兼題:渦潮 「夏井いつきのアドバイス」


◆正しい表記とは?
船縁を  握り魅入る  湧渦潮       五十展伝

コロナ禍で 今年も行けぬ 鳴門うず  山野道

ぶつかれど  語り寄り添う  潮の渦  桃猫

神の矛  垂らした先の  うずしおや    鈍亀

[解説]
五七五の間を空けないのが、俳句の基本的な表記です。まずはここから覚えましょう。

 

◆季重なり
ぐるりぐるり渦潮の白春深し     どーりー3

渦潮は蝸牛の背にあり小銀河     さぬきの風

手には汗小舟に迫る渦潮や       バトラーM

春うらら友と渦潮うずのなか     ひまわり

渦潮やひかり輝く春の海        勇

大潮や渦潮踊る五月晴れ        森の翁

渦潮に失恋放る春の空          津国智之

[解説]
一句に複数の季語が入っているのが「季重なり」です。ただ、絶対にダメというわけではなく「高度なテクニックとしての季重なり」もあります。今回の秀作の中には、そのような作品もありますので参考にして下さい。

 

◆季語を比喩

孫とベイ渦潮はじきババの勝ち   律

[解説]
「ベイブレード真剣勝負!今風のベイゴマで孫と遊んでいて本気になる婆さんです。」とのコメント。うーむ、これは「渦潮」が比喩になっているのでしょうね。比喩になると季語の力は弱まります。兼題「渦潮」ですから、やはり渦潮の現場を詠んでもらいたいものです。

まずは季語「渦潮」について調べるところから、句作はスタートします。ニューヨークの井納蒼求さんから「渦潮」についてこんな情報も届いています。参考にして下さい。

●「渦潮」は巻く潮がまるで盛り上がり絡む筋肉のようです。瀬戸では潮汐の干満の影響で潮流が速まります。鳴門海峡は満潮と干潮が共存するため落差が1.5mにもなり日本一速い潮流を生みます。中央部の速い流れと陸地側の遅い流れの速度差で回転力が生じ渦潮が生まれます。(井納蒼求 ニューヨーク州)

 

◆添削

渦潮をお国訛(なま)りで感歎(かんたん)し       あぽろ

[解説]
下五が不要。「渦潮」という季語にはそれを見た人の歓声まで含まれていると考えてよいでしょう。「感歎し」と説明するのではなく下五で描写しましょう。

【添削例】 渦潮やお国訛りの○○○○○

「それぞれに」、「かしましく」、「口々に」など、考えてみましょう。

 

孫会いに眼下で傾く観潮船          松山のオジサン

[解説]
「神戸に住む孫に会いに松山から車で鳴門大橋を通過する時に、遠くの観潮船が見えたところです。」とのコメント。俳句は短いので、「孫(に)会いに」というところから書いていたら音数がすぐに尽きます。中七下五「眼下」で傾いている「観潮船」という眼前の光景を描写すればよいのです。作者のコメントにある「大橋」という言葉を借りてきます。

【添削例】大橋の眼下傾く観潮船

「大橋の眼下/傾く観潮船」 斜め線のところに意味の切れ目があります。こうなると一気に秀作となります。

 

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投稿時間:2021年05月15日 (土) 07時30分


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