おもわく。
おもわく。

「時間とはなにか?」「いのちとはなにか?」「死とはなにか?」
誰もが心に抱いている根源的な問題を、ファンタジーという手法を使って、子どもにもわかる易しい言葉で考えさせてくれる文学作品があります。ミヒャエル・エンデ「モモ」。30カ国以上で翻訳され、今も世界中で愛され続けている作品です。生誕90年を越えて、再び大きな脚光を集めるこの作品を、「100分de名著」で取り上げます。

主人公は、街の円形劇場の廃墟に住みついた小さな女の子、モモ。彼女の不思議な魅力にひかれて大人も子どももモモの周りに次々と集うようになり、街の人々との間にあたたかな友情が生まれました。ところがある日、「時間貯蓄銀行」から来た灰色の男たちがこの街に現れます。人間の時間を盗んで生きる彼らの詐術によって街の人々は時間の節約を始めました。どんどん冷えきっていく街の大人たちの心。友人たちを助けるためにモモは「時間の国」を訪れます。そこで出会った時間を司るマイスター・ホラと不思議な能力をもった亀・カシオペイアの助けを受けて、モモは灰色の男たちとの戦いを開始します。果たして、モモの運命は?

この作品は、現代人が見失いがちな「時間の大切さ」を訴えているだけではありません。臨床心理学者の河合俊雄さんは、エンデが私たちに、「時間」の本質が私たちの「いのち」や「死」と直結したものであることや、この世には私たちひとりひとりの存在を超えた根源的な力が働いているという世界観を伝えようとしているのだといいます。

さまざまな意味を凝縮した「モモ」の物語を【聴く力の大切さ】【時間が本来もっている豊かさ】【いのちの本質】など多角的な視点から読み解き、混迷する現代社会を問い直す普遍的なメッセージを引き出します。

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第1回 モモは心の中にいる!

【放送時間】
2020年8月3日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
【再放送】
2020年8月5日(水)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2020年8月5日(水)午後0時00分~0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター所長)
【朗読】
のん(俳優)
【語り】
加藤有生子

みすぼらしいほどちっぽけな存在「モモ」。だけど彼女に話を聞いてもらうと、どんなに打ちひしがれている人もたちまち元気を取り戻す。モモを「私たち誰もがもっている奥深い自己の働き」ととらえると、エンデのメッセージが読み解けてくる。その働きの一つが「聴く力」。一流のカウンセラーにも通じるこの力は、いいかえれば「自分を空っぽにすることで他者を迎え入れ、よい方向に導いていく力」。誰の心の中にもこんな「モモ」が住んでいるのだ。第一回は、モモがもっている「聴く力」を通して、私たちがより豊かに生きるヒントを探る。

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第2回 時間を奪う「灰色の男たち」

【放送時間】
2020年8月10日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
【再放送】
2020年8月12日(水)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2020年8月12日(水)午後0時00分~0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター所長)
【朗読】
のん(俳優)
【語り】
加藤有生子

灰色の男たちの出現によって街の様相は一変する。彼らの巧妙な詐術によって人々は自分が過ごしていた豊かな時間を無駄なものだと思い込み、「時間貯蓄銀行」に預け始めるのだ。その結果、豊かな時間を失った人々の心はますます荒み、子どもたちは自由な時間を奪われ管理されていった。「灰色の男たち」は効率主義的、物質主義的な世界観を象徴したものだともいわれる。それは私たちの外側にいる敵ではなく、自分自身の心の中の働きなのだ。第二回は、「灰色の男たち」が奪っていった「時間」を見つめることで、私たちにとって「真に豊かな時間とは何か?」を考える。

名著、げすとこらむ。ゲスト講師:河合俊雄
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第3回 時間とは「いのち」である

【放送時間】
2020年8月17日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
【再放送】
2020年8月19日(水)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2020年8月19日(水)午後0時00分~0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター所長)
【朗読】
のん(俳優)
【語り】
加藤有生子

モモは、カシオペイアの導きで「時間の国」にたどり着き、時間を司るマイスター・ホラに出会う。ホラが見せてくれたのは、時間が生まれる瞬間の光景。そこでモモは「時間はいのちそのものである」という真理に気づかされる。そして、この世には自分というちっぽけな存在を超えた根源的な働きがあることにも。「時間の国」が描かれる章では、エンデの根源的な哲学が表現されており、「時間とは何か?」「いのちとは何か?」「死とは何か?」という問いに対するエンデなりの答えが読み解ける。第三回は、「時間の国」でモモが出会った出来事を通して、「時間」や「いのち」のあり方についてのエンデの深い思索を明らかにする。

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第4回 「受動」から「能動」へ

【放送時間】
2020年8月24日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
【再放送】
2020年8月26日(水)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2020年8月26日(水)午後0時00分~0時25分/Eテレ
2020年8月31日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ
2020年9月2日(水)午前5時30分~5時55分/Eテレ
2020年9月2日(水)午後0時00分~0時25分/Eテレ
※放送時間は変更される場合があります
【指南役】
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター所長)
【朗読】
のん(俳優)
【語り】
加藤有生子

「時間の国」から帰還したモモは、時間を奪われた友だちを助けるため行動を開始する。そしてモモがたった一人で挑んだ戦いがやがて世界を元通りにする。何の力もないちっぽけな女の子がどうしてそんな勇気を得ることができたのだろうか? その理由は「直観」に支えられた「受動から能動への転換」があった。外から示された規範による行為は弱いが、自分にとって明々白々たる体験や直観を元にした行為はゆるがない。エンデは「直観に根ざす決断こそ、この世に新しい創造をなす」と別の著書でも書いている通り、直観や無意識こそが受動から能動へと人間を転換する鍵を握っているという。第四回は、モモの「受動から能動への転換」に秘められた、人間が世界を変えていく可能性を読み解く。

NHKテレビテキスト「100分 de 名著」はこちら
○NHKテレビテキスト「100分 de 名著」
『モモ』 2020年8月
2020年7月25日発売
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