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もっと『万葉集』

籠もよ み籠もち ふくしもよ みぶくし持ち 
この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 
やまとの国は おしなべて 吾こそをれ 
しきなべて 吾こそませ 
我こそは 告らめ 家をも名をも
籠よ 立派な籠を持ち、掘串よ 立派な掘串をもって、
この岡に菜を摘んでおられる娘よ。家と名前を申せ。
この大和の国は、すべてこのわれが治めているのだ。
全体的にわれが支配しているのだ。
まずはわれこそ、家も名も教えてやろう

大君は神にしませば
天雲の雷の上にいほらせるかも
わが大君は神でいらっしゃるので、
人間には不可能なことをなさる。
雷の上に廬りしていらっしゃる

ぬばたまの夜のふけぬれば
久木おふる清き河原に千鳥しば鳴く
夜が更けゆくほどに、
久木の生い茂る清らかな川原で、
千鳥がしきりに鳴いている

春まけて物がなしきにさ夜ふけて
羽ぶき鳴く鴫誰が田にか住む
春になって、物悲しい気分の時に、
夜も更けて羽ばたきながら鳴く鴫、
あの鴫はだれの田で鳴いているのだろうか

多摩川にさらす手作
さらさらに何ぞこの児のここだ愛しき
多摩川にさらす手織りの布よ。
さらにさらになんでこの子がこんなに可愛いのだろう

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