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群馬 コロナで深刻化“高齢者の孤独”を “まご”がサポート!

  • 2023年01月16日

長引くコロナ禍。
1人暮らしの高齢者の中には、感染リスクを避け、自宅に閉じこもりがちになるケースも少なくありません。“高齢者の孤独”を防ぐか。その課題の解決に向けて、“まご”のように寄り添って支援に取り組む前橋市の若者のグループを取材しました。

(前橋放送局記者 田村華子/2022年12月取材)

長引くコロナ禍で“高齢者の孤独”が深刻に

感染すると重症化リスクが高い高齢者は、自宅に引きこもりがちになり、その“孤独”をどう解消するかが課題となっています。

そうした“高齢者の孤独”を防ごうと取り組むNPOが前橋市にあります。メンバーは、介護福祉士や作業療法士などの資格を持つ20代や30代の若者たちです。

NPOメンバー

「近所の方が気軽に声をかけるというのもコロナだからはばかられたり…」

NPOメンバー

「コロナ禍前まではあった地域の活動がなくなってしまったり…」

NPO法人ソンリッサ代表 萩原涼平さん(28)

NPO法人ソンリッサ代表 萩原涼平さん
「一見普通に生活もできて、自分の身の回りのことはできるけれど、1人でずっとごはんを食べていたりとか誰とも1日全く会わずに過ごしていたりとかそういった現状が多い。本当はつながりたいけれどつながれない、そういった方に対して、僕らとしてつながりを作っていく。

“まごマネージャー”として高齢者に寄り添う

NPOのメンバーたちは、高齢の人たちに親しみを持ってもらおうと、自分たちを“まごマネージャー”と名付けました。月5000円あまりの利用料で“まご”のように寄り添って健康管理や困り事の相談などに応じています。

この日はまごマネージャーの1人、介護福祉士の田中宏明さん(33)が、前橋市内に住む80歳の男性の家を訪ねました。田中さんは、ふだんは介護の仕事などをしながら週に2回ほどNPOで活動しています。

男性は、30年前に妻に先立たれて以降、1人暮らしをしています。コロナ禍前までは、趣味でカラオケをするなど周囲の人たちとの交流がありましたが、新型コロナの影響でそれもなくなってしまいました。心配した親族の勧めで、2年前からサービスを利用しています。

田中さん

「心配なことはありますか?」

サービス利用者

「カリウムの数値が異常に高いと言われた。数値が高くなる原因の食品が知りたい」

数値が高い原因を調べたいという男性の要望に応じ、田中さんがスマホでの検索方法を教えます。
健康状態の確認からスマホの使い方まで、田中さんは“まごがおじいちゃんに接するように”会話を重ねていきます。

さらに、寒い冬の運動不足の解消に自宅でも手軽にできるエクササイズを一緒に行いました。
田中さんが男性の自宅に滞在した1時間の間に、男性は何度も笑顔を見せました。

男性
「自分は1人でいるから、教えてもらったり、話し相手になってもらったり。いいじゃないかと思っています。助かっています」
田中さん
「訪問するからには役に立って帰りたいと思っています。現在は、作業療法の学校に通いながらこの活動や介護のアルバイトをしていて、健康や栄養、運動のことなど、学んだことをせっかくだから生かしたいと思っています」

団地入居者も高齢化して孤独に

そして、いま、NPOでは新たな取り組みも始めています。それが団地の“高齢者の孤独”対策です。

50年以上前に各地に建てられた団地。当時、若くして入居した人たちもいまは70代から80代となり、1人暮らしをしているケースも少なくありません。

こうした人たちの身近に寄り添ってサポートをしていくため、半年前に前橋市内にある団地の一角に事務所を移しました。

NPOメンバー

「いつでも来られるような場所にして、近所の人に浸透できるように頑張りたい」

この半年、団地で暮らす人たちから聞き取りを続け、団地内で中心となって交流の場を作る自治会長や民生委員などのなり手不足という課題も見えてきました。

地域に住む人との意見交換会

NPOでは今後、自治会などをサポートしながら、健康講座などのサービスを通じて高齢者同士のつながりを生み出したいと考えています。さらには、いま事務所がある団地でノウハウを積み重ねたあと、ほかの地域の団地などにも活動の場を広げていきたいとしています。

NPO法人ソンリッサ代表 萩原涼平さん(28)

NPO法人ソンリッサ代表 萩原涼平さん
「高齢者に強く関わるというよりは、周りに存在していて、なにかあったときにあの人に話してみようとかあの場所に行ってみようとか自然に思えるような関係性を作っていきたい。“支援する・される”を分けないというのを僕らはすごく大切にしていて、1人でも笑顔になれる高齢者を増やしていきたい」

  • 田村華子

    前橋放送局記者

    田村華子

    2021年入局。県政担当。視聴者に"身近な"話題を"わかりやすく"発信していきます。

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