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もっと「枕草子」

すこし日たけぬれば、萩などの、いと重げなるに、露の落つるに、枝うち動きて、人も手触れぬに、ふと上ざまへあがりたるも、いみじうをかし。
【現代語訳】
少し日が昇ると、雨に濡れた萩などが、露で重そうにしなり、露が落ちるたびに枝が動き、人が触れてもいないのに、いきなり跳ね上がったりするのもすごくステキ!
清少納言『枕草子』125段「九月のばかり夜一夜降り明かしつる雨の」より

橘の木の埋もれたる、御随身召して払わせたまふ。うらやみ顔に、松の木のおのれ起きかへりて、さとこぼるる雪も、
【現代語訳】
橘の木が雪に埋もれているのを、御随身をよんで払わせていらっしゃる。その橘の木をうらやましそうにして、松の木がひとりでに起き上がって、さっとこぼれる雪も、
紫式部『源氏物語』「末摘花」より

清少納言の描写と紫式部の描写、比べてみていかがでしょう?雨と雪の違いはありますが、ちょっと似ているとは思いませんか? 紫式部が清少納言の影響を受けているのではないかとされる一節です。

紫式部は清少納言をライバル視しており、「清少納言は実に得意顔をして偉そうにしていた人です」などと悪口もいっています。しかし、一方で、紫式部は「源氏物語」や「紫式部日記」の中に、「枕草子」の印象的な情景描写を巧みに取り入れているという説もあります。ライバル視しながらも、実は紫式部は清少納言の実力をどこかで認めていたのではないでしょうか?

番組ではあまり取り上げられませんでしたが、清少納言と紫式部のライバル関係や影響関係を心におきながら、両者を読み比べてみるのも面白いかもしれませんね。

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