おもわく。

※今回の放送は今年5月に放送したシリーズです。
『老子』

新年度から環境が変わり、5月病に悩む人もいるでしょう。そこで「100分de名著」5月シリーズでは、肩の力を抜き、自然体で生きる術を語った中国古典の名著「老子」を取りあげます。

「老子」は、老子という人物によって書かれた書物と伝えられていますが、この人物が実在したのかどうかを疑う説があるほど、その経歴は謎に包まれています。複数の思想家の言葉を集めたものとも言われています。

老子が生きていたと思われる春秋戦国時代は、鉄の生産が広まった時代でした。鉄は戦争を変え、農業を変えました。生産性が高まったことから、商業も発展しました。しかしその一方で、社会の急激な変化と果てしない生存競争に、疲れを感じる人も多かったと思います。

「老子」は、そうした疲れた人々にとって、癒やしとなる本でした。それは変化の荒波の中、とまどいながら生きている現代の日本人にも通じるところがあります。

「老子」は「自然の摂理に学べ」と説きました。自然には善意も悪意もなく、無理をしません。ただあるがままに変化するだけです。一方人間は、意志を通そうとつい無理をしてしまうことがあります。しかし無理は長続きしません。また疲れ果ててしまっては、良い人生を送ることが出来ません。老子は、道理にそぐわない無理を諫め、過剰な自己顕示欲をおさえることが必要だとしました。

番組では、「老子」を通して、現代人がとらわれがちな様々な強迫観念を覆すと共に、しなやかに生きる術を学んでいきます。

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第1回 「道」に従って生きよ

【放送時間】
2013年5月8日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年5月15日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年5月15日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
【アンコール】
2013年8月7日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2013年8月14日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年8月14日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2013年8月15日(木)午前1:40~2:05<14日深夜>/Eテレ(教育)
※8月は高校野球などのため再放送が中止になる場合があります
【ゲスト講師】
蜂屋邦夫(東京大学名誉教授)

老子は、儒教のアンチテーゼとして書かれた書である。儒教のような形式にとらわれず、自然のように融通無碍に、そして柔軟に生きることを勧めた。また老子は、自然の背後には万物を創造するエネルギーがあり、人智の及ばない法則があるとして、それを「道」と称した。第1回では、老子の全体像を解説する。そして自然の法則に習った無理をしない生き方について語る。

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第2回 水のように生きる

【放送時間】
2013年5月15日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年5月22日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年5月22日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
【アンコール】
2013年8月14日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2013年8月21日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年8月21日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
2013年8月22日(木)午前1:40~2:05<21日深夜>/Eテレ(教育)
※8月は高校野球などのため再放送が中止になる場合があります
【ゲスト講師】
蜂屋邦夫(東京大学名誉教授)

老子は、固いものよりも、柔らかいものの方が強いとした。そして流れる水のように、柔軟に生きることをすすめた。また老子は、暴力的な力によらずに目的を果たすことが大切だと説いた。この思想はロシアの文豪・トルストイに大きな影響を与え、後にガンジーの無抵抗主義へと結びつく。第2回では、力に頼ることの愚かさと、弱者が強者に勝つ方法を学ぶ。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:蜂屋邦夫(はちや・くにお)「もうひとつの生き方」を示してくれる書
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第3回 人を生かす知恵

【放送時間】
2013年5月22日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年5月29日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年5月29日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
【アンコール】
2013年8月21日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2013年8月28日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年8月28日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
蜂屋邦夫(東京大学名誉教授)

人間には自己顕示欲がある。自己顕示欲がぶつかりあうと、争いが起きる。そこで老子は、自己主張を控え、人々から敬愛を得るのが何より大事だとした。またその一方で、民衆のやる気や自主性を引き出すためには、何が必要なのかも説いている。第3回では、組織の中で生きる人間にとって、役に立つリーダー論を学び、人を生かす知恵を探っていく。

もっと「老子」
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第4回 満ち足りた人生とは

【放送時間】
2013年5月29日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2013年6月5日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年6月5日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
【アンコール】
2013年8月28日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
2013年9月4日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2013年9月4日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
蜂屋邦夫(東京大学名誉教授)
【特別ゲスト】
ドリアン助川(詩人/作家/道化師)

柔軟な生き方を説いた老子は、過度の欲望を否定した。選択肢が多ければ多いほど、かえって悩みは増える。評価ばかりを気にして、自分と他人を比べることは、自分を苦しめてしまうことになる。人生における最大の不幸は、満足を知らないことなのだ。第4回では、老子のファンであり、老子の解説書も出しているドリアン助川さんを招き、満ち足りた人生とは何かについて語りあう。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
『老子』2013年8月
2013年7月25日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「老子」こぼれ話

「老子」いかがでしたでしょうか?その主張の中には、実現不可能と思われる部分も多いのですが、これは世の中の「主流」に疑問を感じたとき、心のバランスをとるためにある書だと思います。
ですので、自分の生き方や、社会のあり方に疑問を感じていない人にとっては、「老子」は必要ないかもしれません。
生きにくいと思った時、あるいは高みを目指したはずが、人生に行きづまってしまったとき、手にとっていただければ、「老子」はきっと癒やしをもたらしてくれると思います。 6月シリーズでは、「老子」の精神と重なり合う部分を持っている、トルストイ「戦争と平和」を取りあげます。次回もぜひ、ご覧下さい。

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