史実の登場人物は上記とは差別化するために、写真のようなテイストで描いています。 現代の人の感覚にすっと入るような見え方を目指しました。

山中澪さんに「大衆の反逆」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

初めて「100分de名著」に参加しました。 私は演出を担当しています。川口さんにどんな対象を描いてもらうか、それを森下さんにどう動かしてもらうか、ざっくりと考える係です。 こだわった点はいろいろとありますが、ひとつはフランス革命の説明です。

フランス革命に対して、漠然とよいものという印象を抱いていたのですが、ここでは批判されるのが新鮮でした。その意外性が際立つように、最初は革命が輝かしいものとして見えるように心がけました。 構図を借用したドラクロワの「民衆を導く自由の女神」に描かれている革命は、エドマンド・バークの本よりも後、彼の亡くなったずっと後の革命です。 バークに時代が繋がるよう、本のページめくりは戻る方向に、各ページの絵は歴史を遡るように、というのがささやかなこだわりでした。

森下裕介さんに「大衆の反逆」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

今回、アニメーションの最後の仕上げのコンポジットで参加いたしました。コンポジットは簡単にいうと、出来上がった絵に動きやカメラワークをつけて映像としてまとめるポジションです。川口さんや山中さんが演出して描かれた絵に少し味付けすることで、より内容が伝わるように工夫しました。少し難しい「大衆の反逆」が、アニメーションをみることで理解しやすくなるとうれしいです。全編通してアニメーション、ご注目ください!

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