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話し手

羽鳥剛史さん

愛媛大学 社会共創学部 准教授
(2017年5月現在)

2017/5/29放送ラジオ第1

テーマ 自然災害の想定外にいかに対処するか?
~人間は無知の無知を克服できるか?~【2】

音声の公開は終了しました音声の公開は終了しました  

リスクコミュニケーションの課題

現在、政府や自治体を中心に、南海トラフ巨大地震に備えて、地震の規模や被害想定の見直しが進められています。それに伴って、地震発生時の災害状況を再現するシミュレーションやハザードマップも作成・改定され、その結果が広く市民に公表されています。ただし、どのようなシミュレーションであっても、自然条件や社会状況に関して一定の想定を置かざるを得ません。そのため、「想定外」の事態を完全に抑止することは原理的に不可能です。

しかし、一般の市民にとっては、災害シミュレーションやハザードマップが抱える「想定の限界」が適切に理解されるとは限りません。 その結果、シミュレーションやハザードマップの推定結果だけが世の中に流布し、その想定を超える災害が起こり得ることが忘れられてしまう可能性があります。 このことは、まさに前回お話しした「メタ無知」に陥ってしまうことを意味しています。

想定外を理解する

自然災害に関わるメタ無知を緩和し、想定外の事態に適切に対処するためには、自分達や社会が抱く想定の限界を見定めた上で、想定を超える事態に備えた仕組みや体制を整えておく必要があります。そのためには、地域社会における当事者一人ひとりが「想定を超える事態が常に起こり得ること」を適切に理解することが求められます。

愛媛県肱川流域において、洪水ハザードマップの提示に加えて、その想定条件や想定を超える事態について想像することを併せて要請した社会実験を実施したことがあります。具体的には、ハザードマップの配布と併せて、アンケート用紙を添付し、ハザードマップで想定されている降雨量を超える大雨が降った場合、どのような被害が起こり得るか等について、自由に記述して頂きました。その結果、「土砂崩れにより集落が孤立する」「農機具の流出や流木等によって家屋が倒壊する」等、様々な「想定外」の事態に関わる意見を収集することが出来ました。併せて、ハザードマップ上で浸水が予想されていない地区の住民からも、洪水災害によって自宅が浸水する可能性があるとの意見も寄せられました。

この様に、自然災害によって自分達の想定を超える事態が発生する可能性について自分自身で「考える」「想像する」ことが、自分達の想定の限界を認識し、引いてはメタ無知を緩和する上で重要になります。今回の社会実験の様に、日頃から地域の中で「想定外」について考える機会を設けることにより、想定外の事態に対処できる強靭な地域社会の形成につながるものと期待されます。

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