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岩原廣彦さん

話し手

岩原廣彦さん

香川大学 客員教授
(2020年7月現在)

危機管理

2020/7/13放送ラジオ第1

テーマ“日常的な地域との結びつき”を防災に生かす

共助は特別なものではない

“防災の備え”と、特別なものとして考えるのではなく、日常生活の延長上で考える必要がある。厳密に災害時の役割と決めると、荷が重く感じてしまう人もいる。過去の災害の中で、日常から共助の重要性を学んだ。阪神淡路大震災では、倒壊した住宅の中から高齢者の女性を救い出す時に、近所の人が「おばあちゃんはあの部屋で寝ているから」と、その部屋の近くのがれきから助け出した。これは普段からの近所づきあいの中で情報を知っていたからできた救助。このような、近所同士の日頃からのつながりが、もしもの時に相談し助け合える間柄になる。つまり、日常から地域と繋がっていることが災害時に生きる。

ともだちネットワーク

個人情報保護法があるため、災害時に手助けが必要な「災害時要援護者」を支援したいのに、支援する側は簡単に情報が入手できないという壁もある。そこで、今私が進めているのは、災害時要援護者の視点から支援の輪を広げる「ともだちネットワーク」という取り組み。災害時要援護者の近くにいる人がその人の要望を聞いていざという時に応えたり、応えられる人に情報を繋げたりするもの。自分の友人や信頼している人を通じて支援の輪が広がっていく。四国でも、高齢化が進む瀬戸内海の島嶼部集落で、一人暮らしの高齢者同士の平時の支え合いづくりが行われている。これは災害時要援護者同士の繋がりでネットワークが広がっている事例。

ともだちネットワークづくりとその活用

私たちが大切にするポイントは、これまでの支援する側からのネットワークを作るのではなく、手助けが必要な災害時要援護者から、「この人は友達、この人は信頼できる、この人に助けてもらいたい、この人は家に入ってもよい」など、災害時に手助けが必要な人の“ともだちネッワーク”を活用しようとするもの。行政でも一人暮らしお年寄りに軽度生活援助などを行うサービスがあったり、「避難行動支援者名簿」の作成が市町村に義務付けられたりしているが、軽度生活援助サービス等は、言わば他人が自分の家に入ることもある。そのことに抵抗を持つ人もいる。普段からのなじみのない人に、災害時に助けてもらう行動はなかなかとりにくいと思う。また、新型コロナウイルスの感染防止のため、分散避難が言われるようになったが、この「ともだちネットワーク」では行政の避難所ではなく、比較的移動距離の短い自治会内の近所に避難する計画も立てられている。災害時要援護者の友達の間で、メンバーの同意を得て、氏名・連絡先などの繋がり情報を共有する。そういうグループが自治会の中でもいくつかできると思う。それを自治会長や自主防災組織の会長、民生委員等地域で支援する方で共有し、地域で支え合うネットワークをつくり、さらには行政機関への支援要請に活用しようとするもの。この「ともだちネットワーク」を行う上でもうひとつ大切なポイントは、情報は限られたメンバーではあるが、共有することに関して十分な合意形成を図っていくこと。情報の共有がどこまで許されるかは、それぞれに考えがあるので無理強いしないようにする。お互いの信頼関係が基本になるので、常日頃からお互いが適度なほどよい距離を保ちながらの付き合いを通じて、お互い様の関係を構築することが大切。

自助意識の啓発

近年、高齢者の単身世帯数が増加。これらの方々は社会から孤立化しやすいという研究もある。「ともだちネットワーク」は、高齢者の孤立化を防ぐとともに平常時の見守りにも役立つものだと思う。また、このネットワークづくりは災害時の自助意識を持っていただくきっかけにもなるのではないかと考える。

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