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西条市 四国の"聖地"でインバウンドを取り込め!

私の東方見聞録②西条市
  • 2023年09月06日

ふだん宇和島支局から地域の話題をお届けしている私・山下が県東部を訪ね、東予の魅力に浸る“私の東方見聞録”の第2弾。
今回は西条市だ。JR伊予西条駅のホテルの部屋からは、霊峰・石鎚山が見える。
まだ残暑が残る8月末、私は知人の旅行業界関係者に誘われ外国人観光客向けの商品開発につなげるためのモニターツアーに参加した。テーマは「祈りと水」。ツアーでは南予で生まれ育った私にとって新鮮な体験が待っていた。

(NHK松山放送局 宇和島支局 山下文子)

ツアーはJR四国と百十四経済研究所が企画した。
今、新型コロナで大きく落ち込んだ外国人旅行者の数は急速に回復している。日本政府観光局のまとめによると、7月に日本を訪れた外国人旅行者は232万人余りと推計され、2019年との比較で77%の水準まで回復した。この流れに四国も乗り遅れず、魅力的な観光資源をPRして外国人を呼び込むのが狙いだ。モニターツアーには旅行会社の関係者のほか外国人のライターなど16人が参加した。

まず訪れたのは地元でうちぬきと呼ばれる自噴井。
石鎚山系の山々に降った雨は地下水となって市内各地で湧き出ている。国の名水百選にも選ばれていて、市民の暮らしを支え続けている。

観光ガイド

「うちぬきは市内で3000カ所ぐらいあり、湧き水は無料。勝手に湧いてくるから止めようがないんです。ずっと出っぱなし」

うらやましいではないか。私も、その水を一口いただく。
冷たくて、おいしい!
ここは弘法大師が杖をついたら水が出てきたという言い伝えが残されているそうだ。

うちぬきはこんな場所にも。市内の嘉母神社だ。境内にあるうちぬきには、地元の人たちがペットボトルを片手に水をくみに来ている。近くには石鎚山の修験道の鎖が手すりとして設置されていて、神々しい雰囲気を醸し出している。西条市では、水は聖地と密接に関わっているのだ。

地元の男性

「2週間に一回くらいのペースでくみに来ます。この水じゃないとだめですね」

水は地域の産業も支えている。創業およそ150年の酒蔵を訪ねた。蔵元が主催するバックヤードツアーである。この日は酒の品質を一定に保つ加熱処理「火入れ」を行っていた。

蔵元の男性

「うちの酒造りで使う水は、井戸から湧き出る四国の山々から出ている伏流水です。地下水なので水温が年間通して14度くらいです」

ツアーの参加者たちも一口。
さきほどの水より少し口当たりがまろやかに感じた。蔵元によるとうちぬきの場所によって、水の硬度なども変わってくるという。

ツアー参加者

「たしかにさっき飲んだ水と違いますけど、英語でもどう言っていいか迷います」

水は身を清めるためにも欠かせない。続いて訪れたのは石鎚神社本社だ。
ここでみそぎを行うことになった。参加者たちは次々と川に入る。外国人に日本古来の神事を体験してもらおうという狙いだ。神職直々のレクチャーを受けられるなんてありがたい。まずはみそぎの心得を学ぶ。
神職いわく「朝、顔を洗うこともみそぎの一つ」だという。水はけがれを洗い流す力があるとされ、まずは自身を清めたうえで参拝するのだ。神道で水は重要な役割を持つ。

そして山岳信仰に欠かせないのがほら貝。
神職によると、もともとは修験道で携帯電話のような役割を持っていたという。「ここにいますよ」「今から山を下りますよ」などと山伏が連絡手段として使っていたらしい。
腹の底まで響き渡る音は、荘厳で神秘的な空気をつくりあげる。しかし、実際に音を出そうとすると、これが結構難しい。こちらも神職から直接手ほどきを受けることができる。ほら貝は「吹く」のではなく「立てる」というそうだが、あの音、そう簡単に立てることはできない。カエルみたいに頬をぷくっと膨らませ、それから一気に息を吹き込む。30分ほど練習を重ねて、ようやく音が立ち始めた。一行は神社近くの寺でほら貝を立てて奉納。この日の行程を終えた。

ツアー参加者

「結構深みがある体験だといえます。ディープなコンテンツになりえるし、旅の付加価値としてはあると思います」

山下の感想

祈りが生活に根ざした西条市はまさに四国の聖地だ。
私自身、信仰心が強い方ではないと思っていたが、石鎚山に登り山頂の社を参拝したとき、なんとも言えないすがすがしさを感じた。山々の峰は美しく、山をご神体として信仰する感性は私にも備わっていた。四国にはお遍路などが外国人に人気だが、まだまだ四国には私の知らない聖地にまつわる観光資源は眠っているはずだ。外国人を始め多くの人に訪れてもらうため私も南予の魅力を発掘したいと気持ちを新たにした。

  • 山下文子

    山下文子

    2012年から宇和島支局を拠点として地域取材に奔走する日々。 鉄道のみならず、車やバイク、昭和生まれの乗り物に夢中。 実は覆面レスラーをこよなく愛す。

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