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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第35回】
今回、スポットを当てるのは、
ケシュ♯203

プロフィール

ケシュ#203(ケシュルームニーマルサン)
仲井陽(1979年、石川県生まれ)と仲井希代子(1982年、東京都生まれ)による映像制作ユニット。早稲田大学卒業後、演劇活動を経て2005年に結成。
NHK Eテレ『グレーテルのかまど』などの番組でアニメーションを手がける。
手描きと切り絵を合わせたようなタッチで、アクションから叙情まで物語性の高い演出を得意とする。100分de名著のアニメを番組立ち上げより担当。
仲井希代子が絵を描き、それを仲井陽がPCで動かすというスタイルで制作し、ともに演出、画コンテを手がける。
またテレビドラマの脚本執筆や、連作短編演劇『タヒノトシーケンス』を手がけるなど、活動は多岐に渡る。
オリジナルアニメーション『FLOAT TALK』はドイツやオランダ、韓国、セルビアなど、数々の国際アニメーション映画祭においてオフィシャルセレクションとして上映された。

ケシュ#203さんに「法華経」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

ブッダをアニメにするのは「真理のことば」、「ブッダ 最期のことば」に続いて3回目になります。今まではアニメの基調を決めるとき、インドの細密画などを参考にしていましたが、今回は日本でも多くの人々に信奉されてきた経典ということもあり、古代インド的なビジュアルと、法華曼荼羅をはじめとする日本で浸透しているビジュアルとの摺り合わせに腐心しました。

全体的なタッチは法華経の壮大な世界観を表現するためにタペストリーのような布の質感をつけ、色彩はインドの細密画などによく使用されているオレンジ・藍などを差し色にし、日本画的な余白も多く取りました。山肌や部屋などにもグラフィカルな文様を入れ、現代への繋ぎとしています。

また、全体のテンポとしては静と動のメリハリをつけるよう意識しました。基本的には悟りを開くための法話がメインなので釈迦たちにあまり大きなアクションをつけられないのですが、その代わりストゥーパや地涌の菩薩の出現などの派手な場面では、瓦礫を浮かせるなど、天変地異という印象を強く打ち出せるような演出にしました。

また余談ですが、世界観の異なるアニメを同時に作ることもあり、すぐに切り替えられるようその世界観に合う音楽を流すのですが、今回は平沢進氏の曲がこの世界観にとても合いました。 力強さと神秘さをアニメからも感じ取っていただけると嬉しいです。

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