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もっとアラビアンナイト

番組で紹介した、王妃が奴隷と浮気をするシーンです。
フランス人学者、ガランが入手した15世紀の写本には
なんと書かれていたか、紹介しましょう。

そして妃が「マスウードよ、マスウードよ」と叫ぶと、一本の木から黒人の奴隷が飛びおりて妃のもとに駆けより、彼女の脚を持ち上げると太腿のあいだに入りこんで交わりました。マスウードが妃に乗りかかると、十人の奴隷が十人の女たちに乗りかかり、夜半になるまで楽しみをやめませんでした。

次に、様々な翻訳の中で、
エロチックな描写が長いことで知られる
バートン版を紹介します。

いっぽうひとりぽっちになった妃は、すぐさま大きな声をはりあげて叫んだ。「ここへおいで、サイードさま!」すると、木立の中の一本の樹から、さっと飛びおりて、目をぎょろつかせ、涎を流した大きな黒人が現われたが、白人にとってはまことにいまわしい姿だった。くだんの黒人は大胆不敵にも妃に近づいて、腕をその首にまきつけた。妃も同じように男をひしとばかりかきいだいた。つぎに、男は荒々しく接吻し、まるでボタン孔がボタンをしめるように、自分の脚を相手の脚にからみつけ、地上におし倒して、女を楽しんだ。
ほかの奴隷たちも女どもを相手に同じまねをし、だれも彼も淫欲を満たした。接吻し、抱擁し、交会し、ふざけあいなどして、いつはてるともみえなかったが、陽ざしがかげりはじめるころになって、白人の奴隷らはやっと女たちの胸から立ちあがり、また黒人も妃の胸から体を起こした。
(大場正史訳『バートン版 千夜一夜物語』河出書房)

訳によってずいぶん、内容が違うことが分かります。
詳しいことは番組テキストで解説していますので、
ぜひ読み比べてみてください。

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