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アニメ職人たちの凄技アニメ職人たちの凄技

【第29回】
今回、スポットを当てるのは、
ケシュ♯203

プロフィール

ケシュ#203(ケシュルームニーマルサン)
仲井陽(1979年、石川県生まれ)と仲井希代子(1982年、東京都生まれ)による映像制作ユニット。早稲田大学卒業後、演劇活動を経て2005年に結成。
NHK Eテレ『グレーテルのかまど』などの番組でアニメーションを手がける。
手描きと切り絵を合わせたようなタッチで、アクションから叙情まで物語性の高い演出を得意とする。100分de名著のアニメを番組立ち上げより担当。
仲井希代子が絵を描き、それを仲井陽がPCで動かすというスタイルで制作し、ともに演出、画コンテを手がける。
またドラマの脚本や、連作短編演劇『タヒノトシーケンス』を手掛けるなど、活動は多岐に渡る。
オリジナルアニメーション『FLOAT TALK』はドイツやオランダ、韓国、セルビアなどのオフィシャルセレクションとして上映された。

ケシュ#203さんに「幸福論」のアニメ制作でこだわったポイントをお聞きしました。

「幸福論」といえば、以前アランの「幸福論」を手掛けましたが、アランが具体的な日常の心持ちについての記述が多かったのに対し、ラッセルはより観念的、寓話的な例えを用いているのが印象的でした。
たとえば、イソップ童話やソーセージ製造機などは、寓話的であるためアニメとして表情や感情をつけやすく、感情移入してもらいやすいと思います。

また今回は、ラッセルの生い立ちを語るパートと幸福論の内容を表すパートと、二つのパートに分かれているので、差別化を図るために背景色を変えています。
時代性のリアリティよりも書かれている内容そのものに注目してもらいたいという意図により、アニメ―ションのトーンを抽象的で幾何学的なものにしました。

メインのキャラクターであるラッセルは、彼自身の生い立ちをキャラクター造型に反映させました。
幼少期は彩度が浅く、覇気のない表情であったのに対し、中年期・老年期は、年を経るごとにどんどん活動的になっていく様子を表すために、いきいきとした表情になるよう頬の赤みなどを足しています。
観念的な内容ゆえに、コミカルだったり少し不気味だったり、キャラクターの動きや構成も直感的に伝わるよう心掛けました。

ケシュ#203の凄技にご注目ください!

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