2022年6月30日

あなたがマスクを外さない理由は?

私たちの日常に定着したマスク。
国は屋外で会話をほとんどしない場合などはマスク着用の必要はないと言っています。
しかし、私の周りや町の人たちを見ても、マスクを外している人はほとんどいません。
皆さんはマスクについてどのように考えているのでしょうか。

(NHK松山放送局 林 航生)

国の方針は?

5月20日、政府は新型コロナの感染対策としてのマスク着用について新たな考え方を公表しました。

▽2メートル以上を目安に、周りの人との距離が確保できる場面では、屋内で会話をする場合を除き「着用の必要はない」

▽屋内で会話をする場合でも、十分な換気などの対策をとっていれば「外すこともできる」


特に夏場は熱中症予防の観点からも外すことを推奨する考えを示しています。

文部科学省が出した通知

なかでも学校現場では子どもにマスクを外させようという動きが広がっています。
小さな子どもなどは特に熱中症に対して注意が必要だからです。
気温の高い屋外で、マスクをしたまま激しく体を動かすと息苦しく、危険な状況になりかねません。
文部科学省は6月10日、体育や部活動、それに登下校時には、児童や生徒にマスクを外させるよう教員が指導することを求める通知を都道府県の教育委員会に出しました。

学校現場はどう対応?

通知を受けて学校はどのように対応しているのか。
6月17日、松山市の中学校を取材しました。
この日は教員が校内放送を使って、体育や部活動などではマスクを外すよう呼びかけました。

さらにクラスごとに担任が生徒たちを指導。全国各地の学校で熱中症の症状を訴える子どもの搬送が相次ぐ中、リスクが高い場面ではマスクを外すよう、より踏み込んだ対応をとるようになりました。

三津浜中学校 岡井博之 校長 

「感染リスクも心配だが、熱中症の方が子どもたちにとって危険だ。リスクが高いときにはマスクを積極的に外してほしい」

実際に放課後の部活動の様子を取材すると、ほとんどの生徒が運動するときにはマスクを外していました。外した状態では会話を控えるなど基本的な感染対策はとりつつも、息苦しさもなくなり、練習もしやすくなったということです。

「部活している時にマスクしたままはしんどいのでうれしいかなと思います」

一方、変化が感じられなかった場面もありました。下校時です。
外している生徒はほとんどいません。
学校側も会話をしなければ外すよう指導していましたが、どうして外さないんでしょうか?

「外していいかの判断が難しくて。自分でも外していいのかあんまり考えられなくて」

「急に外すのは恥ずかしい。外すのに慣れたら外そうかなって思います」

マスク生活に慣れてしまったこともあり、急に外すことに少し抵抗を感じているようでした。
学校でマスクを外すように指導されても、一歩学校の外に出ると、ほとんどの大人がマスクを着けているので子どもたちも外しづらいのではないかと学校側は考えています。

町の人たちはどう感じてる?

では、大人たちはどうなのか。
松山市中心部でマスクをしている人に外さない理由を聞きました。

20代男性「習慣になっているからですね」
60代女性「市内では感染が収束していないので、なかなか外せるようにはならない」
80代男性「みんなやっているから」
80代女性「やっぱり安全。年寄りだからね。身を守るために着けている」

50人に取材しました。外さない理由は大まかに分けて2つありました。

「周りの人が着けているから」 ・・・32人
「感染が怖いから」 ・・・・・・・・18人


年齢が高くなるにつれて感染リスクを気にする人が多く、若い世代は周りに合わせてなんとなく、という人が多かった印象です。
中には「外したり着けたりが面倒」と言った声もありました。
大人もマスクを外すことに慎重な様子です。

外していいと言われても、積極的に外す人はまだまだ少ないマスク。
梅雨も明け夏も本番となり、熱中症のリスクも高まります。
私たちはどのようにマスクと向き合うべきか、感染症対策に詳しい専門家に話を聞きました。

専門家の見解は

愛媛県立衛生環境研究所 四宮博人所長

「運動するような場合や、運動していなくても外で汗が流れてくるような状況では、熱中症のリスクも考えるとマスクを積極的に外すべきだ。しかし外した場合のリスクも念頭に置いたうえで取るべき対策を取って、状況に応じて判断してほしい」

林の感想

コロナ禍で日常になってしまったマスク生活。多くの人がマスクに対する抵抗もなくなったように感じます。ただ熱中症のリスクなどを考えると、外せるときは積極的に外したいなと取材を通じて思いました。ことしNHKに入局したばかりの私にとって、マスクを外した顔を知らない職場の先輩もまだ多くいます。早くコロナ禍が収束し、マスクを外した状態で交流できる日が来ることを楽しみにしています。

この記事を書いた人

林 航生

林 航生

2022年入局。趣味はサウナと海外旅行。
高校時代ガーナとアルゼンチンに留学していました。