兼題:白子干(しらすぼし)添削「はじめの一歩!」


◆「兼題」とは?

にわか雪家族暖欒枯れ紅葉   京三昧

[解説]
「兼題」とは、あらかじめ出題するお題のことです。本番組では、毎回兼題を出題しています。今回の兼題は「白子干(しらすぼし)」。次回は兼題を確認の上、再度挑戦して下さい。

 

 

◆正しい表記とは?

・しらすぼし 瀬戸の足跡  砂肝だ ターくん

・白子干し  ジッと狙う  猫の顔    猫雪

瀬戸の陽や、口一杯に、しらす干し 佳匠

白子干、潮風香る、春だより。    ツークン☆

[解説]
五七五の間を空けないのが 俳句の基本的な表記。テレビの俳句番組で三行書き(あるいは二行書き)にしているのは、テレビの画面が四角という事情からです。
正しい表記を覚えましょう。

 

 

◆推敲(すいこう)のポイント

・量り終へ少しおまけと白子(しらす)干し 蒼奏

・量り針止まり「おまけ」と白子干(しらすぼし)  棗椰子

[解説]
俳句はたった17音しかないので「類想類句=似たような発想、似たような句」ができるのは宿命、とはいえ、ほんの小さな配慮が評価の分かれ目となることもあります。「量り」「おまけ」「白子干(しらすぼし)」同じ言葉をこれだけ使って、ほぼ同じ場面を描いている二句ですが、「秀作」に入るか入らないかの線引きがどこにあるのか解説します。
蒼奏さんの句は、何かを「量り」終えてほんの「少しおまけ」と言いつつ「白子干(しらすぼし)」を足してくれたという動作が無理なく描けています。それに対して棗椰子さんの句は、揺れていた「量り針」が「止まり」と具体的なクローズアップの映像を描いたのは悪くないのですが、そこからいきなり「おまけ」とカギかっこ付きの台詞らしきものがでてくるという展開が少し強引なのです。クローズアップの映像という工夫が、この句の内容にはあまり効果がなかったということになります。

 

 

◆ちょっと添削

・白子干(しらすぼし)量りてこぼる朝の市 新濃

[解説]
中七「て」が惜しい一句。ここで一拍空いてしまうと、量っていたものがこぼれているという説明になります。「て」を外してみます。
【添削例】白子干量りこぼせる朝の市

「量りこぼせる」は、量りつつこぼしているというニュアンス。「朝の市」の賑わいや

「白子干(しらすぼし)」を売る人の勢いのようなものが微量加わります

 

・ひとつまみの白子干(しらすぼし)かほりけり   まるかじり

[解説]
655のリズムが損です。ちょっと言葉を足して、音数を整えてみます。

【添削例】ひとつまみなる白子干かをりけり

下五「かほり」の歴史的仮名遣いは「かをり」が正しいですね。

 

 

袋網大きく膨れ白子干(しらすぼし)  かざみどり

[解説]
上五中七に対して、下五「白子干(しらすぼし)」が食い違っているのが、この句の問題点。漁をしているのなら、まだ干してないですものね。

【添削例】袋網大きく膨れ白子(しらす)漁

作者のコメントでは「漁船が大漁のしらすを水揚げして、袋網を開ける様子を詠んだ俳句」となっていました。となれば、水揚げの場面だと分かるように書く必要がでてきます。
【添削例】水揚げのしらす溢るる袋網

 

・白子(しらす)干し夜勤終ゆ子の朝食に   じゅん

[解説]
「終ゆ」は、正しくは「終ふ」です。「終ふ」はハ行下二段活用の終止形なので、ここに意味の切れ目が生じます。夜勤を終えた子の朝食に白子干しをという意味を伝えたいのだと思われますが、「終ふ」で意味が切れてしまっては困ります。連体形にすればよいのですが「終ふる」となるので、中七が八音になってしまう。ここが推敲(すいこう)のしどころです。「終ふ」という動詞を使わないで、この意味を伝える工夫をしてみましょう。まずは「白子(しらす)」のアップから始めましょう。
【添削例】 白子干たっぷり夜勤明けの子へ

「夜勤明け」という言い方で夜勤が終わったという意味は伝わります。推敲(すいこう)とは問題点を探し出し、その解決方法を見つける過程です。自句を冷静に分析するところから出発します。

 

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投稿時間:2021年02月13日 (土) 07時55分


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