新人アナ 初の災害中継訓練の裏側
- 2023年07月03日

新人の熊井幹(くまい・もとき)と申します。
松山放送局に着任して一か月、たくさんのニュースを読ませていただきました。
日々、新しいことを知る毎日でとても充実しています。
休みの日も愛媛の様々な場所に出かけ、より実感を持ってニュースをお伝えしたいと思っています。
先日、初めて災害対応訓練に参加しました。NHK松山では“IP中継訓練”と呼んでいます。
IPとはインターネットプロトコルの略です。スマートフォンと放送局をインターネット回線で繋いで中継などを行います。
災害現場に居合わせた場合、その場から現場の情報をいち早くお伝えできるようにするためです。
訓練で、アナウンサーは、スタジオのキャスター役、または、災害発生時に現場に居合わせたという設定でスマホを使ってIP中継を行う役の、いずれかを担当します。
私はIP中継の担当です。
緊張している私の表情を見ながら、「意外な場所に落とし穴があるよ」と先輩方から一言、さらに緊張感が増してきます。現場に向かいます。
まず、中継場所の選定を行います。

場所を選ぶにあたって注意する点があります。
1.電柱などが倒れてくる場所にいない
2.周りの建物が倒壊する恐れ、ガラスの破片などが落ちてこない
3.通行の妨げにならない
4.点字ブロックの上でない
など。
中継する場所を、注意する点を指さし確認をしながら決めていきます。
安全な場所を決めたところで、スマホで映像をとります。カメラを通してどのように現場が映るか、どのような言葉で伝えるかを考えます。

その後、中継用のアプリケーションで放送局と繋ぎます。
中継前に再度、中継場所が安全か周辺を映して確認を取ります。
そして、回線の遅れがどれくらい生じるかを確認します。
カメラの前にグーを出して、放送局側から「キュー」と聞こえたら、パーにします。
放送局と現場の回線の遅れは4秒でした。

訓練開始
まもなく中継が始まります。 スタジオキャスターの宮本真智アナウンサーから「熊井さん」と呼ばれるまで待機します。
カメラがブレないようにしっかり持って、腕を固定します。この姿勢、意外に腕が疲れます。

「熊井さん」と呼ばれました。中継開始です。
現場から今見えること、聞こえる音など多角的に伝えました。

訓練は、終わった後も肝心です。
局に戻って、全体の反省会が行われ、それぞれの疑問点と改善点を共有します。
私も、感想と疑問に思ったことを確認しました。

全体の反省会のあとは、アナウンサーの先輩方からフィードバックをもらいました。
現場ではっきり見えていることが、テレビやスマホの画面を通してみると見えにくいことがわかりました。
もっとどの場所かわかりやすいように詳細に描写すること。人の生命に関する情報をより多く伝えられるような場所を選ぶことなどを教えてもらいました。

こちらが実際のスマホの画面です。

反省点、良かった点をノートにまとめて、身体に染み込ませていきます。

災害はいつ起こるかわかりません。
また、災害現場において“新人”ということは関係ありません。
いつ起きても、先輩方と同じように生命や財産を守るための情報をお伝えできるよう、 訓練を続けてまいります。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。