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群馬を漫画・アニメの聖地へ “未来のあだち充”を生み出せ!

  • 2023年02月24日

人気野球漫画「タッチ」の作者、あだち充さんは伊勢崎市出身。

人気漫画「お前はまだグンマを知らない」は、作者の井田ヒロトさんが、高崎市に引っ越してきた体験をもとに描かれています。

このように、漫画やアニメと深い縁がある群馬県。漫画やアニメで地域活性化を図り群馬を「聖地」にしようという取り組みが広がりを見せています。

(前橋放送局 記者 阿部未和/2023年2月取材)

県主催のイベント “ぐんあに”

前橋市で開かれたイベント。

その名もずばり「GUNMAマンガ・アニメフェスタ」、通称”ぐんあに”です。

2月中旬の週末の2日間、県内外のファン、8000人あまりが群馬に一同集結しました。

ファンの人たち
「地元民としては、うれしい気持ちです」

ファンの人
「(イベントを開くことを)めちゃめちゃリスペクトしています」

イベントの主催は群馬県。地道に続け、ことしが10回目の開催です。

館林には127回目の来訪です

このような行政主導の取り組みが今、活発になっています。
その1つが館林市です。

観光施設には地元が舞台のアニメに関連する品々が並び、ここでしか買えない物も。

ファンの間で館林は「聖地巡礼」の場になっているんです。

札幌から館林に来たファン
「(ここに来るのは)127回目になりますね。作品で知るまでは来たことがない街だったんです」

伊香保の“貴重な観光資源”

その動きは関東有数の温泉地、伊香保温泉にも。

美男高校地球防衛部シリーズ ©馬谷くらり/黒玉湯保存会

石段街などの名所を舞台にした漫画やアニメと全面的に“コラボ”してPRを図っています。

伝統ある地域全体を、まさに「アニメ一色」にして特徴を出しています。

渋川市観光課 四十山采花 主事
「地元を題材にしたアニメは、なかなか描いてもらえるものではないと思います。渋川市の貴重な観光資源として、ほかの温泉地との差別化を図るためにも大事にしていきたい」

漫画・アニメ普及 県の狙いは?

地域活性化にとどまらず、ここ群馬を本物の「聖地」にするために。
県は「人材育成」に特に力を入れようと取り組んできました。

それが、全国からの作品の公募。ことしは688の応募がありました。プロの漫画家や編集者による厳しい審査を経て46人が入賞。雑誌に掲載されるチャンスもあります。

イベント自体を「未来のあだち充」を生み出すような「登竜門」にしようというのが狙いです。

ぐんまちゃん 人気声優も後押し

入賞作品には、こんな計らいもあります。
人気声優による漫画の朗読会です。読んでいるのはアニメ「ぐんまちゃん」に出演する2人。

制作者のモチベーションアップとともに、イベントの知名度アップを目指しています。

アニメ界の最前線にいる2人は、この取り組みを、どう評価しているのでしょうか。

(左)高橋花林さん(右)野津山幸宏さん

声優 野津山幸宏さん
「“漫画家になりたかったら群馬に行け”という風になる時代が来るかもしれないですよね」
声優 高橋花林さん
「群馬のどこどこの“ナントカ荘”という所に、漫画家が住んでいたんだぞ、みたいなものですよね」
声優 野津山幸宏さん
「修行の場所みたいに、なるかもしれないですよね」

ライバルとの戦いを制したい

漫画やアニメの「聖地」を目指す地方自治体の動きは今、群馬にとどまらない全国的なトレンドです。

群馬県が、2022年度に投じた関連の予算は前年度の2倍以上の1000万円。投資に見合う効果を生み出すために、ライバルたちとのシビアな戦いが本格化しています。

群馬県文化振興課 滝澤正之係長
「群馬県には“GUNMAアニメ・マンガフェスタ”があるよというところが、全国に認知されていくような、そういった活動を続けていきたい。このイベント自体もまだまだ伸びる、盛り上がる要素がある。登竜門をくぐって、大きく活躍していただける作家さんがたくさん出てくれることを期待しています」

市場規模2兆円超 インバウンドへの期待

アニメーションの制作会社などで作る日本動画協会によりますと、アニメ産業の市場規模はここ数年、2兆円を超え、このうち半分ほどを海外市場が占めているということです。

こうした状況をチャンスと捉え、伊香保温泉では、今はほとんどないインバウンドの増加につなげたいと意気込んでいました。

  • 阿部未和

    前橋放送局記者

    阿部未和

    2020年から沼田支局で北毛地域を中心に取材。群馬県の”魅力”や”今”を発掘します。推し活にも全力投球中!

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