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今治市 デジタル発信で漁業の未来を拓くYouTuber

  • 2024年05月28日

愛媛県今治市に、漁業をしながら、その日常を動画投稿サイト・YouTubeで積極的に紹介している人がいます。その名も「瀬戸内海の漁師まさと」こと、渡邉将人(わたなべ・まさと)さん。コロナ禍と、中国による水産物の輸入停止という苦境を、漁業とデジタル発信の二刀流で乗り越えようとする姿を探ってきました。

(NHK松山放送局アナウンサー 鈴木聡彦)

特集の内容はNHKプラスで配信中の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。

画像をクリックすると見逃し配信が見られます!6/3(月) 午後6:59 まで

漁師×動画配信 ユニークな活動を世界が注目!?

獲れたばかりの魚を手に、その特徴などを動画配信で紹介しているのは、「瀬戸内海の漁師まさと」こと、今治市で漁業を営む渡邉将人(わたなべ・まさと)さんです。
動画の再生回数は多いもので600万回を超え、チャンネル登録者は16万人以上、動画への感想が世界中から届く、人気のYouTuberです。

渡邉さんは、大学で海について学んだあと、12年前から、ふるさとである今治市の大島・吉海町(よしうみちょう)で漁業の道に進みました。
3月から8月にかけては、主に定置網を使った漁をしています。
動画投稿をはじめるきっかけは、4年前、新型コロナウイルスの感染拡大で、魚が売れなくなったことでした。

「このままずっと、いままで通りやっていくだけでいいのかという不安がありました。何か空いた時間でできることをやれないかということのひとつが、YouTubeでした。人が持っていない情報や課題を提供することが必要だと感じていたので、漁師のことを発信したらどうなるかなと思ったのが最初でしたね」

漁と撮影を終えると、撮ったばかりの動画をさっそくパソコンで編集します。
漁師ならではの面白い場面を選び、字幕や音楽を加えながら、魅力的にしていきます。
何気ない漁師の日常を紹介したほうが、動画を見た人たちからの受けがいいと、渡邉さんは感じているそうです。

動画の投稿は、思わぬ反響がありました。
そのひとつが、動画を見て漁業に興味を持った21歳の竹内健(たけうち・けん)さんが、島へ移住してきたことです。
通っていた大阪の大学を退学して、渡邉さんが行う漁や動画の撮影を、2年前から手伝っています。

再び襲うピンチ!救ったのは「クラウドファンディング」

漁師とYouTuberの二刀流が軌道に乗るなか、去年(2023)の夏、渡邉さんに新たなピンチが訪れました。
中国による、日本の水産物の輸入全面停止です。
特に初夏の時期にかけて獲れるイカは、主に中国への輸出用だったため、渡邉さんは大きな痛手を受けました。

打開策として思いついたのが、動画投稿で培ったインターネットを活用することです。
広く資金を集める、クラウドファンディングに挑戦しました。
目標は、およそ1か月間で173万円を集めることでした。

動画を活用するなどして出資を呼びかけたところ、集まった金額は、最終的に目標の5倍近くとなる823万円あまり。
全国の770人から出資がありました。
YouTuberとしての知名度が後押しになりました。

渡邉さん
「800万円を超えるような金額になって、すごい反響、応援の声がありました。動画の視聴者さんに背中を押してもらったような感じで、もちろんうれしいのもありますし、逆に頑張らないといけないなと、そういった気持ちにもなりました」

集めた資金で「新しいカキ養殖」に挑戦!

ネットで集めた資金で新たに取り組むのは、カキの養殖です。
海に浮かべたカゴに稚貝を入れて育てる、新しい方法です。
1日に数回、カゴを回転させると、カキが海面から出る時間が生まれます。
こうすることで、カキに負荷が加わり、出荷から1週間程度は生で食べられるカキが育つといいます。
商品価値が高まり、収入の安定が期待できます。

「漁業を続けるためにデジタル発信をしなければいけない、というイメージですね。新しい何かは、必ず今後の水産業界に必要だと思っているので、既存の漁業に、ネットなり、違ったことを掛け合わせて、業界をブラッシュアップしながら、健くんみたいな仲間たちを連れて、一緒に仕事ができたらなと思っています。そうすることが、ちょっと大きな言い方ですが、水産業への貢献にもつながると僕は思っています」

取材実感

漁業をめぐる厳しい環境を乗り越えようと、ときに笑顔を交えながら、デジタル発信の必要性や未来の夢を熱く語ってくれた渡邉さんの姿が印象的でした。
取材の合間には、春から初夏の瀬戸内海の恵みである、獲れたてのイカやマナガツオを試食させてもらいましたが、弾力のある歯ごたえは絶品! 
この漁がいつまでも続いてほしいと、心から思いました。
まずはクラウドファンディングを経て取り組むカキ養殖を軌道に乗せて、その先は…と、渡邉さんの胸の内には、明るい展望が広がっているようでした。
次は何が飛び出すのか、渡邉さんの挑戦から目が離せません!

特集の内容はNHKプラス配信終了後、下記の動画でご覧いただけます。

  •  鈴木聡彦

     鈴木聡彦

    2002年に「きょうの料理」を担当以来、各地の「おいしい特産品」の取材を継続。松山局では、来島海峡のアコウや、伊予灘のハモ、西予市の養殖ヒラメ、松野町の職人が作るピザ、東温市の牛乳工場などを紹介。

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