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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第36回】
今回、スポットを当てるのは、
今林由佳、川口恵里

プロフィール

川口恵里(写真右)
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。2016年より株式会社ブリュッケに所属。アニメーション作家/イラストレーターとして、TV番組、企業CM、音楽PV、ワークショップ等、幅広く手掛ける。線画台を用いた、空間と光を活かした画づくりが得意。直近では、小学館めばえ増刊号のキャラクターを制作。

今林由佳(写真左)
東京藝術大学油画学専攻卒業。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。2015年より株式会社ブリュッケに所属。アニメーション監督・キャラクターデザイナー・イラストレーター・絵本作家。「おかあさんといっしょ」「みんなのうた」等の子供向け映像制作を手がける一方、「NHKスペシャル」「ハートネットTV」等ドキュメンタリー番組のアニメも担当する。2018年1月には初のしかけ絵本「どうぶつぱっかーん!」を上梓。

川口恵里(ブリュッケ)さんに「生きがいについて」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

名著「生きがいについて」では、イラストを担当させて頂きました。私がこだわったのは、「生きがいをうばい去るもの」の箇所で、「亡くなった人が、今もどこかにいるように感じる」という感覚を描く絵です。

「亡くなった人」と言われて思い描くイメージは個人によって違うはずなので、この絵についても、「ソファに座る夫婦が亡くなった家族のことを想い出している。」、「亡くなったはずの女性が、ソファに座る男性に今も寄り添うように座っている。」等、見る方の環境によって、いろいろな捉えられ方ができるようにと意識して描いてみました。
また、部屋に差し込む光についても、部屋の中の時間が止まっているような感覚を描けるよう意識しました。

今林由佳(ブリュッケ)さんに「生きがいについて」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

名著「生きがいについて」では、演出とアニメを担当させて頂きました。私がこだわったカットは、「生きがい」の再発見のパートです。

「一度罪を犯したものは、他者の悲しみに共鳴しやすくなる」という神谷さんの言葉を、神谷さんの持つ「人類愛」や「包容力」的な感覚をもって表現できたらと、考えました。 奥に居る男性は、罪を犯しその罪悪感に苛まれ、社会に戻れないという気持ちで落ち込んでいます。その前を通りすぎる人々は社会に属し、一見悩みが少なそうですが、その人々の中には、過去の過ちへの罪悪感を持っている人が同じようにいるはずです。そこを、人々の顔にたまに現れる「暗い目」で表現しています。
そんな人々のうちの一人が立ち止まって、奥に居る男性を心配そうに見つめます。「共鳴」によって、相手にも、自分にも生きがいがもたらされる可能性というのを本パートの最後に描いています。

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