2021年7月1日

西日本豪雨3年 被災した方々へのアンケート

西日本豪雨から3年に合わせて、NHKは当時被災した方々を対象に毎年アンケート調査を行っています。災害から3年。人々の今の思いや、新型コロナウイルスの影響についても聞きました。

調査の概要

NHKは豪雨災害から3年になるのに合わせて、今年5月から6月に特に被害が大きかった西予市と大洲市で、被災した住民など合わせて364人を対象に郵送でアンケート調査を行い、50.8%にあたる185人から回答を得ました。
(回答は小数点以下切り捨て)

心配なことは?

Q:「まもなく豪雨から3年になりますが、最も心配なことは何ですか」

「再び豪雨災害にあう危険を感じる」・・・・・・40%
「地域の復興進まない」・・・・・・18%
「地域との交流」・・・・・・7%
「心身の不調」・・・・・・5%
「生活費や住宅ローンなどの工面」・・・・・・2%

復興は進んでいる?

Q:「地域の復興状況をどう感じますか」

「順調に進んでいる」・・・・・・6%
「徐々に進んでいる」・・・・・・54%
「思ったよりも遅れている」・・・・・・31%
「まったく進んでいない」・・・・・・4%

6割程度が「進んでいる」と答えた一方で「進んでいない」という回答も多く、復興に関する受け止めは大きく分かれていることがうかがえます。

心身への影響は今もある?

Q:「西日本豪雨による心身への影響が今もあると感じますか」

「ある」・・・・・・25%
「どちらかといえばある」・・・・・・22%
「あまりない」・・・・・・37%
「ない」・・・・・・11%

半数近くが今も心や体への影響があると感じていることが分かりました。NHKは去年もアンケートで同じ質問を行っていますが、この時も「ある」と「どちらかといえばある」を合わせた答えが46%で改善していない傾向がうかがえます。

Q:「(「ある」または「どちらかといえばある」と答えた方に)どのような影響がありましたか」(複数回答)

「よく眠れない」・・・・・・13%
「薬が必要になった」・・・・・・7%
「体重が5キロ以上増減した」・・・・・・7%
「介護が必要になった・重度化した」・・・・・・5%
「その他」・・・・・・49%

防災意識の変化は?

Q:「あなたの防災意識は豪雨の発生直後(おおむね1年後まで)と比べて変わりましたか」

「高くなった」・・・・・・65%
「変わらない」・・・・・・28%
「低くなった」・・・・・・2%

「(「高くなった」と答えた人に)どのような行動の変化がありましたか」(複数回答)

「災害に備え防災用品を用意した」・・・・・・25%
「防災メールやアプリなどで災害情報を取得する」・・・・・・24%
「地域の防災訓練に参加するようになった」・・・・・・・19%
「避難先や避難ルートを確保した」・・・・・・18%
「行政の指示に従って避難した」・・・・・・9%

ダムの放流への関心は?

Q:「西日本豪雨の際、愛媛県ではダムの放流が課題となりました。
あなたは西日本豪雨のあと『ダムの放流に関する情報』への関心は高まりましたか」

「非常に高くなった」・・・・・・45%
「高くなった」・・・・・・49%
「変わらない」・・・・・・3%
「低くなった」・・・・・・0%

Q:「ダムに関する情報をどのように入手していますか」(複数回答)

「防災行政無線」・・・・・・85%
「テレビ」・・・・・・70%
「ケーブルテレビ」・・・・・・37%
「県や市・町のホームページ」・・・・・・17%
「ラジオ」・・・・・・17%

コロナの影響は?

Q:「新型コロナウイルスの感染防止はあなたの災害時の避難に影響すると思いますか」

「大いに影響する」・・・・・・41%
「多少影響する」・・・・・・34%
「あまり影響しない」・・・・・・18%
「まったく影響しない」・・・・・・0%

Q:「(「大いに影響する」または「多少影響する」と答えた方に)どのような影響が出ると思いますか」(複数回答)

「感染対策をして自治体指定の避難所に避難する」・・・・・・29%
「リスクがあっても自宅にとどまる」・・・・・・24%
「車での車中泊をする」・・・・・・15%、
「自治体が指定する避難所に行かない」・・・・・・14%

国や自治体に求めたいことは?

Q:「豪雨から3年がたち、国や自治体に最も求めたいことは何ですか」

「砂防ダムや堤防など計画中の防災施設の完成」・・・・・・36%
「防災情報の発信強化」・・・・・・34%
「災害公営住宅やみなし仮設住宅などの家賃の手当てや軽減」・・・・・・5%
「見守り活動の継続」・・・・・・5%

Q:「新型コロナウイルスの感染防止の観点で避難所について、自治体にどのような対策を求めたいですか」(複数回答)

「マスクや消毒液など消耗品の確保」・・・・・・26%
「清潔なトイレなど衛生面の確保」・・・・・・25%
「避難所の数を増やして密集を減らす」・・・・・24%
「簡易テントや間仕切りなどの確保」・・・・・・21%

専門家はどう見る?

愛媛大学防災情報研究センター 二神 透 副センター長

愛媛大学防災情報研究センター 二神 透 副センター長

アンケートの結果のうち復興に関する受け止めについて、地域防災が専門で愛媛大学防災情報研究センターの二神 透 副センター長は、

「住宅を再建した人、あるいは公営住宅に入った人もいて、住むことに関しては落ち着いてきたようだが、3割ぐらいの方はまだ進んでいないと感じているのではないか。本当の復興は自立するということで、災害前と同じ生活を送っていると感じるようになることが本当の復興になることだと思う」

と話しています。
また、「情報」については

「ダム管理者や行政からの避難情報などいろんな情報が出るが、逃げるための情報を住民自身があらかじめ決めて早めの避難行動につなげることが大事だ。ダム管理者や行政も出す情報を住民に広く周知していくことが求められる」

と話しています。