あけましておめでとうございます。
新年のあいさつもSNSでかわすことが多くなってきていますが、やはりポストに届く「紙」の年賀状をいただくと、うれしいものですよね。
その「紙」のまちとして知られる愛媛県四国中央市で、昨年末、伝統の手すき和紙の魅力を地元の人たちに知ってもらいたいと、地元産の原料にもこだわりながら年賀状を作るイベントが行われました。
(NHK松山放送局 中村奈桜子)
手すき和紙の楽しさと感動を
「じゃぷん たぷたぷたぷたぷ」
山あいにある工房に、紙をすく音が響きます。
和紙作りの体験イベントには市内の人たちが参加し、初めての手すきを体験しました。
講師を務めたのは、昨年の春から手すきによる和紙の生産を始めた若手職人、大西満王さん(23歳)です。
地元の伝統文化の良さを、体で感じてほしいと企画しました。
「特に和紙は手触りが特徴のひとつでもあるので、触ることの感動や楽しさを伝えていけたらなと」
地元産の原料にこだわる
和紙の元となる原料にも触れてもらおうと、皮を剥ぐ体験も行われました。
枝の切れ目をひねって皮を緩め、参加者2人で引っ張り合います。
参加者
「枝がいっぱいのやつは絡み合う」
参加者
「力はいるようでうまくいけばつるっと。けっこうやみつきみたいな」
体験に使ったのは、今も地元(四国中央市新宮町)で栽培されている「みつまた」です。
大西さん
「イベントができたのは原料を地元で作ってくださる方がまだいらっしゃったからで、ありがたい。
原料を作っている人の持続にも繋がっていくので、なんとか盛り上げていきたい」
剥いだみつまたの皮は1週間ほど干して乾燥させたのち、釜に入れ、アルカリ性の薬品とともに数時間煮込みます。
さらに、柔らかくなった皮をたたいて、繊維を細かくほどいていきます。
子供たちに伝統伝える
雪が降る中、大西さんが訪れたのは地元の小学校。
大人たちが作った繊維を使って、みつまた100%の手すき年賀状を作ります。
すいた後は、思い思いに飾り付け。
こだわりいっぱいの、和紙の年賀状ができあがりました。
(参加した児童)
「うさぎ年だからうさぎの模様を入れました」
(参加した児童)
「お母さんとかおばあちゃんとかに送りたいです」
大西さん
「子供たちからワクワクが伝わってきたので、体験してもらってよかったです。手作業なので思いがこもる、そこが手すき和紙作りのいいところだと、参加した皆さんとの作業を通じて改めて感じることができました」
取材後記
和紙ができあがるまでの工程を、五感を通して知ることができました。
ペーパーレスが求められる時代でもありますが、紙への愛着を忘れずに使いたいと思います。