おもわく。

アインシュタイン『相対性理論』

20世紀初頭に発表されたアインシュタインの相対性理論。物理学の革命と言われ、時間と空間の概念を一新するとともに、原子力開発にも結びついた、この偉大な論文を知らない人はいないでしょう。
しかし相対性理論とはどのようなものなのか、正確に答えられる人はほとんどいません。
難解な十元連立方程式など、理解するには高度の数学知識が必要となるからです。
しかし実は、比較的簡単にその理論を説明することもできます。アインシュタインが得意とした「思考実験」という方法を用いることです。思考実験とは、「光に近い速度で宇宙船が飛行しているとしたら、その内部で何が起きるか」といった、実現不可能な想像上の実験のことです。
そこで11月の「100分 de 名著」では、スペシャル企画として、アニメーションやコンピューターグラフィックスを駆使して様々な思考実験を行いながら、相対性理論を読みときます。番組を見れば、数学や科学の知識がなくても、そのエッセンスが手に取るように分かります。
ロマンあふれる「相対性理論」の不思議な世界を、どうぞお楽しみ下さい。

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第1回 光の謎を解き明かせ!

【放送時間】
2012年11月7日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2012年11月14日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2012年11月14日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐藤勝彦(宇宙物理学者)

光速に近づくと時間が遅くなる?重力で宇宙空間がひずむ?常識とはかけ離れた世界に感じられる相対性理論。アインシュタインはなぜこのような理論を考えたのだろうか。
20世紀初頭、当時の物理学者たちは光の謎を解明出来ずにいた。その謎に挑んだのが相対性理論だった。アインシュタインは、時間と空間は相対的に変化するという極めてユニークな発想に基づき、問題を解決する。第1回では相対性理論が誕生するまでの経緯を語る。

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第2回 時間と空間は縮む

【放送時間】
2012年11月14日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2012年11月21日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2012年11月21日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐藤勝彦(宇宙物理学者)

アインシュタインは「光の速度は、どの観測者から見ても、一定である」とした。この原理に基づくと、光速に近いような速い速度で移動する宇宙船があった場合、その宇宙船の内部を外から眺めると、宇宙船の中の時間がゆっくりに感じられるという不思議な現象が起きる。変化するのは時間だけではない。宇宙船が極めて速い速度で移動する時、宇宙船の中の人にとっては、周囲の空間が縮んで見える。第2回では、時間と空間に関わる不思議な現象を解説する。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:佐藤勝彦「誰にでもわかる『相対性理論』の世界へ」
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第3回 驚きのエネルギー革命

【放送時間】
2012年11月21日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2012年11月28日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2012年11月28日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐藤勝彦(宇宙物理学者)

アインシュタインは光が最も速い理由について、光には質量がないからだとした。そして光以外の物質は速度が上がるにつれ質量が増すとした。例えばロケットの場合、光速に近づくにつれロケットの質量が増える。そのため次第に加速が難しくなり、質量のない光には、永遠に追いつけないというわけである。
またアインシュタインは、物質の質量には、実はぼう大なエネルギーが隠されているとした。この理論に基づいているのが原子力だ。第3回では、エネルギーと質量の関係に迫る。

もっとアインシュタイン
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第4回 ゆがんだ宇宙 重力の正体とは

【放送時間】
2012年11月28日(水)午後11:00~11:25/Eテレ(教育)
【再放送】
2012年12月5日(水)午前5:30~5:55/Eテレ(教育)
2012年12月5日(水)午後0:25~0:50/Eテレ(教育)
※放送時間は変更される場合があります
【ゲスト講師】
佐藤勝彦(宇宙物理学者)

私たちの常識では、太陽と地球の間には重力が働いて互いに引き合っており、この力が遠心力とうまくつり合っているので、地球が軌動を描いて回っていると理解しがちだ。ところがアインシュタインは、太陽の巨大な質量のために、太陽の周りの空間が曲げられており、そのへこみにそって地球が進んでいると考えた。つまり重力とは、空間が曲がることによって生まれる運動なのである。
第4回では、重力の驚くべき正体を明らかにするともに、ブラックホールの仕組みなど、ロマンに満ちた宇宙の謎に迫る。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
アインシュタイン『相対性理論』2012年11月
2012年10月25日発売
定価550円(本体524円)
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こぼれ話。

「相対性理論」こぼれ話

「相対性理論」、いかがでしたでしょうか?
「100分 de 名著」ではこれまで、古典文学や哲学書などから、「生きる知恵」を探るものが多かったのですが、今回はまったく違う方向をめざし、宇宙物理の世界をご紹介しました。また論文は、著作物ではあるものの本ではないのですが、「名著」の定義を広く解釈して、スペシャルシリーズとして取りあげました。
今回「相対性理論は今の私にとって何の役にたつのか?」という疑問もいただきましたが、実は「実用」になることを目指していませんでした。というのは、本は「生きる知恵」を得る面もあれば、好奇心や知識欲を満たすものでもあるからです。そして「相対性理論って何だろう?」と不思議に思っている人たちに向けて、その好奇心と知識欲に訴えるよう、努力しました。
普段よりコンピューターグラフィックスやアニメを多く使用し、可能な限り分かりやすくしたつもりですが、人によっては分からないところもあったかと思います。いきなり全部、すっきり分かるというものではないからです。ちょっとチャレンジングな回でしたが、楽しんでいただけたなら嬉しいです。
最後に、アインシュタインが残した言葉を記します。「学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく。気づけば気づくほど、また学びたくなる」。見ていて謎が残ったけどもっと相対性理論について知りたい!という方は、ぜひ関連書籍を読んでみて下さい。「100分 de 名著」で学んだことが土台となり、より深く理解が出来るようになるはずです。
次回は、またがらりと方向を変えて、「星の王子さま」を解説します。頭を切り換えて、優しい気分にひたりながら、どうぞご覧下さい。

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