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群馬クレインサンダーズ 並里成 “ファンタジスタ”息子と共に

  • 2022年11月08日

太田市を本拠地とするバスケットボールの群馬クレインサンダーズは、B1のシーズン2年目の序盤、さい先のよいスタートを切っています。

そのチームの司令塔・ポイントガードが並里成選手です。地元・沖縄のチームから移籍してきた今シーズン、7歳の息子とともに迎えた新天地での再出発です。

(前橋放送局記者 中藤貴常/2022年9・10月取材)

33歳の“ファンタジスタ”

変幻自在のパスを見せたかと思えば…。

抜群のスピードで相手のボールを奪い、ピンチを防ぐディフェンスを見せる。

そのプレースタイルから並里選手は“ファンタジスタ”の愛称で親しまれています。

群馬クレインサンダーズ 並里成 選手
「みんなが期待していて、本当に待ち望んだ僕の出場だったと思うんです。(ファンの皆さんも)僕もここでプレーすることを待ち望んでいると思うので、とりあえず、ほっとしています」

シングルファーザー 息子と2人で

並里選手は、昨シーズン準優勝した地元・沖縄のチームの司令塔でした。そのシーズンオフ、クレインサンダーズから強いオファーを受けて移籍を決断しました。

並里成 選手
「球団の方向性というのがすごく明確で『どうしても必要なんだ』という風に言ってもらえたので、行きたいなと思いました」

画像提供:群馬クレインサンダーズ

しかし、オフシーズンに右足の小指を骨折して開幕に間に合わず、我慢の日々が続いていました。

新天地での苦労はプライベートでもあります。
シングルファーザーとして、7歳の息子・タイラー君と、2人での生活が始まったのです。

並里選手

「どんなお父さん?」

タイラー君

「怒られたら雷落とされるお父さん」

沖縄ではあった家族のサポートがない中、競技と、1人での子育ての両立に取り組んでいます。

「自分が思っていたよりも、いや、思っていた以上に、いろんなことがあるんですけど、何とか乗り越えてできてます」

バスケットに助けられています

その親子をつなぐのは、やはりバスケットボールでした。3歳から始めたタイラー君は、早速、群馬でも教室に入り、そのプレーに並里選手も目を細めています。

バスケットボールは2人の「絆」の象徴なのです。

「ちょっとご飯を落としたら『これでレイアップ(シュートが)1本落ちるよ』とか言っています。(子育てでも)バスケットに例えて話をすると素直に聞く、そういう部分もあるので、すごくバスケットに助けられています。彼に僕のバスケットに対する姿勢だったり、自分のやることに一生懸命やるというところを見て感じ取ってもらったりすればいいと思います」

サンダーズは新たな家族

そんな2人をチームも親身になってサポートしています。学校が休みの日にはタイラー君を練習会場に招き入れ、空き時間は選手が一緒にバスケットをして遊んでいます。

また、並里選手がどうしても送迎にいけない場合は、チームスタッフが代わりに迎えに行きます。練習会場や試合会場にタイラー君が行くと、すれ違う選手やスタッフから「タイラー!」と声をかけられていて、チーム全体から愛されているのが伝わってきます。

「これまではチームはチーム、プライベートはプライベートと分けていたんですが、クレインサンダーズは『どんどん頼ってください』と家族のように接してくれて、本当に助けられている。そんなサポートに、なんとしてもプレーで応えていきたい」

群馬クレインサンダーズの並里成として

ようやく迎えたホーム初出場の日です。

背番号「16」はタイラー君の誕生日。

その背中を、タイラー君も見守っていました。

第1クオーター途中、並里選手が登場すると試合の流れは一気にクレインサンダーズへ傾きました。「縦横無尽」に駆け回り、予測不能なパスでチームを引っ張っていました。

12得点7アシストと活躍し勝利に貢献。

ファンに、そして、息子に。

「群馬クレインサンダーズの並里成」という存在を強烈にアピールしました。

並里成 選手
「僕の力以上のものというか、彼にいいところを見せたいというところが、今の自分のモチベーションになっています。周りから『いや、優勝はないだろう』と思っている人も多いと思うんですけど、それを覆すものを群馬クレインサンダーズは持っていると思うので、そこを(自分が)引き出してあげたい、(仲間と共に)一緒に戦っていきたいと思っています」

チャンピオンシップ、そして、優勝へ

並里選手が加入したチームはこの原稿を書いている11月上旬の時点で6勝3敗で東地区3位(昨シーズンの最終成績は7位)と好調です。

並里選手自身、特長でもある味方を生かすパスや高い得点力を遺憾なく発揮していて、今後さらにチームに適応していけば、チーム初のチャンピオンシップ出場、そして、優勝も射程圏内になると担当記者としても期待しています。

  • 中藤貴常

    前橋放送局 記者

    中藤貴常

    警察・司法を担当後、現在は両毛広域支局で行政・スポーツなどを幅広く取材

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