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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第32回】
今回、スポットを当てるのは、
ケシュ♯203

プロフィール

ケシュ#203(ケシュルームニーマルサン)
仲井陽(1979年、石川県生まれ)と仲井希代子(1982年、東京都生まれ)による映像制作ユニット。早稲田大学卒業後、演劇活動を経て2005年に結成。
NHK Eテレ『グレーテルのかまど』などの番組でアニメーションを手がける。
手描きと切り絵を合わせたようなタッチで、アクションから叙情まで物語性の高い演出を得意とする。100分de名著のアニメを番組立ち上げより担当。
仲井希代子が絵を描き、それを仲井陽がPCで動かすというスタイルで制作し、ともに演出、画コンテを手がける。
またテレビドラマの脚本執筆や、連作短編演劇『タヒノトシーケンス』を手がけるなど、活動は多岐に渡る。
オリジナルアニメーション『FLOAT TALK』はドイツやオランダ、韓国、セルビアなど、数々の国際アニメーション映画祭においてオフィシャルセレクションとして上映された。

ケシュ#203さんに「ノートル=ダム・ド・パリ」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

100分de名著ではときおり、朗読パートとともに、既存の映像作品とアニメパートを組み合わせることがあります。
その場合キャラクターを映像の役者さんに近づけるなど、映像作品とアニメパートのイメージがかい離せず、自然な繋がりになるように心がけています。

今回使用された映画はモノクロ映画(1939年)ということで、まずは色彩設計をする際、背景色をモノクロに近いダークトーンに設定し、15世紀末の建築などをイメージした装飾を施し時代感を演出、なるべく映画と自然に繋がるよう意識しました。
またストーリーものをアニメ化する際には、一目でキャラクターにフォーカスさせることが重要です。そのためキャラクターへと視線を誘導するために、服装の色彩設定もダークトーンにして肌の色が画面から浮かび上がってくるよう調整しました。対して、群衆の色彩設定は、逆に色を多く使用することで、乱雑としたひとつの塊に見えるよう設計しています。

また物語が持つダイナミックさを表現するため、カメラワークやアクションでも迫力を出そうと心掛けました。
重さや衝撃が伝わるようカメラを揺らしたり、切り絵的なキャラクターたちですが躍動感が出るようなカット割りにしています。
そしてドラマを支えるのは絡み合う人物の感情です。ただ台詞を喋るのではなく、感情が豊かに伝わるよう仕草や表情に細かな演技をつけ、またシーンの重厚な空気感を出すために、ランタンの明かりなどを用いて陰影を強調しました。ドラマチックなユゴーの世界観に浸ってもらえれば嬉しいです。

ケシュ#203さんの凄技にご注目ください!

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