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中澤輝アナウンサー

話し手

中澤輝

NHK松山放送局 アナウンサー
(2021年1月現在)

地震・津波 風水害

2021/1/4放送ラジオ第1

テーマ災害から命を守ることばを探す

災害から命を守る「地域版呼びかけ」とは?

まず「呼びかけ」に関しては、ことし発生から10年を迎える東日本大震災をきっかけに作られるようになりました。
多くの命を奪ったあの災害で、私たちNHKのアナウンサーは「放送は、そしてことばは無力なのか・・・」と正直打ちのめされました。ただ、同時に、伝え方と意識の大きな変化が必要だとも分かりました。
東日本大震災より前は、気象庁の発表や被害の状況を伝えることに大きな時間を割いていました。それを、放送を通じて出来る限り多くの命を守り、被害を極力減らす「減災報道」に今まで以上に力を入れるようにしました。
その時、欠かせないのが「呼びかけ」。皆さんに命を守る行動を促すことばです。
『命を守るため一刻も早く逃げてください』
『東日本大震災を思い出してください』
このようなことばを放送で耳にしたことがあると思います。
全国共通の呼びかけですが、このような呼びかけが、地域ごとにあれば、より多くの皆さんの命が救えると考えて作り始めました。

呼びかけはどのように作られるのか?

過去に起きた、その土地土地の災害事例を洗い出しました。そして、国土交通省や気象台などの国の機関の方、大学教授などの専門家などにもお会いして「聞く取材」。
その後、実際に災害を経験した住民の皆さんを交えて被災地の視察を行う「見る取材」。
「聞く取材」と「見る取材」で学んだことの中から、命を守る要素をことばにする、いよいよ「呼びかけ」のコメント作りです。
意識したのは、その「呼びかけ」がテレビやラジオから聞こえてきたら、みなさんが命を守ろう、避難しようと思えることばにすることでした。

作る際の注意点、難しさ、苦労とは?

高知局では地震と大雨について、徳島局では津波、高松局では高潮をテーマにして呼びかけを作っています。
各局の総意として、皆さんの避難に結びつくことばを探すというのが、本当に難しかったです。
「土砂災害」と「河川氾濫」の2つの呼びかけを作った松山局を例に伝えます。
3年前に経験した「西日本豪雨」。
このことばを使えば、被害に被害に遭った方、被災した皆さんには響くはず。しかし、被災していない皆さんには、もしかすると響かない可能性もあります。
ただ、災害はいつも同じ場所で起きるとは限りません。皆さんが自分に関係がある、“我が事”として伝わることばを懸命に探しました。

たどり着いたのが、次のような愛媛県版の呼びかけ。
『8人もの大切な命が奪われ、私たちの暮らす愛媛県に大きな被害を出した西日本豪雨のような災害が再び起きる危険性が迫っています』。
もう1つは、
『西日本豪雨で被災した人は「危ないと感じてから水が襲ってくるまであっという間だった」と証言しています。時間の猶予はありません。すぐに命を守る行動を取りましょう』。
この呼びかけのコメントを作る時に、私は文章の終わりのことばもかなり意識しました。これまでの呼びかけは「避難して下さい」など“お願いする”言い方が中心でした。
私は、少しこの伝え方に違和感を持っていました。お願いするよりも誘(いざな)った方が皆さんの心を動かすと思っていたからです。
同じ愛媛県民の私は行動します。だから、皆さんも同じように行動して欲しい、その気持ちを込めて「~しましょう」ということばで終わるようにしました。
「避難を始めましょう」や「今すぐ命を守る行動を取りましょう」などです。
「避難して下さい」と「避難を始めましょう」。
このニュアンスの違い、皆さんにはどのように聞こえますか?

NHKでは、この「呼びかけ」を使った訓練を実施して、放送でも使い始めています。
ただ、この「呼びかけ」は、これで完成したとは思っていません。より良い呼びかけのことばがあると思って、これからも探し続けます。
ぜひ、ラジオをお聴きの皆さんの意見を聞かせて下さい。

防災に関わる人たちの活用法と今後にむけて

紹介したい興味深いデータがあります。おととし(2019年)秋、NHK放送文化研究所が全国の3600人の視聴者の皆さんにアンケートしました。
「どういう状況の時に避難しますか?」と複数回答で尋ねたところ、「テレビやラジオで避難を呼びかけられたから」と答えた方は33%で7位でした。
1位は「周囲の状況から危険を感じたから」という“自らの判断”でした。
そして、2位が「消防団から促された」。
3位は「家族や知人に避難を進められたから」と続きます。
それぞれ、およそ60%の割合です。

このように、私たちアナウンサーの呼びかけよりも、ふだんからよく顔を合わせる身近な方から直接ことばを掛けられた方が、行動に結びついています。命を守ることにつながるのです。
みなさんの呼びかけが、大切な人の命を守るということを覚えていてください。一方で、私たちNHKアナウンサーは、災害が起きても誰も命を落とさない=“死者なし”となることを願って「呼びかけ」ていきます。
ラジオをお聴きの皆さんは災害が発生したら、まずは自分自身の命を守る行動をとって下さい。その後に、ぜひ周りの皆さんの命を守る「呼びかけ」をお願いします。
残念ながら、災害はこの先の未来でも必ず起きます。しかし、適切な「呼びかけ」があれば、多くの人の命を救えます。そんな最高の「呼びかけ」を探していきましょう。

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