2022年5月2日

ジオパークの魅力 実はすごい西予の地質

ジオパークという言葉、聞いたことがあるけど実は何のことかよくわかっていませんでした。
愛媛県西予市にミュージアムが完成したことをきっかけに調べてみました。

(NHK松山放送局 八幡浜支局 勅使河原 佳野)

ジオパークとは

阿蘇山

まずはその言葉の由来を調べました。

「ジオ」は地球・大地を意味し、「パーク」は公園。ジオパークは「大地の公園」という意味になります。
そもそもは、地質や地形などを保護しながら観光などで活用していこうと、世界の地質学者などが2004年に立ち上げた「世界ジオパーク」が始まりで、現在はユネスコの事業となっています。
日本でも日本ジオパーク委員会が設立され、国内のジオパークを認定しています。
現在は伊豆半島や熊本の阿蘇など、全国で46か所が認定されているということです。

実はすごい西予市

愛媛県では西予市全域が「四国西予ジオパーク」として認定されています。
ではなぜ西予市がジオパークに認定されているのでしょうか?

榊󠄀山匠さん

疑問に答えてくれたのは、四国西予ジオミュージアム学芸員の榊󠄀山匠さんです。

まず知ってほしいというのが西予市の地形です。
2004年に5つの町が合併してできた西予市は、面積は514平方キロメートルと、県内では2番目に面積の大きい自治体です。(1位は久万高原町)

市の全域は東西50キロ、海から高原まで標高差は1400メートルという多様な地形を持つようになりました。
それを売りにしようと、当時市が目につけたのが「ジオパーク」の認定だったといいます。

なぜジオパークに

なぜ「ジオ」に目をつけたのか。
その理由がわかる場所があると、榊山さんが連れて行ってくれたのが、ミュージアムから車で10分ほど離れた「三滝渓谷」です。

この場所で、1950年代におよそ4億年前のものとみられる地層が発見されました。
それまでは1億から2億年前の地層しか見つかっていなかったため、大変貴重な発見だとして研究が始まりました。
そして、地層の名前は、当時の地名「黒瀬川村」から取って「黒瀬川構造帯」と名付けられたのです。

この「黒瀬川構造帯」は中に入り込んだ化石などから、赤道より南の大陸から移動してきたと考えられています。
どうして日本列島でこの地層が見られるようになったのか。
この壮大な動き方は、日本列島の成り立ちを探る上で重要な手がかりになるとも言われています。

榊󠄀山さん

「黒瀬川構造帯の名は、学術的に世界でも使われているので、地域の名を残したということではすごく貴重だと思います」

こんなところもジオパーク

西予市の観光地としてお馴染みの場所も「ジオパーク」のひとつです。

江戸時代中期から昭和初期にかけての伝統的な建物が並ぶ「卯之町の町並み」です。
一見、化石や地層など「ジオ」っぽいものは見当たりません。
しかし、この町並みができた土地そのものに、ポイントがあるというのです。

卯之町の町並みは、北に向かう道がすべてゆるやかな上り坂になっています。
この地区は過去に繰り返し山から土砂が流れ込み、土石流によってできた小規模な扇状地の上にあります。 
坂によって大雨が降っても水はけがよいため建物が多く建てられるようになり、今の町並みができたのではないかと言われています。
一方で、現代も大雨が降った後などは土石流が起きる可能性があるとして注意が必要だとされています。

ミュージアムでジオを楽しむ

この4月、西予市のジオパークの魅力を伝えるミュージアムが完成しました。

中には、市内に残る珍しい地層や地形などが写真やパネルで紹介されています。
化石や岩石などの標本およそ150点の展示もあります。

その中には西予市内で発掘されたおよそ2億5000万年前のアンモナイトの化石があります。
それよりも昔、3億年ほど前にさんご礁の海だった海底が隆起して台地となった、四国カルストの石灰岩もあります。

ミュージアムは、広大な西予市のジオパークの魅力を凝縮し、地域の貴重な地形や地質を知ってもらいながら、より観光や教育に活用することを目指しています。

榊󠄀山さん

「なぜその場所がそのような景色になったのか、皆さんはあまり意識しないと思いますが、意識して『あ、こうなんだ』とわかった瞬間に景色が変わって見えると思うのです。ジオパークを通じてそうした体験をできるだけ多くの人にしてもらいたいです」

勅使河原佳野の感想

今回、西予市のジオパークに登録されている場所を実際に案内してもらったことで、近くにこんな貴重な地質が隠されていることを初めて知りました。
卯之町の町並みは私も何度か訪れたことがありましたが、坂があることは気になっていたものの、「なぜ坂が多いのか」までは考えたことがありませんでした。
ジオパークを訪れると、見慣れた身近な景観や自然の中に、地球の成り立ちや、歴史がかいま見えたような気がします。
みなさんも巡ってみてはいかがでしょうか。

※榊󠄀山さんの「榊」は木に神の字です

この記事を書いた人

勅使河原 佳野

勅使河原 佳野 (てしがわら よしの)

2019年入局の記者。2021年5月から八幡浜支局で、南予地域の取材を担当。好きなものはコーヒーと温泉、エスニックなもの。