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ユリナ ノ 目

「徒然草」を読んで。

連載9回目となりました!コラム【ユリナ ノ 目】。

今月は「徒然草」を読み解いてきましたが、放送をご覧いただいたみなさん!いかがでしたでしょうか?

ゲストにお越しいただいた先生は
なんと!あの古文のマドンナ先生・荻野文子さん!

中高時代に荻野先生の本で古文を勉強していた方、現在勉強している方も多いのではないでしょうか?

私も受験の時は本当に先生の本にお世話になったので、先生の生授業(笑)に大興奮してしまいました!

一見難しそうに見える『徒然草』の古文体の文章も先生の解説だととってもわかりやすかったです。

そして、何よりも、先生のお話をきいていると、《吉田兼好は一体どんな人物だったのだろう?!》という兼好の“人柄”への興味がどんどん沸いてきました。

中学校の授業で初めて『徒然草』に出会った時、
「初心の人、二つの矢を持つことなかれ」などの《上達の極意》について書かれてある部分を中心に学んだためか、私の中で兼好はとても論理的で啓蒙的な人物だという印象が先行していたのですが、今回先生のお話を通して、今まで知らなかった吉田兼好の面白い人柄が分かってとても楽しかったです!

例えば、『徒然草』の117段では「友にしてはいけない人物」について
「身分の高い人、若い人、身体の強い人、飲酒する人、勇猛な武士、嘘をつく人、欲深い人」と挙げています。
6番目、7番目はたしかにわかりますが、他に関しては普通ならば逆に友達になってほしいような人物ばかり!
兼好はまるで“天の邪鬼”なのです。

兼好は「同じ気持ちになれない人と一緒にいると、一緒にいても一人で居るような気がする」という理由から“自分が気を張ってしまって同じ気持ちになれなそうな人物”を「友にしてはいけない人物」として挙げたそうなのですが…。

とてもシャイでデリケート、そしてちょっとひねくれた兼好の性格が察せられます。


また、兼好が色恋の多い人物であったということも私にとってはとても意外でした!

107段で「女の性は皆ひがめり。」(女の本性は皆ねじけている)と言っているように、兼好は女性に対しての批判をことあるごとに繰り返しているのですが、しかし、そうかと思えば、その一方で「男性は女性の魅力に抗うことができない」と女性の魅力についても深く語っています。

恋愛に対してロマンチストな面を持ちながら、それを表現するのが苦手そうなその姿は、まさに現代のモテる人の代名詞とも言える《ツンデレ》ではないでしょうか!!

4回目にゲストでお越しいただいた嵐山先生は兼好の人柄を《ダンディズム》という言葉で表現していらっしゃいましたが、
一見すると「ああ言ったかと思えば、こういう」というように気まぐれにも見えますが、多面的で柔軟、そして感受性に富んでいてとても人間らしさを感じるその姿は、現代の私たちから見てもこの上なく魅力的だと感じました。

収録を通して、思いもよらず、兼好のファンとなってしまいました!!


さて、次回は《旧5000円札の顔》でおなじみの新渡戸稲造の著書、
『武士道』を紐解いて行きます!

お楽しみに♪

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