難病の娘の日常を伝えるユーチューバーに聞く 他人の言葉に傷ついた時には?


tomolabo-221122-1.jpg

「自分の意見を周りに言いたいのに自分の中でのみこんでしまって言えない」

 愛媛をもっとよくしたいと考える人たちとつながり、身近な困りごとや悩みについて一緒に考え発信するNHKのプロジェクト「ともだちラボ」にこんな投稿が寄せられました。

 

他人の言葉に傷ついた過去の経験から、言いたいことを言えなくなってしまった女性。

解決のアドバイスをくれたのは、否定的なコメントを受け取ることがあるというユーチューバーでした。

 

意見を言うのが怖い 自分を変えたい

悩みを寄せてくれたのは大学生の坂本梨帆さんです。自分の意見を言うことが怖くなったのは、中学生のとき、教師から言われた言葉がきっかけでした。

「前置きが長い」

「何を言いたいかさっぱりわからん」

その後も度重なる「言葉の暴力」を受け、思うように話せなくなったといいます。

 

否定的な意見を受け止めるポイント

このお悩みにアイデアをくれたのが、看護師兼ユーチューバーのみーのすけさんとこきをさん夫婦です。

tomolabo-221122-3.jpg

このご夫婦が配信する動画は、難病の娘の処置の様子や成長を伝えるというもの。

実は、娘のなのちゃんは、「総排泄腔遺残」という、5万人に1人の難病を患っています。

看護師の資格を持った夫婦が正確な処置の情報をわかりやすく配信し続け、難病の子供をもつ親や、適切な処置を学びたい人など1万7000人が登録しているといいます。

そんなご夫婦に、坂本さんは
「相手の反応が怖くて、なかなか意見を言えない」悩みを話しました。

 

坂本さん
「私も今、自分でSNSやってるんですけど、「いいね」おすだけで勇気がいるタイプで」

 
みーのすけさん
「うんうん、わかる。私もSNSでコメントとか結構しないタイプで。配信する最初はすごく私は嫌だった」

 

意外にも、始めたころは坂本さんと同じ考えだったみーのすけさん。
実際に動画を配信すると、心配していたことが起こってしまいました。 

「娘さんのプライバシーを考えていないの?」
「親のエゴなんじゃない?」

発信するからにはある程度の否定的なコメントは覚悟していたというみーのすけさんですが、思っていた以上の言葉がきたことでとても落ち込みました。

そんな時に、夫のこきをさんがこんな一言を伝えてくれたといいます。

こきをさん
「2割くらいの人は、否定的な人がいるだろうなという心持ちでやってみたら?1件2件の誹謗中傷があっても、あー誹謗中傷のコメントがきたきた、みたいな気持ちでいられると思うよ」 

そしてみーのすけさんは、思い直すことができました。

みーのすけさん
「絶対いろんな角度からの意見があるという考えをまずベースにおきました。今は、誹謗中傷があっても、なんか言ってるくらいに思えるように心の強さを鍛え中です」

まずは始めの一歩から

最後に、みーのすけさん&こきをさんが坂本さんに、自分の言葉を言ってみるきっかけになれば、とアドバイスをくれました。

tomolabo-221122-4.jpg

みーのすけさん&こきをさん
「声を発する勇気がいると思うんですけど、何回か経験すれば強くなってくるので、例えば私たちとか、知っている人の投稿にコメントしてみる、とか。やりやすいところからやって見ると、だんだんと言えるようになってくるのかなと思います」

お2人の言葉を聞き、坂本さんは
tomolabo-221122.jpg
「声を出すその時に、ちょっと自分自身も勇気をもっていってみる、伝えてみるっていうその一歩がすごく大切なんだなって勉強になりました。身に着けるまでちょっと時間がかかるかもしれないんですけど、今日から実践していきたいです」
と話してくれました。

 取材を終えて(河村ディレクター)

「自分が作った番組を見て、否定されることはないだろうか」
「多くの視聴者が言葉を受け取ったとき傷つく人はいないだろうか」

この仕事をするうえで、いつも“言葉の発し方・受け取り方”にぶつかる私にとって坂本さんのお悩みは非常に共感できるものでした。そして、そんな苦しさを思い出しながら、坂本さんやみーのすけさん、こきをさんと一緒に“言葉”について考えていきました。

「いろんな角度から、いろんな意見があるのが当たり前。2割くらいの人は否定的な人がいるという心持でやる」

 多くに発信を続ける2人に伺ったアイデアは、SNSで多くの“言葉”を目にするみなさんにも届いたのではないかと思います。

傷ついた経験はありますか?という質問に街の人からは
「効率悪いとか使えんみたいに言われると、こっちはこっちでやってるのにな…みたいになります」
「第一印象でチャラいとか、見た目で言われる。たぶん普通に言っただけやけど、こっちからしたらだいぶ傷ついたってことなので」

同じように傷ついた経験はありますか?そんな経験や、その時どう対応したのか、もしよければ、「ともだち」のように教えてください。
https://post.nhk.or.jp/px2pd8f5ex/tomodachi-doga/image/registrations/input

 

「ともだちラボ」では、今後も愛媛の方たちからのお悩みや、調べて欲しいことを募集します。
また、一緒に考えてくださる「ともだち」も募集中です。
https://post.nhk.or.jp/px2pd8f5ex/tomodachi/image/registrations/input

 

 河村柚花(松山局) 石丸響子(デジタルセンター)

投稿時間:2022年11月25日 (金) 17時00分


ページの一番上へ▲