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松山市 奮闘する街なかの青果店

  • 2023年10月27日

スーパーの進出やネット通販の広がりなどで街なかの青果店が姿を消す中、こだわりの売り方で客を増やしている青果店が松山市にあります。販売を担当する20代の若者が届けるのは、野菜と笑顔です。

(NHK松山放送局 濱本凌輔・山下真理子・寺川季里)

高騰する野菜

松山市の青果店で販売を担当する26歳の成松明毅(なりまつ・はるき)さんです。いま、頭を悩ませているのが、夏の暑さと雨不足の影響による野菜の高騰です。例えばトマトの店頭価格は去年に比べておよそ2倍。他にも小松菜は1.7倍、にんじんは1.6倍に上がっています。

「お客さんにこの値段で商品を出すのは、申し訳ないですね。例年この時期だったら野菜が安い値段で出せていたのにな、と思いながら販売しています」

それでもお客さんは増加

そんな状況でも、去年に比べて客の数は増えているといいます。
話を聞いてみると、「ほぼ毎日来てますね」と話す客や、この店の良さについて「安さと、新鮮さだと思います」と話す客の姿がありました。

秘訣はこだわりの売り方にあり!

客が増えている背景には、明毅さんこだわりの売り方がありました。

まずは野菜の鮮度を保つことです。店頭では野菜を水につけ、水を吸わせることで鮮度を保って販売しています。たとえばブロッコリーは、水につける前に包丁で茎を切っています。これによってブロッコリーが水を吸う量が増えるのだといいます。

さらに客の要望があれば、大根やカボチャなど大きめの野菜は好きな大きさにカットして販売します。

「1人暮らしの人はこれを半分にしてほしいとか、ありますね。値段も半分にしています」

さらにレジで会計してもらう際には明毅さんの心遣いで、商品の価格を下げることも。

「これは1つ68円なんですけど、ちょっと日がたっているので、値段を下げてもいいですか」

お客さん
「え、本当ですか。お願いします」

そして最近始めた新たな売り方がバナナ、棚に置くと痛みやすいため、吊り下げて販売することにしました。取材しているときにも、バナナが目にとまり買っていった客がいました。

「今は実験実験で、お客さんの目にとまって手に取ってくれる、買ってくれるのが一番大切なんですけど、それ以上に認知度とか含めて試行錯誤でやっています」

”恩返し”で実家の青果店に

(右)大学時代の明毅さん

県外の大学に進学し卒業後、愛知県で会社員として働いていた明毅さん。2年前、実家であるこの店に帰ってきました。

「僕が大学に行った時は、仕送りをもらっていて。結構負担があったと思うんですよ。ここまで成長させてくれた感謝ですね、親孝行とか、恩返しじゃないですけど。そういう思いを込めて今はここで一緒に働いているって感じですね」

明毅さんが帰ってくるまで、店は保育園や老人ホームなどへの卸売りが中心でしたが、売り上げは減少。そこで新たな販路として、個人の客を相手にする小売りに力を入れるようになりました。

多くの客に足を運んでもらいたいと、家族と協力しながら試行錯誤の日々です。
姉の弥生さんとはインスタグラムを使って、野菜の詳しい情報を伝えています。

姉の弥生さん
「みかんだったらどこの産地のものか。私がお客さんだったら知りたいなって思うことを私は投稿するようにしています」

野菜とともに笑顔を届けたい

様々な工夫によって少しずつ客が増える中、明毅さんが最も大切にしているのが客ひとりひとりとの会話です。

お客さん
「干し柿はいつごろ入ってくる?」

「干し柿は多分12月末ぐらい。またあれやるんですか。ウイスキーでキュッと」

「一応看板娘4人で」

お客さん
「そうなんですか」

「3人は今休憩中で。今出勤で」

お客さん
「やっぱ人懐っこくていいですね。きょういるかなと思ってまずね、確認しますね」

お客さん
「ちょっとコーヒー飲もうとかね。気軽に付き合ってくれるし。気さくやけん来やすいし」

他愛もない会話から笑顔を引き出す。いつしかハルキさんの人柄そのものがお店の大きなウリとなっていました。

「一人一人と会話できる時間は長いんでこのお客さんはこういう野菜が欲しいとかもうそろそろこのお客さんが来そうやからこの野菜仕入れてみようかなとかって。ていう戦略もやっぱりできるんで。会話はやっぱりすることが一番強みかなって思いますね。アットホームな感じですかね。お客さんも含めて従業員全員であったかみがある、じゃないですけど。温かみがあるお店にはしたいですね」

取材を終えて

通勤前、偶然この店を通りかかったとき、明毅さんに挨拶をされて元気をもらったことがきっかけで取材が始まりました。取材を進めていくうちに第一印象ではわからない明毅さんの人柄や考え方に触れ、身近にある青果店でも世の中にはいろいろな人のストーリーがあってドラマがあることを感じました。日常で見つかる些細なことから深く物事を見ることの大切さを知ることができました。

  • 濱本凌輔

    濱本凌輔

    2023年入局。番組編成を担当。 熊本県出身。野球、ラグビー経験あり。スポーツ大好き。 好きな野菜はほうれん草。

  • 寺川季里

    寺川季里

    2023年入局。放送に関わる技術業務を担当。 福井県出身。最近の趣味はボードゲーム。好きな野菜はレンコンと春菊とズッキーニ。 

  • 山下真理子

    山下真理子

    2023年入局。ニュースの映像制作を担当。 神奈川県出身。愛媛に来て青じそのおいしさに感動。好きな野菜はモロヘイヤ。

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